2019.05.20 ECモール
Wowma!、19年度戦略は「さらなるauユーザー取り込み」へ
目次
auコマース&ライフ(株)(旧社名:KDDIコマースフォワード)が運営するECモール「Wowma!(ワウマ)」が19年度も攻めの姿勢だ。これまで、携帯キャリアならではの特性を活かし、全国のauショップで入会手続きができるようにしたり、購入インセンティブとしてauの通信料金からの割引きが選択できるようにするなど、取り組みをしてきた。同社ではさらなる拡大を目指し、SNSのようにユーザーがお気に入り登録した商品や店舗のおすすめ情報などを閲覧できる「タイムライン機能」の実装や、店舗スコア制度の導入などを行っていく。19年の戦略から、楽天との物流の取り組みやauPAYとのシナジーの考えまでについて、同社の八津川博史社長に話を聞いた。
18年度は流通額31%増、ユーザー数48%増と拡大
ーーまず始めに18年度(18年4月~19年3月)の推移からお聞かせください。
八津川:非常に大きく業績を伸ばせた1年だったと考えています。18年度は流通額が前年度比で31%増、購入ユーザー数が同48%増となりました。購入ユーザー数は18年度後半に伸びが良かったのですが、これはauショップ店頭での入会促進の取り組みを開始したことが影響しました。
「Wowma!」というモールの推移では、取り扱い商品数が44%増、出店数は234%増となりまいた。実数でみると、商品数は4000万点を突破と、出店店舗数は1万5000店舗ほどになり、規模を大きくすることができました。
ーー18年度は具体的にはどんな取り組みをされたのでしょうか。
八津川:18年度中に取り組んだこととしては
- 店舗運営管理システム「Wow!manager(ワウマネージャー)」の整備
- ユーザーベースの拡大
- サービスレベルの向上
の3つが主となります。
「Wow!manager」については、1年で40以上の機能をリリースしました(=下図を参照)。これまで店舗さまから「他のモールに〇〇という機能があるが、Wowma! では使えないのか」といったお問い合わせをいただくことが少なくなかったのですが、機能拡充によって、出店店舗のご要望にほとんど応えきれるところまで行けたのではないかと考えています。
ユーザーベースの拡大については、auユーザーの利用数を大幅にアップさせました。auユーザーによる購入数は前年比80%増となっています。
auユーザーの取り込みについては、母体である通信会社のauとの連携強化が奏功しています。冒頭でも少しお話ししましたが、全国の「auショップ」店頭でWowma!の紹介に加えて入会受付を開始したり、「Wowma!」の紹介冊子「by W」の配布を開始したことが大きいです。そのほか、ポイント還元と通信料還元を選んでいただけるようにした取り組みや、auユーザーにおなじみの「三太郎の日」タイアップなどによってauユーザーがお得にWowma!で買い物できる仕組みづくりを進めています。
(▽関連記事1:Wowma!、店頭入会・通信料割引で攻勢…au経済圏を融合 )
(▽関連記事2:Wowma!の商品購入特典、ポイント付与と通信料金割引の2択制に)
18年度の重点取り組みの3つ目である「サービスレベル向上」については、「インフラ強化」「表示速度改善」「ログイン簡略化」「ポイント定常化」といった取り組みによって、お客さま満足度を高めることに成功しました。
ーー店頭入会したユーザーの傾向で特徴的なものなどはありますか。
八津川:あまりネットショッピングに慣れていない方も多く、「何かあったらauショップで聞けばいい」という安心感を持っていただけているのではないかと思います。比較的リピートしてお買い物を楽しんでくださる方が多い傾向にあります。
ーー19年度に入り、体制も変わりました。
八津川:19年は目に見える変化の多い年だと考えています。世の中全体の変化としては「元号変更」「消費増税」があります。通信業界としては「通信料の引き下げ指導」「他社の新規参入」があります。KDDIの変化としては「auIDオープン化」「決済領域拡大」という大きなトピックがあります。そんな中、当社では「変化を進化に」をキーワードとして成長を図っていきます。
まず最近の大きな動きとしては、KDDIコマースフォワードとLUXA(ルクサ)を統合し、4月1日付でauコマース&ライフという新会社を設立しました。
社名への思いについては、国内3大キャリアである「au」を名乗ることによって、よりauユーザーに近い所でコマースを運営する企業であるという印象を持ってもらいたいという思いがあります。「コマース&ライフ」には、狭義のEコマースだけではない領域までもカバーしていくという意味を込めています。単にコマースだけをやっていくのではなく、「生活」や「暮らし」の領域にも進出していきます。実際にルクサではすでに、イベントチケットの販売やサロンの予約など、狭義のEコマースの領域にとどまらない部分までカバーしています。こうした部分をより強化していきます。
「店舗スコア制度」を導入、高スコア店舗は検索結果など優遇
ーーWowma!の19年度の具体的な戦略をお聞かせください。
八津川:19年度の事業戦略としては「EC市場というビジネスチャンス」と「国内3分の1のシェアを持っているauの強み」の2つを掛け合わせ拡大をめざします。auのユーザーベースをこれまで以上にフル活用していくということです。Wowma!は、ECモールのポジショニングとしては「総合性」「付加価値」が一番高いモールを目指していきます。
具体施策としては「エンゲージメントの強化」と「ユーザーベースの拡大(=auベストコマース戦略)」に取り組んでいきます。
昨年の取り組みの中でも紹介していますが、auショップ店頭での入会促進をさらに強化します。ネット上ではリーチできない層との接点を持つことは非常に大きな強みです。さらに、ネット上では構築できない関係性を、auショップを通して作っていきます。
お客さまにより良い購買体験をしていただき、店舗さまにも売上アップをしてもらうために「店舗スコア制度」を4月から導入しました。店舗さまと一緒に成長していくためにも、正しい取り組みをしっかりこなされている店舗さまを優遇していくという取り組みです。
具体的には、「店舗レビュー」「納期遅延率」「キャンセル率」「クレーム数」などを基本要素として、店舗をスコアリングしていきます。店舗スコアがいい店舗さまは検索に有利になるなどといったインセンティブを用意しています。
アプリ上のタイムライン機能提供で店舗情報などプッシュ通知
ーーエンゲージメント強化についてはいかがですか。
八津川:「タイムセール機能の強化」「タイムライン機能の提供」を行っていきます。
「タイムセール」については、簡単な設定をするだけで強力な集客・高いリピート率のあるタイムセールイベントに露出できるよう機能を強化していきます。
「タイムライン機能」は、トークアプリで実施されているようなSNS販促を販売プラットフォームである「Wowma!」のアプリ上でコマースにシームレスに繋いでいけるような取り組みです。すでに店舗さまから良い反応を多く頂けているような状況です。お客さまが、お気に入りのショップや商品を登録することで、最新情報やお得な情報などを受け取れるようになるという仕組みです。
(▽関連記事3:アプリでお気に入りショップの最新情報通知、Wowma!がタイムライン機能)
今後はこのタイムラインで高度な施策も行えるよう、追加開発をしていきます。例えば動画なども活用したインタラクティブなコミュニケーション施策もできるようにしていく構想もあります。
ーー楽天との物流における連携がスタートしましたが、感触はいかがですか。
八津川:楽天さまの物流機能にWowma!出店店舗さまも利用できるようになるという取り組みが4月からスタートしています。まずは、楽天市場とWowma!の双方に出店している店舗さまから提供を開始しています。反応としてはファッション周りの中堅EC事業者などから引き合いを多く頂いています。
(▽関連記事4:楽天スーパーロジスティクス、Wowma!出店者にも提供開始 )
(▽関連記事5:楽天、KDDIとローミング協定…決済・物流でも協業 )
そのほかにも外部との連携強化を進めています。Wowma!から簡単に越境ECを実施できるようにする取り組みとして、インアゴーラ(株)さんと組んで、「越境ECプラン」というものも提供しています。こちらも今後さらに力を入れていきます。
ーーそのほか大きな取り組み予定はいかがですか。
八津川:店舗さま同士のコミュニティ形成をサポートする「Wowma!salon(ワウマサロン・仮)」の提供を開始する予定です。店舗さま同士での情報共有などはもちろん、店舗さまとメーカーをつなぎ、例えばコラボ商品を開発できるような機会の提供していきたいと考えています。
ーーauPAYとのシナジーについては?
八津川:決済領域で行くと、キャッシュレス化促進に向かって世の中も活性化していると感じています。そんななか、KDDIグループでは4月からauPAYが提供開始となりました。ここに、Wowma!としてどうやって関わり、お客さまにとってよいサービス提供できるかがポイントになるかなと思っています。
(▽関連記事6:KDDIが「au PAY」開始、加盟店も同時募集 )
ーー3月には18年のベストショップアワードが発表されましたが。
八津川:受賞店舗は「とにかくやってみよう」という感覚が強い店舗さまが多いと感じています。スピードが早く、熱量が高い店舗さまが成果を出しやすく、受賞につながりやすい傾向がより加速しているようです。Wowma!を使いこなしてくださる企業さまが増えてきたのかなと思います。Wowma!としても19年はさらなる拡大を目指した仕掛けをしていきます。ぜひ、店舗さまにも仕掛けに乗っかっていただき、一緒に成長していければと考えています。
(▽関連記事7:Wowma!ベストショップアワード、2年連続で西松屋がGPに )
(了)
(古川寛之)
▽関連記事
・Wowma!、店頭入会・通信料割引で攻勢…au経済圏を融合
・Wowma!の商品購入特典、ポイント付与と通信料金割引の2択制に
・アプリでお気に入りショップの最新情報通知、Wowma!がタイムライン機能
・楽天スーパーロジスティクス、Wowma!出店者にも提供開始
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