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2025.12.24 コラム

クーポンや割引などの特典にはどんな規制が? 景品表示法の基本

クーポンは販売促進ツールとして広く活用されていますが、景品表示法との関係について正しい理解が必要です。本記事では、企業のマーケティング担当者・法務担当者が知っておくべき景品表示法のルールについて、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。



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景品表示法とは

景品表示法とは、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といい、企業が商品を売るために提供する景品や広告表示について、消費者に誤解を与える行為を防ぐための法律です。景品類の金額や提供方法に制限を設けたり、商品の内容や取引条件を実際のものよりよく見せる不当表示を規制しています。

この法律の目的は、消費者の利益を保護し、事業者間の公正な競争を維持することにあります。特に、商品やサービスの品質、内容、取引条件に関する虚偽誇大な表示と過大な景品の提供を規制し、消費者が正しい情報に基づいて選択できる健全な市場環境を目指しています。

景品表示法は、一般消費者に提供されるあらゆる商品・サービスの表示や景品が対象となります。「一般消費者に提供されるもの」が対象なので、企業間取引(BtoB)で用いられる表示については景品表示法の対象外となります。


規制の条件となるものは?

割引クーポンやプレゼント、キャッシュバックなど、消費者の購入意欲を高める特典には様々な種類があります。景品表示法の規制対象になるか否かはその種類によって変わり、規制対象になる場合は、割引額や特典内容を景品表示法で定められた範囲の額に収める必要があります。

重要なポイント: 割引券が「景品」となるか「値引き」となるかは、主に「どこで使えるか」によって決まります。自社でのみ使用可能な割引券は基本的に「値引き」扱いとなりますが、懸賞により提供される場合は「景品」となります。


不当表示への注意

クーポンや特典は、商品そのものではなく取引に附随するものなので、「有利誤認表示」とならないように注意が必要です。具体的な例として以下のようなものがあります。


  • 「高級貝パールのイヤリングが当たる」と表示したが、実際は安価な人工パールだった
  • 「全国どの店舗でも使用できる割引券」と表示したが、実際には対象外店舗が多数存在した
  • 「今回特別に送料無料」と表示したが、実際は商品価格を送料相当額分引き上げていた


景品表示法違反の罰則

景品表示法違反に対する罰則は2024年10月の改正により強化されており、企業の信頼性が損なわれるだけでなく経済的にも大きなダメージを受けることになります。

・行政指導

違反行為が軽度である場合に、消費者庁や各都道府県が企業に対して違反行為の改善を求める措置です。内容は一般に公開されませんが、無視すると更なる処分に発展する恐れがあります。

・措置命令

企業に対して違反行為の中止と是正を求める命令です。措置命令に従わない場合、代表者に2年以下の懲役または300万円以下の罰金、事業者自体に最大3億円の罰金が科せられます。措置命令は報道発表されるため、企業にとって大きなダメージとなります。

・課徴金納付命令

違反行為により得た売上の一部を金銭として納付させる処分です。不当表示に係る売上額の3%が課徴金として科され、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者が再び違反した場合は4.5%となります。

・直罰規定

優良誤認表示や有利誤認表示を行った事業者に対し、措置命令などの行政処分を経ずに、直接的に100万円以下の罰金を科す制度です。悪質な不当表示に対する抑止力が強化されています。

まとめ

クーポンや特典は、企業にとっても顧客にとっても魅力的なツールですが、景品該当性の判断は複雑で、少しの条件の違いで規制対象となる可能性があります。お客様へのサービス向上を図る際も、景品表示法の内容をしっかり理解した上で実施することが重要です。

景表法違反による行政指導は相次いでおり、企業のコンプライアンス体制の充実がより一層求められています。適切な法的知識に基づいて、消費者から信頼される健全なマーケティング活動を推進していきましょう。



【筆者プロフィール情報】

薬事法広告研究所 代表 稲留 万希子

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。ヘルスケア分野でのビジネス展開にあたり薬事法や景表法などの各種法令と、広告について学ぶ。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画。“ルールを正しく理解し、味方につけることで売上につなげるアドバイス”をモットーに、大型セミナーから企業内の勉強会まで、年間100本を越える講演をこなす。








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