2024.01.29 行政情報
通販の定期購入トラブル もはや“異常事態”か!?(後)
特定商取引法の改正によって、通販の定期購入トラブルの防止策が盛り込まれた。しかし、今のところ、その効果は限定的だ。悪質業者の存在に加え、特商法に対する理解が乏しい企業も少なくない。さらに、新規参入する企業の多さに取り締まりが追い付いていないようにも見える。

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裏で糸を引く人物の存在
通販の定期購入トラブルが問題となり始めた当初、数社で全相談件数の5割程度を占めるといわれていた。1つの会社が多数の消費者トラブルを生むこともあれば、グループの複数企業が問題を起こすことも。数年前のことだが、不祥事を起こした販売会社の取材で、その会社と同じ敷地内に、行政処分を受けた別の会社のオフィスがあることに気づいたこともあった。悪質な定期購入商法を行う通販会社の場合、行政処分を受けると新しい会社を立ち上げたり、社名を変更したりして、同様の手口を繰り返す傾向がある。また、複数の通販会社を陰で操る人物が存在するケースもある。
消費者庁が2021年7月に発表した特商法違反事件はその典型例だ。2020年1月から12月にかけて、健康食品通販のA社・B社・C社に対し、それぞれ別々に業務停止命令を打った。3社の調査過程で“元締め”の存在に気づき、21年7月にD社に対して業務停止命令、その代表者に業務禁止命令を出した。D社は直接商品を販売していなかったが、3社を支配下に置き、連携して販売していたというのが実態だった。
特商法はそうした手口に対抗するため、主導的な役割を果たした人物に業務禁止命令を出すことができるが、“イタチごっこ”の状況にある。
トラブルを起こす企業は多数
前述のとおり、定期購入トラブルの問題が浮上した当時、特定の複数の企業に消費者相談が集中していた。しかし、日本通信販売協会(JADMA)によると、最近は状況が変わってきたという。
JADMAでは消費者からの相談を受け付けている。定期購入の相談については、「2022年夏ごろまでは5社くらいに集中していたが、今は悪質とは言い切れない多数の企業」(広報)に分散されていると説明する。
不透明となった悪質業者の境界線
2022年6月に施行された改正特商法は、「詐欺的な定期購入商法」を想定して新たな規制を設けた。インターネット通販の場合、申し込み最終確認画面の表示事項に着目した規制となっている。
ところが、現在インターネット上では、一見したところ「詐欺的」とは言えないが、消費者にとってわかりにくい販売サイトが散見される。この中には、通販会社の特商法に対する理解が不十分なために不適切な表示となっているケースと、意図的にわかりにくくしている悪質なケースの両方が混在していると考えられる。
また、広告で「お試し」「いつでも解約OK」と強調して消費者の意識にインプットし、申し込み最終確認画面にさりげなく定期購入である旨や解約条件を“一応”記載しておくという、改正特商法の盲点を突くような行為も見られる。
執行の強化を求める声も
適格消費者団体の京都消費者契約ネットワークは、化粧品を扱う通販会社との間で、ウエブサイト上の定期購入の表示をめぐって控訴審で争っている。
取材に対し、同ネットワークの関係者(弁護士)は、悪質な定期購入商法が減らない背景について、「儲かるし、(行政処分を受けても)看板を変えるだけで、ノーリスクのため」と指摘する。「特商法改正の効果はほとんどないと認識している。行政が執行をかけまくることが必要。執行が強化されない限り、トラブルは減らない」との見解を示す。
このほかにも、トラブルが減らない要因に、ネット通販の普及と新規参入企業の増加も挙げることができる。新規参入企業の場合、関連法規を十分に理解せずに、不適切な表示によって消費者を誤認させるケースも少なくないだろう。これに加えて、ネット通販に不慣れな消費者が、契約内容を確認せずに申し込んでしまうこともある。
トラブル防止に向けて、悪質業者の取り締まり、通販会社への啓蒙、消費者への注意喚起は、セットで強化する必要があると考えられる。
特商法を所管する消費者庁では、「通報が多いので監視を続けている。しかるべき対応を取る」(取引対策課)と話している。
(了)
(木村 祐作)
(木村 祐作)
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