2018.05.31 コラム
「売れる商品画像」は思い込み?…売れる商品画像講座(1)
目次
「通販通信」読者のみなさん、はじめまして。商品画像作成ツール「ZenFotomatic(ゼンフォトマティック)」を提供するグラムス(株)代表の三浦と申します!
今月から毎月1回、「売れる商品画像」についての連載を全12回で掲載していきます。商品画像の作成ツールとして世界100カ国以上に利用される「ZenFotomatic」の運営チームが、世界中のネットショップの商品画像と接してきたノウハウを元に、ネットショップで売れるための商品画像について、その考え方や作成方法、業務フロー設計まで実例を交えながらお届けします!
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ネットショップで売れるための商品画像を解説
当連載では、読者の皆さんが売れる商品画像の作成方法を習得し、低コスト・効率的業務フローで行えるようになる事を目的としています。どうぞ最後までお付き合いください!
さて、ネットショップにとって商品画像が売上に大きく影響するという事は、皆さんご存知だと思います。「売れる商品画像」と検索すると様々な記事やブログがヒットしますね。
ただ、ネットショップ運営者ではないカメラマンが「良い写真とは何か?」について意見していたり、一昔前の情報だったり、主観の域を出なかったり・・・といった内容がしばしば見受けられ「商品を売る」という目的に沿ったネットショップ目線の画像情報はめったにありません。第1回目となる今回は、そもそもどんな商品画像だと売れるのか、この部分に迫りたいと思います!
売れる画像=お客様にとって見やすい画像
ネットでのお買い物が一般的となった今、商品画像は商品を説明するためだけのものではありません。画像はクリックして商品ページに入っていただくための入り口でもあります。
その入り口が「分かり辛い」「見辛い」と、そもそもお客様は商品ページに入ってすらきません。
売れる商品画像とはなにか?それはズバリ、それがどんな商品なのかがわかりやすい商品画像です。
「他社より目立つ」「独自のレイアウトで差別化する」「キャンペーンの文字を入れる」「送料無料スタンプをつける」--従来はこうしたテクニックが重要視されていました。
ファッション分野ではモデルが着用し、雰囲気の良いロケ地で撮影されたオシャレな画像を重視する向きもあります。ただ、これは商品画像というよりもイメージ画像ですね。
ネットショップを取り巻く状況は変わっています。ほとんどのネットショップでは、近年は画面の小さなスマートフォンからのアクセスが主流となってきました。
イメージ画像や、キャンペーンなどの文字情報を多く含んだ商品画像をスマホの小さな画面で見ると見辛いですよね?
商品以外の物や風景、あるいは文字など余計な情報が多々写り込んでゴチャゴチャして見えるのです。それがサムネイルになると、画像が小さすぎてお客様に肝心な商品のイメージが伝わりません。
スワイプで高速にスクロールされると普通の動体視力では認識すらできないのです。
目に止まらない > クリックされない > 商品ページに入らない > 当然売れない、負のループです。
イメージ画像は、お客様に商品の魅力やブランドのアイデンティティーなどをビジュアルで表現するための画像です。つまり、接客用の画像ということ。お客様が商品ページにいなければ接客はできませんよね?
まずはシンプルで視認性の高い商品画像でクリックしてもらい、商品ページ内で接客するときにサブ画像としてイメージ画像を使用するのがベストです。
実はモールのガイドラインに沿った商品画像が「売れる画像」
ネットショップを立ち上げる時、避けて通れないのが集客力・販売力を持ったネットショッピングモールへの出店です。
モールで売上を上げるためには、モールのガイドラインを守ることが重要なのは言うまでありませんが、今回注目したいのは、商品画像のガイドラインです。このモールがガイドラインとして出している要件、実は「売れる商品画像」の要件を満たしており、ある共通点があるのです。それはなにか?
各ECモールのガイドラインを検証
答えは、「白背景のシンプルな画像」です。では、各ECモールのガイドラインをそれぞれ見ていきましょう!
amazon
amazonでは明確に以下のような規約があります。
・商品を正確に表示し、かつ販売商品のみを表示する事
・メイン画像の背景は純粋な白を使用する事。純粋な白=RGB255,255,255
・メイン画像に、商品に同梱されないアクセサリー類、購入者に誤解を与えるようなコーディネート品、商品の一部ではない文字、ロゴ、透かし、挿入画像を使用しない事
(※2018年5月時点。上記は要約しており、規約の項目は上記以外にも多数あります。)
eBay
越境ECの最も有力なプラットフォームの1つであるeBayにおいても、出品画像ポリシーを定めています。
こちらでも、文字やスタンプはNG、シンプルな背景が推奨されていますね。
さらに、公式出品ガイドでは「売れる商品画像の撮り方」というタイトルのコンテンツでシンプルな商品画像を推奨しています。
楽天市場
これまでシンプルとは対極な商品画像の文化を作り上げてきたと言っても過言では無い楽天市場までもが、シンプルな白背景の商品写真にジリジリと距離を詰めて来ました。
2018年からは新たなガイドラインとして商品画像内で文字やロゴなどが占める割合を20%以下にする事や、複雑な模様の背景柄を推奨しないという事が正式発表されました。
これはユーザーテスト結果で出たお客様の「わかり辛い」と言った声を反映しての事だそうです。
アリババ
中国のECサイトはどうでしょう。
白状すると、筆者の記憶では、垢抜けないデザインと雑な商品画像が並んでいるイメージでした、、ゴメンなさい... 実際は筆者が浦島太郎なだけでした。
最大手、アリババもamazonやeBayと同様シンプルで装飾の無い画像が製品画像の掲載ルールとして明記されています。
Googleショッピング
モールではありませんが、昨今Googleショッピングに画像掲載されるショップも増えてきました。広告効果としてやはりGoogleは強力なので無視できませんね。
実はこちらにも厳格なガイドラインがあります。
ショッピングモールは出店者に売上を上げてもらう事で成り立っています。
その彼らが、売れもしないのに工数がかかる商品画像の白抜きや切り抜きの作業を敢えてガイドラインとして課すとは、考え辛いですよね。「白背景のシンプルな画像」こそ
売れる商品画像」だということがお分かりになったかと思います。
実際に商品画像をABテストで検証してみました。
商品画像をABテストで検証してみた
実際に検証してみました。
検証は、商品画像をABテストするツール、「ABテスタ(https://ab-test.jp/)」を使用しました。こちらは同商品ページに複数のスタイルの商品画像をアップロードしておくと、それらの商品画像がアクセス毎にランダムに表示されます。テスト期間を設定したら、あとはスタートするだけ。勿論価格などのその他諸条件は全く一緒です。
テストに使用したのは人気商品のお財布の商品画像で、それぞれ以下の4種類を用意しました。
・白い背景紙をバックに撮影した無加工の画像
・ちょっと良さげに見える敷物の上で撮影した画像
・大きさが分かりやすいようにスタッフにもたせて撮影した画像
・シンプルな白背景の商品画像
それで、結果はというと...
「白背景のシンプルな商品画像」が圧勝です。その他の画像に比べて、シンプルな白背景の商品画像が約1.5倍、148%のコンバージョンレート(CVR)を叩き出しました。
ネットショップ運営者であればCVRを1%でも上げることが難しいことをご理解のはず。商品画像の工夫だけで約1.5倍、148% アップですよ!
勿論商材によっても異なりますが、他の複数の商品でテストをしても、やはり白背景の商品画像が総じて約120%~140%のCVR向上となりました。
(*当結果はテストに使用した商品での結果です。弊社ショップでのテストでは多くの商材で同様の結果になる傾向がありましたが、商材によっては全てが同様の結果とは限りません。)
まとめ
・売れる商品画像 = シンプルで視認性の高い白背景画像
・スマートフォンの小さい画面にゴチャゴチャした画像はNG。
・各モールにはガイドラインがあり、多くの場合白背景が必須か推奨。
私自身、ネットショップを運営してきました。運営者側の悪い習慣だと思ったのは、「周りが対応してから対応する」という空気が業界に蔓延していることでした。(まぁ、EC業界に限った話ではないですが...)
変化が早いEC業界では、「周りが対応してからウチもやる」という運営では完全に遅れをとります。そしてそれは、当たり前の事をやっているに過ぎません。
個人でも企業でも、慣れたやり方を変えるということは本質的に大変な事です。しかしいま立っているその地盤が確実かつ高速に動いている以上、変われない、動けないということはどんどん下流に向かって流されている事に等しいのです。
商品画像についての流れも、もはや逆らうことは難しい程に強くなっています。
次回は...
今回は、売れる商品画像というテーマでお話ししました。
シンプルで見やすい商品画像を作成するにしても、それを業務に落とし込まなければいけませんね。
次回は、そうした業務フローを構築する上でのヒントをお届けします。陥りやすい残念な思考や失敗例も交え、ネットショップで利益を出す為の業務フロー構築のコツについて伝授いたします!是非ご期待ください!
著者:三浦 大助 | グラムス株式会社 代表取締役 CEO
アパレル商社で社内システム開発・保守に従事した後、EC事業を立上げた。2010年グラムス(株)を設立し、ネットショップ9店舗を立ち上げ運営。各種業務システムを自社開発した中から画像処理機能を「ZenFotomatic」としてローンチし、世界100カ国以上のネットショップに提供中。その他、EC系イベントで業務フローやシステム化などのセミナーで講師活動を行う。
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