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2025.07.10 行政情報

消費者法制度を抜本改正へ、不適切なデジタル取引にメス…「ダークパターン」に規制の網(前)

不適切なデジタル取引などによる消費者被害を防止するため、消費者委員会は7月9日、消費者法制度の改正の方向性を提言した報告書を取りまとめ、内閣総理大臣へ答申した。これを受けて、消費者庁は消費者契約法を中心に、法制度の再編・拡充に向けた検討に入る。インターネット上ではAIを利用した不正取引や偽・誤情報、「ダークパターン」と呼ばれる消費者を騙す手法が横行。これまでの消費者契約法や特定商取引法、景品表示法といった消費者法制度では、消費者トラブルへの対応が困難となっている。今回の改正は、デジタル取引の多様化・複雑化に伴う新たな課題を念頭に置いて行う。ダークパターンをはじめ、ターゲティング広告やレコメンデーション、ポイント付与などをめぐる問題も視野に入れつつ、具体的な施策を打ち出す方針だ。

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デジタル取引の多様化で現行法による対応が困難に

デジタル取引の多様化・複雑化に伴い、インターネット通販などで消費者トラブルが増加。消費者・事業者間の情報格差がますます広がり、そこに付け込んだ新たな広告・販売手法が次々と登場している。


定期購入コースへ誘導する手の込んだ手法など、「ダークパターン」と呼ばれる消費者を惑わす仕組みもその1つ。また、消費者が気づかないうちに個人データをサイト運営者に収集され、ビジネスに利用されることも多く、不適切な手続きによるターゲティング広告やレコメンデーションといった個人にアプローチする手法も問題視されている。


デジタル取引が多様化・複雑化していることを踏まえ、消費者委員会「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」が取りまとめ報告書は、従来の消費者契約法をはじめとした消費者法制度では、消費者トラブルへの対応が困難になっていると指摘した。


法制度が前提とする消費者像が崩壊

従来の消費者法制度は、消費者・事業者間の情報格差を埋めることで、消費者が適切に商品・サービスを選択できる環境の整備を目指してきた。同時に、悪質商法に対しては、取引類型ごとに規制を設けて対応してきた。


しかし、デジタル取引・広告の新たな手法が次々と登場していることに加え、消費者・事業者間の取引にECモール運営者や決済事業者が介在するケースも増加。トラブルが生じた場合、消費者は誰に連絡すればよいのかがわかりにくく、連絡が付かないケースも少なくない。これに加え、高齢者に限らず、若年者でもデジタルに疎い層が存在し、自身の個人データがいつ収集され、何に利用されているのかさえわからない状況となっている。


デジタル技術が日進月歩で進化する現在では、あらゆる層の消費者にとってトラブルを避けることが困難となっている。消費者法制度が前提としてきた「強い個人による自由な意思決定」という消費者像は崩れつつある。


そこで報告書は、誰もが「消費者の脆弱性」を持つという認識を法制度の基盤に据えることを提言。今後の検討で、消費者契約法の目的を刷新し、「消費者の脆弱性」への対策を追加するよう求めた。


現行の消費者契約法は不当な勧誘や契約条項に対する規制が中心となっているが、これに「消費者の脆弱性」への対策を加えることで、事業者の行動指針や裁判所が判断する際の指針となることが期待されるとしている。


ダークパターンは「消費者の脆弱性」を作出

「消費者の脆弱性」には、高齢者の認知機能の低下、周囲の人が気づきにくい環境、デジタル取引に関する知識不足、複数の事業者の介在など、さまざまな要素が関係する。今回の改正は、そうした脆弱性を持つすべての消費者が安心して、ネット通販や動画サービスを利用したり、ポイ活を楽しんだりできる環境を整備することが目的となる。


報告書では、事業者が「消費者の脆弱性」を作り出したり、利用したりする行為を問題視した。その1つに、ネット通販などで見られる「ダークパターン」を挙げた。


ダークパターンにはさまざまな手法がある。例えば、定期購入コースの解約条件の詳細を「利用規約」に埋もれさせるケースや、クッキーバナーに「拒否」ボタンを設けていないケースなどがある。ダークパターンは、事業者が意図しているかどうかを問わず、結果的に「消費者の脆弱性」を作り出したり、利用したりすることにつながる。


そうした事情を踏まえて報告書は、「消費者の脆弱性」を作出・利用する行為に対し、規制の網をかける方向性を示した。


答申が行われた9日の会合で、同専門調査会の沖野眞巳座長は「報告書の内容を十分に踏まえながら、具体的な制度設計を今後進めていくことを期待したい」と話した。


(つづく)


(木村 祐作)







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