東京都の「2020物流TDM(交通需要マネジメント)実行協議会」はこのほど、物流の効率化に向けた意欲的で先進的な取組を審査する『未来につながる物流』で、14件を認定し、特に優れた取組として5件を表彰した。東京オリンピック・パラリンピックの開催やコロナ禍対策などを念頭に置いた「物流の工夫」を大募集していた。
旅客用高速バスによる貨客混載など5件を表彰
同協議会は、都が中小企業などを対象に東京五輪に向けた物流対策の促進を主な目的として発足。関係行政などとともに、東京2020組織委員会、中小企業や物流の関係団体などが参加し、運用性や実効性、先進性、コロナ禍に有効かなどを評価のポイントに審査。大会後もレガシーとして事業者間で共有することも狙いとしている。
優れた取組として表彰された企業と取組は次の通り――。
■『(株)アップクオリティ』(運送業)/旅客用高速バスを活用した貨客混載による地域特産物の輸送・独自の保冷ボックスや専用IoT端末により、3温度帯と輸送中の品質管理を実現。
■『(株)ゲイト』(飲食業、漁業、水産加工業)/物流拠点の整備及び店舗への他品目をまとめた一括自社配送
■『新宿EAST魅力あふれる街創り有志懇談会』/地域ルールによるエリア内自動車交通量の低減・大規模開発に合わせたエリア別共同荷捌き場の整備の検討など。
■『株式会社ミノダ』(サービス業)/注文システムのオンライン化・顧客と加工工場を直接つなげる物流システムの転換による配送台数の削減。
■『(株)NTSロジ』(運送業)/共同配送による積載率改善・静脈物流の活用した食品廃棄物の回収、肥料化、配送などの循環型物流。
ヤマト運輸など3社の取組やSGHD子会社の取組も認定
EC・通販関連企業の取組では、ヤマト運輸(株)・(株)ライナフ・東急在宅リース(株)の3社による「オートロック付きマンションへの置き配による非接触の推進及び再配達の削減」が認定された。
また、認定企業の1つに選ばれたSGホールディングスグループの『(株)ワールドサプライ』(運送業)は、2つの取組が評価され、認定となった。1つ目は、集荷、配達業務の時間帯見直し。百貨店へ納品する商品の集荷、配達業務を車両が混雑する時間帯を避けて集約することで混雑緩和を図った。同時に集荷・配達業務の時間帯に合わせて同社従業員の出勤時間をずらすことにより通勤時間のピークタイムを回避した。
2つ目は電子受領端末の導入による非接触配送の推進。商業施設内の配送業における商品収受について紙の送り状を使わず電子受領端末を用いることで、非接触配送を実施した。さらに、電子受領端末を導入しペーパーレス化を実現したことにより、施設での商品荷降ろし時間の短縮等の効率化を図ることができた。
貨客混載、まとめ配送、共同配送、集荷、配達業務の時間帯見直し、非接触配送……。これらの実績や挑戦は、業務の効率化や他社との協力体制の構築、ライフワークバランスの向上にも寄与する内容ばかり。協議会事務局は、関係事業者らへの周知を見据え、HPなどで企業などの取組内容を公表。未来へつながる「物流の工夫」の共有を呼びかけている。
■『2020物流TDM実行協議会』
https://tdm-logi-2020.tokyo/
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