化粧品や健康食品の「定期購入」契約に関する表示が特定商取引法に違反するとして、消
費者庁は26日、東京の通信販売会社2社に対し、業務停止命令や業務禁止命令を含む行政処分を行ったと発表した。あわせて消費者庁では一般消費者向けに、EC定期購入取引への注意を促す注意喚起チラシ「これって1回限りじゃないの?」も公表した。
今回処分となったのは、(株)TOLUTO(旧社名e.Cycle)と、(株)アクアの2社。TOLUTOには業務停止命令と業務禁止命令も出された。ECの定期購入に関する違反での執行は今回が初とみられる。
サプリで健康被害問題の旧e.Cycle処分
業務停止命令を受けたのはTOLUTOは、WEBサイト「ERUFLE」で、「REGRE リンクルセラム」と称する化粧品などを販売。26日~2020年3月25日までの3カ月間、通信販売に関する業務を停止するように命じた。併せて、今回の違反行為の発生原因について調査分析の上、検証することなどを指示した。

※TOLUTOが公表しているプレスリリースから抜粋
さらに、同社の主導的役割の男性社員(前代表)に対し、同じく3カ月間の一部業務禁止とした。なおTOLUTOの前身であるe.Cycleは、同庁が9月に注意喚起を行っていたサプリメント「ケトジェンヌ」の販売会社。会社名と代表者名を変更し、引き続き通販事業を展開していた。
定期の注意書きが「著しく小さい」
消費者庁によると、TOLUTOは、販売サイトで商品を定期購入契約で販売。5月16日~11月7日までの期間、申し込みの最終画面で、定期購入契約の申し込みとなることを記載はしていたが「著しく小さい文字」(消費者庁)で表示をしており、消費者が容易に認識できない状態だった。加えて、申込みの最終画面を何度もスクロールしなければ契約内容を確認できないようにしていた。
さらに、2回目以降に提供する商品の代金の支払い時期を表示していなかった。
「著しく小さい」について消費者庁の取引対策課・吉野徹統括消費者取引対策官はこう語る。「TOLUTOの件でいくと、例えば申し込みの最終画面の『商品名』『単価(税込)』と記載されているような文字の大きさであれば『著しく小さい』とはならない」との解釈を明らかにした。
注文完了遷移が分かりにくくアウト
アクアは、WEBサイト「みのりのみオンラインショップ」で、ダイエットサプリ「みのりの酵素」を販売していた。同じく、定期購入契約に同法違反があったとして、表示の是正とコンプライアンスの構築などを指示した。業務停止命令や業務禁止命令は出されておらず、指示処分どまりとなっている。
アクアは10月28日以降、申し込みの最終画面で、定期購入契約の申し込みを完了させるためのボタンに「ご注文完了ページへ」と表示。ただ、実際はそのボタンをクリックすることで定期購入契約の申し込みとなるような設計になっており、「注文の完了になることが認識しにくい」ことから違反認定を受けた。
改正特定商取引法は、通信販売の広告やネット通販の申込み・確認画面上に、「定期購入であること」「支払総額」「契約期間」など、販売条件の明記を義務付けている。
また、申込みの最終段階の画面上で、定期購入契約の主な内容が全て表示されず、その一部が容易に認識できない表示の状態や、確認・訂正手段などのボタンの設定、「ブラウザの戻るボタンで前に戻ることができる」などの説明が提供されていない場合は「不適切」とみなされる。
「1回限りじゃないの」チラシ公表
同庁は、消費者向けに注意喚起チラシ「これって1回限りじゃないの?」も公表した。「知らないうちに継続的な購入になってしまうようなネット通販広告に注意を」とした上、「お試し」「初回無料」「初回特別価格」「モニター募集」などとうたった記載にも、「細心の注意を」と呼びかけている。
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