2022.02.02 コラム
【成功/失敗の事例付】ダイナミックプライシングとは?EC自動反映法/アルゴリズム/課題まで紹介
ダイナミックプライシング(Dynamic Pricing)とは、商品・サービスの提供価格を需要と供給などの状況に合わせて変動させることをいいます。 「動的価格設定」「変動料金制」「価格変動制」とも訳されます。事例や失敗例、アルゴリズム、課題まで解説します。
Q1.ダイナミックプライシングとは?
ダイナミックプライシングとは、需要と供給のバランスに合わせて、会社の売上を最大化できる最適な価格設定を探すマーケティング手法です。
一般的なマーケティングでは、需要や供給に合わせず、商品の仕入れ値や原価を基準に価格設定をします。
一方、ダイナミックプライシングでは、商品を販売する時期(消費者ニーズ)などに応じて価格設定を行うものです。
例えば、シーズンによって航空費やホテルの宿泊料金の変動が起こるのも、旅行会社などがダイナミックプライシングを活用している一例です。最近ではJRが鉄道運賃体系にダイナミックプライシングの導入検討を開始するとし、話題になりましたね。
季節や社会情勢の影響を受ける旅行・ホテル業界は需要と供給の予測がしやすく、消費者ニーズに適した価格を設定できるため、ダイナミックプライシングの導入が進みました。
また、近年はIT技術の発達により、ダイナミックプライシングの導入が難しい業界でも積極的に取り入れられています。
特に電子データの活用が活発になり、Webサイトへのアクセス分析や行動分析を行うことで、比較的簡単に消費者のニーズを判断できるようになりました。
会社の売上を最大化できる価格設定が行えるため、多くの企業から注目を集めているダイナミックプライシングは、エンタテイメントやメーカーといった分野でも活用されていくと予想されています。
▽活用事例…エンタメ・旅行など
ダイナミックプライシングとして価格が変動する商品やサービスの例としては、旅行・ホテル業界では昔からよく見られる手法です。旅行・ホテル業界は、季節や社会の情勢から需要と供給を判断しやすく、その時々に最適な価格設定ができるためです。
たとえば、航空サイトをイメージしてみましょう。航空サイトでは、搭乗日と航空券を予約した日にちが、どのくらい離れているかで値段が変動してきます。搭乗日の1か月前に航空券を予約すると、通常価格より安い値段で席の確保ができるでしょう。
一方、搭乗日ぎりぎりに航空券の予約をすると、高い料金となる可能性が出てきます。
サービスの需要が高くなるタイミングで、需要に合わせた高い価格設定を行い、需要が少ない時期には値段を安く設定し集客を行うなど、状況に合わせた対応が可能です。
また、最適な価格設定だけでなく、ユーザーの満足度をコントロールするのにも役立ちます。
テーマパークなどでは、繁忙期と閑散期の入場料に差を付けることで、入場者数を管理し混雑状況を防ぐ工夫がされています。
利用者も快適にテーマパークを満喫することができ、テーマパーク側も最適な料金を設定できるため、双方にメリットがあります。
エンタメ界隈では、夏フェスなどの大型イベントでもダイナミックプライシングの考え方が取り入れられていますね。開催半年前は定価の2割引きでチケットを販売、開催が近づくにつれて割引率が下がり最終的には定価での販売となる、といった手法です。
そのほかコロナ禍では、都市部の定食屋がダイナミックプライシングを取り入れるという事例もありました。早めの11時台や遅めの14時台は定食を800円で提供するが、ピークタイムの12時台は1500円、といった価格変動制を採用するという者です。新型コロナウイルスの感染対策でランチタイムの客入りを分散させることが目的でした。
現在はダイナミックプライシングを導入する業界も広がってきており、各分野に広がりを見せています。
Q2.価格変動のアルゴリズムは?
ダイナミックプライシングによるアルゴリズムは、サービスによってさまざまです。
先ほど例にした航空サイトでは、搭乗日が近づくにつれて値段があがる仕組みでしたが、前述した夏フェスや講演会などチケット形式の場合は、開催日が近づくにつれて値段が下がる傾向があります。また、物販系では扇風機やストーブなど、シーズン商品にダイナミックプライシングのアルゴリズムを導入しているケースが多いです。型番商品のECにおいては、「価格ドットコム」などのようなECモールなどで販売されいる商品価格をシステムを使って網羅的に解析し最安値を常に自動更新する、という手法もあるようです。
そのほかにも、季節によって需要が高まる商品の値段を下げることで、ユーザーの購買意欲を高める方法があります。
長期休みやボーナスのタイミングに合わせて、キャンペーンを行うサイトも多いです。ただし、商品やサービスの性質によって効果の高いアルゴリズムが異なることに注意しましょう。
ダイナミックプライシングの導入はツールによって実現できます。
現在は多種多様なツールが提供されていますが、自社サービスに適したオリジナルツールを開発することがおすすめです。
例えば、「株式会社ダイナミックプライシングテクノロジー」では、ダイナミックプライシングに関するコンサルティングから、システム開発まで幅広く対応してくれます。
AI技術を活用したシステムにより、サービスの利用時期や利用ユーザーの割合・頻度など、さまざまな数値データから自動で需要と供給を割り出してくれる点は魅力的です。
実績も豊富で、「リラクゼーション」や「映画館」などのエンタテイメント分野だけでなく、「不動産」や「派遣会社」などのビジネス分野でも活用できるシステムを提供しています。
Q3.失敗しないための課題/失敗例は?
数多くのメリットがあるダイナミックプライシングですが、課題点もいくつかあります。
1つ目は、顧客離れの危険性がある点です。
ダイナミックプライシングの特徴として、需要と供給に合わせた価格設定を行います。
企業視点では、その時に適した価格設定をしていると考えますが、顧客視点ではタイミングによっては、以前よりも値上がりしたと感じてしまうことが考えられます。結果、サービスの利用を辞めてしまうケースも起こりえます。
たとえば、以前は1000円で利用できたサービスがいつの間にか2000円になっていたとします。旅行サイトなどでは、サイトの訪問回数によって価格を変動させるというプライシングを採用するものもあります。初回訪問時をもっとも割引率が高い設定とすると、ユーザーからすると再訪しただけ価格が上がっていきます。こうした仕組みを不快に感じたり、再訪する間に比較検討中の別サイトの方が安い結果になってしまうとCVできたものもできなくなる可能性もあります。
顧客からしたら需要と供給の指標を意識することがないため、単純に値段が上がったと感じることがほとんどです。そのため、顧客に不信感を与えないような施策が必要になります。
2つ目は、ダイナミックプライシングのシステム導入に関する投資コストが高い点です。
ダイナミックプライシングは扱うサービスによって利用するアルゴリズムが異なるため、自社専用のシステムを開発する必要があります。
AI技術を活用する場合は、ディープラーニングに必要な情報収集や学習など時間がかかるため、実際の運用が遅れることが多いです。
導入から実際の運用までどのくらいの期間とコストがかかるのか把握し、どのようなスケジュールで進めるのか予め計画することが大切です。
ECのダイナミックプライシングは自動化可
JANコードのあるいわゆる"型番商品"を扱っているEC事業者の場合、ツールを使うことによってダイナミックプライシングを自動化することも可能です。仕組みとしては、市場の最安値を自動で調査し反映させるというものです。
ECでは価格比較が容易であるため、最安値販売に注文が集中します。売上機会損失を防ぐには、需要や競合状況に応じて価格を変動させ(ダイナミック・プライシング)、常に最安値を設定することが必要不可欠です。一方で安すぎる価格で最安値維持をすると、利益確保の機会損失も起こります。価格戦略でとるべき方針は"競合より少しだけ安い価格" を常にキープし続けることとなります。
"競合より少しだけ安い価格" を常にキープを自動で実現できるツールはすでに存在しており、EC/ネット通販の販売価格の意思決定に必要なとなる市場データである…
・ポイント
・送料
・配送速度
・ポイント類
・競合店数
・販売店数
などの調査業務を自動化し効率化できます。収集したデータを活用して、自社の価格が安すぎれば値上げ、高すぎれば値下げを自動で行い、適正価格の更新を毎日効率よく行うことが可能となるのです。
成功事例:自動値決めでモール売上3倍
ツール利用によるダイナミックプライシング戦略による成功事例もすでにでています。
・Amazonとヤフー店あわせて売上3倍に!(インテリア家具EC・A社)
・Amazon店の売上が2倍!(美容コスメEC・R社)
・価格自動更新で売上の伸びが半端ない(家電EC・N社)
ダイナミックプライシングについてまとめ
需要と供給に合わせて最適な価格設定を行えるダイナミックプライシングは、効率良く利益を上げられる点や在庫をうまく管理できる点で魅力的です。
一方で、ユーザー視点では急に値段が上がったり同じサービスでも席や時期によって異なる料金なため、ストレスを感じることが多いでしょう。
少しでも導入方法を間違えれば、既存顧客が離れてしまう可能性があります。
まずはユーザーの目線で考え、どのような金額設定・アルゴリズムを取り入れるべきか検討することが大切です。
プライシングに関するお役立ち資料
ダイナミックプライシングを導入する前に、競合の市場実勢価格調査は欠かせません。
調査は手動でも行うことは可能ですが、膨大な時間を要します。もし、市場調査を効率よく行いたい場合は、ツールの導入がおすすめです。
当サイトでは、価格調査に最適なツールに関するサービス資料を掲載していますので、興味のある方はぜひご覧ください。
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ダイナミックプライシング関連の記事
当サイトでは、ダイナミックプライシングに関するコラム記事を掲載しています。
「導入する予定はないが、情報だけは知っておきたい」と考えている方は、ぜひご参考にしてください。