先行受付アクセス殺到、申込を一時中断も 

　また、300万人を対象に、同プランの料金が開通日から１年間無料となるキャンペーンの新規先行申込を3日16時からオンラインで開始。アクセスが集中して一時サイトがつながりにくい状況になり、申込を一時的に中断するなど、大きな反響を集めている。4日には店舗での先行申込を開始する。

　3日開催されたプレスカンファレンスで三木谷浩史会長兼社長は「多くの人が不可能と言っていた世界初の完全仮想化ネットワークを構築し、衝撃的なプライシングを実現した。楽天会員はワンクリックで楽天モバイルに加入できる」と語り、新たな携帯キャリア事業に自信を見せた。また、同カンファレンスは100万人以上が視聴していたという。

楽天回線はエリアはかけ放題・使い放題に

　楽天モバイルの料金プランはこのアンリミットのみ。最低利用期間の縛りはなく、契約解除料金は発生しない。SIMロックもフリーで購入した端末は他の携帯キャリアサービスでも利用できる。楽天回線エリア内のデータ通信は無制限となるが、提携しているKDDIのアンテナを利用する場合は、1カ月2GBまでとなり、2GBを超えると回線速度は通常のスマホの回線速度である128kbbsとなる。制限を超えた容量を使用したい場合、1GBあたり500円のデータ料金となる。

　楽天回線エリアは東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・大阪府・京都府・兵庫県などの一部となる。これらの地域以外はパートナーエリアとなり、データ通信は2G以内に制限される。

早急に対応エリアを全国に拡大

　サービス開始当初の楽天回線は首都圏や大都市に限定され、地方がカバーされていない状況だが、この点について楽天モバイル社長の山田善久社長は、「基地局建設は計画値が当初の予定だった3432局を大幅に上回り、4400局（3月末）になる。計画を前倒して建設を加速しており、2021年3月までには8600局に増やし、早急に対応エリアを全国に拡大したい」と話した。

　また、楽天は同日、衛星アンテナ事業を展開する米国のAST & Science, LLC（本社：米国テキサス州：AST社）に出資し、AST社と戦略的パートナーとなった。宇宙の衛星アンテナから携帯電話の電波を送信するのは世界初という。地方の山間部など電波が届かない地域などは、このAST社のアンテナを活用し、日本全国を100％カバーすることを目指す。山田氏は「エリアカバレッジ100％を目指し、ASTと連携したサービスを早期に実現したい」と語った。

楽天モバイルのMVNOは新規申込を終了へ

　楽天モバイルのアンリミットは、楽天が開発したコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を利用すれば、国内の通話とSMSが無制限となり、海外から国内への通話とSMSを無制限となる。また、日本から海外への通話と海外間の通話がかけ放題となるオプションサービス「国際通話かけ放題」も月額980円で提供する。楽天モバイルの「MVNO」サービスは4月7日に新規の申込の受付を終了し、8日からアンリミットに移行できる。

　また、アンリミット契約者は、利用期間中は共通ポイントサービス「楽天スーパーポイント」がプラス１倍になる。5Gのサービスは6月に開始予定で、５Gのサービスを展開する際には、システムをアップデートするだけで対応可能になるという。

加入者の拡大次第で業績に好影響も

　携帯キャリア事業の目標については、先行投資事業であるため、楽天は「当面は赤字」としているが、加入者が1年間無制限となる300万人を超え、2980円のアンリミット有料契約者が増加すれば、その分は利益となる。また、楽天は世界最軽量という独自のスマートフォン端末『Rakuten Mini』を2万1800円（税込）で販売している。300万人の無料対象者も、楽天モバイル対応端末を購入する必要があるため、端末購入者が増加すれば端末でも利益が得られる。

　楽天会員は１億人以上で、このうち楽天グループサービスの2つ以上を利用するクロスユーザーは7割に達する。楽天スーパーポイントをお得に利用しているこのアクティブなユーザー層は、楽天モバイルにも加入する意欲が高いだろう。現代の生活者に必要不可欠となるスマホのサービスが、楽天エコシステムに新たに加わった。アンリミットは携帯サービスの旋風となるだけでなく、グループ全体の業績にも大きな影響を与えそうだ。

（山本剛資）