2026.09.02 行政情報
特商法の改正方針まとまる、「返品特約」濫用禁止や新たな定期購入対策も(後編)
消費者庁の「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の中間取りまとめは、インターネット通販の返品特約の濫用防止、ECモール・SNS運営会社への対応、消費者被害が後を絶たないレスキュー商法の対策も盛り込んだ。
中間取りまとめを行った「デジタル取引・特定商取引法等検討会」(9月2日午前)
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「返品特約」濫用に行政処分
ネット通販では、商品の到着から8日間は返品が可能(クーリング・オフと違って送料は消費者が負担)とされているが、返品特約がある場合はこれが優先される。一部の事業者では、注文と異なる商品や品質に問題がある商品を届けたのにもかかわらず、返品特約を盾にとって返品を拒否するケースも散見される。
中間取りまとめでは、そうした行為を行政処分の対象として規制するよう提言した。ネット通販を含む通販全般の規制とする方向性が示されている。
トラブル防止で、オンラインショッピングモールやSNSを展開する運営会社が果たす役割が大きいことから、運営会社による「誇大広告」の排除に向けた取り組みを強化する方針も盛り込んだ。
具体策として、運営会社に対し、法律に基づいて誇大広告の削除を要請できるようにすることを挙げた。その際、個別の広告の削除を求めるか、アカウントの停止を求めるかは、個々の事案で判断する。消費者庁の要請に応じて、運営会社が広告を削除した場合は、販売事業者による損害賠償責任を免責するとしている。
ネット広告→来店→勧誘は訪問販売として規制
現行の特商法には、ウェブ広告で消費者と接触し、その後に実店舗で高額な商品・サービスを勧誘する手法に対し、明確な規制が設けられていない。多数の消費者にチラシを配り、目的を明らかにせずに実店舗へ誘い出す手法は訪問販売に当たるが、ネット広告の場合は訪問販売に該当しないとみなされる。
その一方で、ウェブ広告で「無料体験」とうたってエステ店舗へ誘い出し、本来の目的である高額なサービスの契約を強要する事例などが報告されている。
こうした問題に対応するため、ウェブ広告によって来店させて、消費者が想定しない商品・サービスを勧誘するようなケースについては、アポイントメントセールスと位置づけて、訪問販売として規制する考え方を示した。
対象とする行為の例に、「有償の契約の勧誘があることを隠している」「無料で参加できることだけを強調し、販売の意図を否定している」などを挙げた。
広告で低料金を偽るレスキュー商法は処分対象に
「鍵を失くした」「ゴキブリが出た」「車が故障した」といった緊急時に、現場へ出向いてサービスを提供するレスキュー商法をめぐり、消費者トラブルが後を絶たない。これまでに報告された事例に共通しているのは、ウェブサイトで「500円~」などと低料金を強調しているが、見積もりを示さずに、スタッフが現場(自宅など)に出向いてサービスを提供し、数万円~数十万円の法外な料金を請求するという点だ。
中間取りまとめでは、広告で低料金をうたいながら、消費者の自宅などへ出張してサービスを提供した後に高額料金を請求するようなケースを違法行為と位置づけ、行政処分の対象とするよう求めている。
これに加えて、クーリング・オフに応じない場合は迅速に処分する必要があると指摘。「クーリング・オフは適用できない」と嘘をついたり、威迫したりしてクーリング・オフを妨害した事業者には、直罰規定を適用することを明確化するよう提言した。
消費者庁の堀井奈津子長官は中間取りまとめを受けて、「具体的な制度につなげるように、具体化に向けてより詳細な検討を進めていきたい」と述べた。
(木村 祐作)
(了)
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