2026.08.31 通販支援
CRM整備から始まったファッションブランド「KEY MEMORY」の快進撃
鎌倉発のファッションブランドを展開するKEY MEMORYは、直近の3年間で売上高が4.7倍に急成長している。同社の快進撃は、CRM(顧客関係管理)ツール「アクションリンク」との出会いを機に始まった。急成長の舞台裏について、KEY MEMORY代表取締役の鈴木一平氏と、ファブリカコミュニケーションズのアクションリンクプロダクト責任者を務める中村隆嗣氏に話を聞いた。
導入後3年で売上4.7倍、F1からF2への引き上げに成功
――KEY MEMORYさんでは、CRMツール「アクションリンク」を導入する以前、どのよう状況でしたか?
鈴木一平氏(以下、鈴木):導入前もメルマガ配信などを行って、新規のお客様を順調に獲得できていたのですが、F1(初回購入)からF2(2回目購入)への引き上げでつまずき、リピート売上の積み上げに苦労していました。売上構成比で見ると、新規が7~8割、リピーターが2~3割の状態でした。
中村隆嗣氏(以下、中村):新規頼みの構造でリピート売上に課題がある状況だったわけですね。
鈴木:動画広告を重視した広告戦略によって新規のお客様を獲得できていましたが、理想は新規とリピーターの比率を5対5にすることでした。広告で新規を獲得しつつ、リピートによって売上の土台を安定させるというイメージですね。
そこで、お付き合いのあるカートシステム会社に相談したところ、「アクションリンク」をご紹介いただきました。
中村:「アクションリンク」を導入されて約3年が経ちますが、その成長ぶりには目を見張るものがあります。
鈴木:確かに売上規模は大きく変わりました。2023年から25年までの3年間で売上は4.7倍になり、「アクションリンク」経由の月間売上に限ると最大10倍に拡大しました。
KEY MEMORY 売上推移のグラフ(グレーが新規売上、ピンクがリピート売上)
CRM強化してからリピート売上が劇的に伸びているのが良くわかる
――CRM戦略で重視している点は何でしょうか?
鈴木:以前、当社が行ったアンケートで、「KEY MEMORYで買わなくなった理由は何ですか?」と聞いたところ、品質や対応への不満ではなく、「単純に忘れていた」という回答が約9割を占めました。
中村:それは非常に興味深いデータですね。
鈴木:「楽天市場」「Amazon」「ZOZOTOWN」などのプラットフォームで購入した場合、お客様は商品を気に入っていても、どこのショップで買ったのかを覚えていないことがわかりました。
私は、自社ECで実施しているCRMは、“忘れさせない戦略”であると捉えています。お客様に忘れさせない戦略を取れば、リピート購入していただけるのではないかと考えています。
中村:弊社としてもCRMで一番大事なことは「忘れられないこと」とお伝えしており、理解して実践していただいているのは素晴らしいですね。さらにリピーターを増やす具体的な施策はありますか?
鈴木:以前は長いスパンで考えていたのですが、今は最初の1カ月間に集中的にコミュニケーションを取るようにしています。F2への転換は30~60日以内が勝負という確信の下、お客様が忘れないように1カ月以内に情報を届けたことで、リピート率が目に見えて上がりました。
当社が最も重視していることは、F1からF2への転換です。このタイミングでのみ、ステップメールを送信する際に500円オフや700円オフのクーポンを活用して、お客様の背中を押すようにしています。一方、F3やF4へと定着していただいたお客様には、誕生日の特典(1500ポイント贈呈)などにより、スペシャル感を演出しています。
KEY MEMORY 代表取締役 鈴木 一平 氏
毎週6品の新商品投入を支えるメール配信の自動化
――商品戦略についてもお聞かせください。
鈴木:「アクションリンク」を活用して、鮮度の高いメールを自動配信していることも重要施策の1つとなっています。MD(マーチャンダイジング)戦略とも深く関わっていて、当社では毎週金曜日に必ず6品の新商品をリリースしています。品番だと20品番になります。
中村:毎週6品ですか?それは凄いペースですね。
鈴木:常にサイトのトップページやラインアップが入れ替わるので、「アクションリンク」で自動配信される「カゴ落ちメール」や「閲覧リタゲメール」に掲載される商品も、自動的に新しいものに更新されます。
お客様にとっても、「また新しいものが出ているな」と気づいて、サイトを訪れる楽しみが生まれることになります。
中村:なるほど、CRMツールと商品戦略が完全に良い循環で回っている状態ですね。
鈴木:おっしゃるとおりですね。また、新商品のリリースが多いことから、在庫リスクを常に抱えていますが、その点についてはデータに基づいてコントロールしています。例えば、完売しそうな商品については早めに追加発注し、予約販売に切り替えることで、機会損失を防いでいます。
このほかにも商品戦略については、従来手薄だった男性客にアプローチするため、ゴルフウェア「KEY MEMORY GOLF」を展開したことで、さらに売上が伸びました。今では売上全体の約15%を占めるまでに成長しています。
一般的に女性は新しいブランドへ関心が移りやすいと言われていますが、男性の場合、一度気に入ると同じブランドを長く愛用し、LTV(顧客生涯価値)が高くなる傾向があります。実は、当社の累計購入金額のトップ10を見ると、全員が男性です。今後も引き続き、新しい客層へのアプローチを目指していきます。
――業績が急成長しているなかで、組織運営で苦労された点はありますか?
鈴木:大きな決断を迫られたのが、配送業務をすべて外注に切り替えたことです。以前は自社で配送業務を行っていたのですが、事業規模の拡大に伴って、人を増やし、倉庫を広げて配送業務をカバーしようかどうかと悩んでいました。
しかし、将来的な事業拡大を念頭に置きつつ、最終的にはロジスティクスを専門業者に委託することで、商品開発やマーケティングに集中する方向へと舵を切りました。
こうした判断に至った背景として、CRM戦略が軌道に乗り、リピート売上の土台が固まったことがあります。
中村:新規を獲得すれば一定の確率でリピーターになり、売上が積み上がるという確信を得たことで、事業拡大の投資をするという重要な判断ができたわけですね。
ファブリカコミュニケーションズ アクションリンクプロダクト責任者 中村 隆嗣 氏
「鎌倉といえばKEY MEMORY」を目指す
――鎌倉を拠点に置いていますが、地域への愛着が強いようですね。
鈴木:単なる衣類の販売会社ではなく、「鎌倉といえばKEY MEMORY」と言われるような地域に根ざした存在になるという夢があります。
現在、鎌倉に実店舗が2店舗あり、全国の百貨店でポップアップイベントも展開しています。実店舗を訪れたお客様が、その後にECでリピート購入してくださるケースが非常に多いですね。
中村:オフラインの購入体験が、オンラインのLTVを押し上げているということですか?
鈴木:まさにそうですね。北海道や九州などから観光で鎌倉に来られた方が、当社の店舗を観光ルートに入れてくださっているようです。実店舗でスタッフと話をして、ブランドの世界観に触れることで、ファンになっていただいています。
動画の積極的な活用もその一環です。毎週インスタライブを開催したり、商品ページで3人のスタッフが順番に着用する動画を掲載したりしています。作り手の顔が見える安心感を与えるとともに、サイズ選びの不安を解消できるように工夫しています。
――今後の展望をお聞かせください。
鈴木:まずは、先ほどお話したように、鎌倉発のアパレルとして誰もが知る存在になりたいですね。
中村:「アクションリンク」としても、KEY MEMORYさんのような志の高いブランドの成長をサポートしていきたいと考えています!
鈴木:ありがとうございます!CRMは単なるツール導入ではなくて、「お客様との関係性をどう作り、忘れさせないか」という戦略そのものと考えています。これからも「アクションリンク」を武器に、当社らしい顧客体験を追求していきます。
――ありがとうございました。
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