2024.02.22 行政情報
改正景品表示法のポイントとは?(中)
10月1日に施行予定の改正景品表示法は、不当表示の差止請求を行う「適格消費者団体」が、表示を裏付ける根拠を事業者に提出するよう求めることができる規定を盛り込んだ。商品の効果・性能が表示内容と異なることの立証責任を負う適格消費者団体にとって、“武器”になるかどうかが注目される。
適格消費者団体「なら消費者ねっと」の認定書交付式(2月20日撮影)
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内閣総理大臣が認定、全国に26団体
通販業界では、適格消費者団体に対する認識が乏しい事業者も少なくない。まず、適格消費者団体の現状を見ていく。
適格消費者団体は不特定多数の一般消費者の利益を守ることを目的とし、内閣総理大臣が認定する。2月21日現在で全国に26団体がある。
違法な表示や勧誘を行う事業者に対し、差止請求を行うことができる。景品表示法、消費者契約法、特定商取引法、食品表示法に違反する行為のうち、「不当な表示」「不当な契約条項」「不当な勧誘」などが対象となる。
差止請求の第1段階では、法違反の恐れがある行為をやめるように事業者へ申し入れる。申し入れ活動で解決できない場合は、第2段階として裁判を起こすことができる。
適格消費者団体は従来の消費者団体と違って、メインプレーヤーは弁護士が担っている。消費者問題などで実績のある弁護士が、“手弁当”で活動しているというのが実態だ。
これまでに実施された差止請求は約1000件に上る。行政機関による取り締まりにはマンパワーの面で限界があり、全国の適格消費者団体がフォローしているという見方もできる。
活動内容を見ると、健康食品などの大げさな表示、化粧品などの誤認を招く定期購入契約に対する差止請求も多い。また、デジタルショッピングモール運営事業者を相手取った活動も見られるなど、通販業界にとって“身近”な存在となっている。
関西の“切り込み隊長”ともいわれる適格消費者団体の京都消費者契約ネットワークでは、健康食品の折り込みチラシをめぐり、最高裁まで争って成果を挙げた。埼玉消費者被害をなくす会、消費者機構日本、消費者支援機構関西、消費者被害防止ネットワーク東海、消費者ネットおかやまなどでも積極的な活動を展開している。
事業者の「努力義務」にとどめる
不当な表示や取引に対し、適格消費者団体は一般消費者に代わって中止を申し入れ、それで解決できない場合には訴訟に発展することもある。だが、適格消費者団体が敗訴することも珍しくない。
その要因の1つに、商品の効果・性能が表示内容と異なることを適格消費者団体が立証する際に、事業者と比べて保有できる情報量が少ないことがある。
国による景表法に基づく不当表示の取り締まりでは、事業者に対し、表示を裏づける合理的根拠を示す資料の提出を求めることができる。提出されない場合、または提出された資料が合理的根拠と認められない場合は不当表示とみなされる。これを「不実証広告規制」と呼ぶ。
一方、適格消費者団体では、商品の効果・性能が表示内容と異なることを自ら立証しなければならない。立証するには、専門機関による分析などが必要となることもあり、大きな負担がかかる。
そうした事情を踏まえて改正景表法は、適格消費者団体が事業者に対し、表示の裏づけとなる合理的根拠を示す資料の開示を要請でき、事業者は要請に応える「努力義務」を負うという規定を新設した。
改正法で「資料に営業秘密が含まれる場合その他の正当な理由がある場合を除き」、要請に応じるよう努めなければならないと規定。内閣府令(案)では、要請する際に交付する書面の記載事項を定める。要請の理由、開示を要請する表示、希望する開示の実施方法などを記載する。
努力義務にとどめたことについて、適格消費者団体の関係者は取材に対し、「市場で存在感を示したい事業者にとっては、努力義務ではあるが、法律なので守らなければならないという意識があるため、効果はあると思う」(なら消費者ねっと)と話している。
どの程度の効果が発揮されるかは未知数だが、適格消費者団体による不当表示の排除へ向けて一歩前進したかたちだ。
(つづく)
(木村 祐作)
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