2026.06.22 通販会社
EC市場で無双する「ナチュラルベビー」、成長の裏側にあるものとは?
ユーコンスカイ(兵庫県神戸市)が展開するECショップ「Natural Baby(ナチュラルベビー)」は、国内EC市場のベビー用品ジャンルで無双の状態にある。EC運営で必要なすべての取り組みを自社で完結し、競合他社の追随を許さない顧客満足度を実現している。成功の裏側と今後の展望について、同社取締役の佐藤和歩氏に聞いた。
自社物流システムが強みに
――ベビー用品ECショップ「ナチュラルベビー」の現状からお聞かせください。
佐藤和歩氏(以下、佐藤):当社のメイン事業はベビー用品のEC販売で、ECショップ「ナチュラルベビー」を展開しています。ここ5年ほど、ベビー用品のEC売上高で国内シェアトップを維持しています。
「ナチュラルベビー」は商品数が多く、SKU(商品管理の最小単位)で1万点以上を取り扱っています。目指すのは、実店舗の「アカチャンホンポ」さんのように、“何でもそろっている”というところ。多店舗展開については、自社サイトのほか、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon、TikTokショップなどに出店しています。
当社の強みの1つに、物流システムを自社で構築し、大規模倉庫を保有していることがあります。大手ECモールで実施している当日配送や翌日配送も、かなり以前から提供してきました。土日・祝日に商品を発送できる体制も早くから整備済みです。
――「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」でベビー・マタニティのジャンル賞(大賞)を7年連続、Yahoo!ショッピングの「年間ベストストア」を6年連続で受賞しました。成長の秘訣は?
佐藤:う~ん、秘訣…というか、構造的な話ですね。実は国内EC市場では、ベビー用品販売の強力な競合相手が存在しないというのが、正直なところです。
家電ならば、ヤマダ電機さんやヨドバシカメラさんといった大手家電量販店がありますよね。ところが、ベビー用品のジャンルを見ると、実店舗では大手として「アカチャンホンポ」さんがありますが、EC市場では大手販売店が存在しません。
決して「待たせない」カスタマーサービス
――特に重視している取り組みは?
佐藤:そうですね、主に2点あります。1点目は、物流体制の構築に加え、カスタマーサービス(CS)も自社で対応していること。手厚いCSにより、顧客満足度は他店舗様と比べ、圧倒的に高いと自負しています。
2点目は、単なる小売ではなく、自社開発したシステムを活用していること。意外と思われるかもしれませんが、当社の代表がもともとエンジニアだったことから、当社のプログラムシステムも自ら作り上げました。
これによってEC運営の自動化を進め、少人数による運用が可能となっています。その結果、コスト削減を実現しました。さらに、運用工程の多くの部分で自動化を進めたことで、ミスが生じにくい体制を敷いています。
――ユーザーのママさんから高評価を得るために、CSやスタッフの教育で工夫していることは?
佐藤:CSで最も大切なのは、対応のスピードだと思います。これによって顧客満足度の大半が決まると言っても過言ではありません。当社では、お問い合わせをいただいたお客様を待たせることはなく、土日・祝日も含めて対応しています。取扱ブランド数が100程度に上るため、AIを活用して、スタッフ全員が均一で高いレベルの回答をできるようにしています。
スタッフの教育については、余裕のある人員配置を心がけることで、充実化させています。EC企業でよくあるパターンとして、忙しさを理由にスタッフを十分に教育できていないことがあります。そうならないように当社では、1人抜けたから1人足すのではなく、「必要人数+数人」の余裕を持たせた体制としています。
ユーコンスカイ 取締役 佐藤和歩 氏
どこまでをAIに任せるか
――ユーザーとコミュニケーションを深めるための取り組みは?
佐藤:他社さんも同じと思いますが、注文後のお客様のフォローのあり方については、長い年月をかけて研究してきました。どのようにタッチポイントを持ち続けると、いいレビューを書いてもらえるのか、なども含めて重視しています。
ユーザーさんとのコミュニケーション構築では、リアルイベントも手がけています。生後半年の赤ちゃんとママさんを1組として、1回の会で15組が参加します。これを全国各地で年間400回ほど開催しています。
リアルイベントは、ママさんの声を直接聞いて、さまざまなサービスに反映させることが目的。さらに、お客様とのタッチポイントを早期から持つことによって、LTV(顧客生涯価値)を最大化させる狙いもあります。
今後2~3年かけて、年間1000回を開催できるようにしたいですね。さらに、参加者の対象を変えて、リアルでユーザーさんとつながる機会をどんどん広げていけたらと思います。
――順調な成長を続ける一方で、EC運営の難しさもあるのでは?今後の戦略も合わせてお聞かせください。
佐藤:どのようにAIを活用していくのかが、大きなテーマになると考えています。顧客満足度が高いCS対応をすべてAIに置き換えた場合、現状を維持できるのかという疑問もあり、AIで行う部分と人間が行う部分のすみ分けが必要かと。
また、今後モールビジネス自体がどうなっていくのかを吟味することも重要ですね。AIによって商品を買う行動が拡大していくと、ECモールが介在する価値が問われるようになるでしょう。リスクヘッジの観点から、オンライン販売の手法を強化していかなければならないと思います。
メーカー各社が抱える課題を解消
――貴社が保有するECに関する知見は、メーカーにとって魅力的だと思いますが、メーカーをサポートする取り組みについてお聞かせください。
佐藤:メーカー各社様がEC運営で直面する課題として、大きく2点を挙げることができます。1点目は、しっかりしたEC運営体制を構築すること。土日・祝日も含めて当日発送やCS対応を行うことは、ECで売上を伸ばすために必須です。
ところが、そうした体制を構築できていないケースが多いようですね。構築しようとしても、土日・祝日に対応する倉庫と新たに契約したり、CS代行会社に高い料金を払って対応したりすることになります。
2点目は、差別化できるクオリティを自社で持とうとした場合、質の高いEC人材をそろえなければならないこと。EC業界は移り変わりが激しく、各ECモールの仕様変更も頻繁に行われます。メーカー各社様では仕様変更に対応するのに精一杯で、優秀な人材を採用できたとしても、最新ノウハウの検証結果を得ることは困難ではないでしょうか。
当社は、これまでに蓄積したEC全般に関する知見をベースに、多数のジャンル・商品について非常に速いスピードで大規模な検証ができます。そうした知見や仕組みを生かして、メーカー各社様が抱える課題を解決するEC運用代行サービスを提供しています。
当社のEC運営代行サービスは、EC関連業務のすべてを当社が巻き取る点が特長です。物流、CS、コンサル、広告運用なども含め、丸ごと引き受けます。お任せいただければ、短期間にクオリティの高いEC運営を実現します。
業務全般を丸ごと代行するEC運営代行会社もありますが、外部の物流倉庫やコールセンター、デザイン会社などと提携し、1つのサービスとして提供するケースが多いようです。
これに対して当社の場合、すべてを自社で手がけています。このため、複数の企業に利益を分配する必要がなく、手ごろな料金体系を実現しました。メーカー様への案内時のキャッチは、「卸すよりも粗利が5ポイント、10ポイント上がります」。直営にすることで利益率が上がり、その分を再投資して、EC直営店を通じてブランド力の強化につなげていただくことを提案しています。
――最後に、「通販通信ECMO」の読者様へメッセージをお願いします。
佐藤:EC運営はかなり難しくなってきたと感じています。運用組織を整えることにコストを使ってしまい、本来フォーカスすべき商品戦略などにコミットできていないメーカー様も多いようですね。
当社にご依頼いただければ、低コストで迅速にEC運用の体制を整えることができると思います。
――ありがとうございました。
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