民間調査会社の帝国データバンクが27日発表した調査結果から、海外調達や輸入品の利用を行う企業のうち、拠点・調達先の国内回帰や第三国への移転、国産品への変更などを実施・検討している企業が4割に上ることがわかった。
「輸入品から国産品へ変更」は14.4%
海外調達や輸入品の利用を行っている3507社のうち、4割が「対策を実施/検討している」と回答した。
対策の内容(複数回答)は、「輸入品から国産品へ変更」が14.4%、「調達先を海外から国内へ変更」が10.4%だった。
生産の国内回帰については、「海外にある製造委託先を国内へ変更」(4.0%)、「海外にある自社の海外拠点の一部を国内へ移転」(1.8%)、「海外にある自社の海外拠点をすべて国内へ移転」(0.9%)。
「海外拠点の分散、多様化」は6.9%だった。さらに、「海外から国内への移転ではなく、完全な撤退・廃止を検討している」という声も聞かれた。
生産・調達の国内回帰や国産品への変更は合計24.6%に上り、4社に1社が実施または検討している様子が浮かび上がった。特に「建設」と「繊維・繊維製品・服飾品卸売」は47.0%と、全体の40.0%を7.0ポイント上回った。「化学品製造」(46.2%)や「建材・家具、窯業・土石製品卸売」(45.5%)も高かった。
目的は「安定的な調達」が最多
対策を実施・検討している1403社に、その理由を聞いた結果、「安定的な調達」が52.7%で最も多かった(複数回答)。次いで、「円安により輸入コストが増大」が44.6%。「品質重視」(24.3%)を理由に挙げる企業も見られた。
このほか、「リードタイムの短縮」(21.6%)、ウクライナ情勢や台湾有事など「地政学的リスクが増大」(21.0%)、「人件費の上昇で、海外での生産コストが上昇」(14.1%)が続いた。
国内・国産回帰を進められない企業も
海外調達や輸入品の利用を行っているが、対策を検討していない2104社に、その理由を聞いた(複数回答)。「安定的な調達の継続」が48.9%で最多だった。「海外からの調達または輸入品の方が安い」(34.1%)、「品質重視」(15.5%)、「生産・調達コストが増える」(10.5%)が続いた。
国内・国産回帰を行いたいが、国内の生産能力やコストの問題などで進めることができない企業が一定数存在することもわかった。また、人手不足や職人の高齢化による廃業などを懸念する声も聞かれた。
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