消費者庁は28日、「第2回取引デジタルプラットフォーム官民協議会」を開催し、5月1日施行の「取引デジタルプラットフォーム(DPF)を利用する消費者の利益保護法(取引DPF消費者保護法)」に基づき、DPF運営業者に出品の削除を要請した事例を報告した。

オンラインで開催された第2回会合の様子(28日午前)
DPFに違法な電動ノコギリを出品
消費者庁は、DPFで販売されていた違法な電動ノコギリについて、DPF運営業者に対し、出品削除を要請したことを明らかにした。
問題の商品は、電気用品安全法の要件を満たしていないにもかかわらず、PSEマークを表示して販売されていた。PSEマークは国の規制を満たす商品に表示され、マークが付いていないと販売できない。
出品した販売業者への措置は、所管する経済産業省が対応するという。
取引DPF消費者保護法では、DPFに危険な商品や偽ブランド品が出品され、特定商取引法などによる執行が困難な場合、国が取引DPF運営業者に出品削除を要請できると規定している。
出席した協議会メンバーからは、「削除していただいたのは良い事例。解決の方向へ進めばと思う」などの声が聞かれた。
申し出制度の活用は毎月40件以上
取引DPF消費者保護法の申し出制度については、毎月40件以上の申し出があると報告した。
申し出制度は、DPFを利用する消費者の利益が損なわれる懸念がある場合、消費者庁に申し出て、適切な対応を取るように求めることができる仕組み。申し出があれば、消費者庁は調査を経て必要な措置を取る。
申し出件数は5月48件、6月59件、7月40件、8月44件、9月46件に上った。
申し出の内容は、「購入した商品が表示の通りの性能・内容・大きさでなかった」、「現金で購入したのに、返金はポイントだった」、「商品代金に見合わない過大な送料を請求されている」など。
消費者庁の担当官は、「申し出は消費者庁のホームページで受け付けていて、メールでいただくことが多い。個別の案件については関係省庁に相談しながら対応している」(消費者政策課)と説明した。
DPF関連の相談件数も高水準で推移
同法の施行後に、PIO—NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に収集されたDPF関連の消費者相談件数も紹介。商品・サービスを合わせて、5月2590件、6月2599件、7月2340件、8月2381件、9月1552件と高い水準で推移している。
「ネットでプラットフォームのショップから購入した椅子が不良品で、座ったら壊れて転倒し、けがをした。業者の電話がつながらない」などの相談が寄せられた。
(木村 祐作)
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