環境省はこのほど、同省の「令和2年度(2020年度)脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」に、アスクル(株)から応募、申請があった「使用済みプラスチック製品のリサイクルバリューチェーン構築実証事業」を、同省による具体的事業「プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化実証事業(リサイクル事業)」として採択した。
プラスチック資源循環システム構築を加速化へ
低炭素社会と循環型社会の構築に向け、同省はプラスチック資源循環システム構築の加速化を図るため、化石資源由来のプラスチックを代替する再生可能資源由来のバイオプラスチックなどへ普及を促進している。また従来、リサイクルが困難だったプラスチックなどの素材に対するリサイクル技術・システムの高度化を図り、プラスチック資源循環システム全体でのエネルギー起源CO2排出の抑制を推進している。
実証の具体策として同省は、「化石由来プラスチックを代替する省CO2型バイオプラスチック等(再生可能資源)への転換・社会実装化実証事業(代替事業)」と、「プラスチック等のリサイクルプロセス構築・省CO2化実証事業(リサイクル事業)」を挙げている。
クリアホルダーを改修→再製品化までの資源循環バリューチェーンを構築
アスクルが取り組むのは後者。使用済みプラスチック製品のリサイクルバリューチェーン構築の実証事業だ。オフィスから出る使用済みプラスチック製品(クリアホルダー)を回収し、マテリアルリサイクルによる再製品化のための資源循環バリューチェーンを構築する。CO2削減を実現するとともに、回収スキームの構築と再度リサイクル可能な製品化の実現に向けた実証を行う。
同社によると、使用済みプラスチック製品の中でもオフィス用品は、回収スキームがなく産業廃棄物となって捨てられている。しかし、その中でもクリアホルダーは単一素材で、形状も一定なため、スキームを構築することでリサイクルに適していることに着目した。同社は国内でのクリアホルダーの販売量シェアが大きく、販売事業者としての責任という観点からも、実証事業に挑戦することを決定。単なる回収と再資源化だけではなく、その再生原料から製品を製造して販売するという資源循環バリューチェーンの構築をめざす。
回収方法やコストなどを実証実験、協力事業者からニーズをヒアリング
ポイントは2つ。アスクルを利用している事業所に専用の回収箱を設置し、使用済みのクリアホルダーの回収スキームを構築する。回収箱の制作や設置、回収方法やコストなどについて実証を行う。また、回収されたクリアホルダーから再生原料を製造し、同原料を用いてリサイクル製品を製造し、販売する。リサイクル製品については、クリアホルダーの回収に参加する事業所から購入ニーズをヒアリング・調査し、回収した製品のリサイクル製品を購入するという資源循環バリューチェーン構築を検討する。
実施期間は2022年3月まで。白井エコセンター(株)が回収運搬を担う共同事業者となる。事業を通じて使用済みプラスチック製品リサイクルのバリューチェーンを構築し、より多くの参加企業、より多くの製品を対象に、活動を広げていきたいとしている。
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