(株)ワールドがこのほど発表した2021年3月期第2四半期(20年4~9月)連結決算は、売上収益が前年同期比32.8%減の790億7500万円、本業のもうけを示すコア営業損失が83億7900万円(前年同期は69億8100万円のコア営業利益)、四半期損失が110億9900万円(前年同期は60億2800万円の四半期利益)と、大幅な減収減益となった。
コロナ禍で店販が大苦戦
特にコア営業利益に対して、営業利益以下の損益段階で損失が拡大、前年同期に対する減益幅も拡大したが、公表していた構造改革の実施に伴う一時費用・損失が主因で、一時費用・損失54億1600万円を計上した。
売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う店舗の臨時休業や営業時間短縮などで大幅な減収。緊急事態宣言解除後の店舗売上は想定以上のスピードで回復したが、7月以降は感染再拡大の状況が続き、もともと集客力が高かった都心部の駅ビルや百貨店では、依然として顧客の戻りが緩慢な状況が続いた。
EC売上の成長率は中間期通しで39.3%増
一方、EC販路は顧客流入の傾向が継続し、自社ECサイトを中心に売上成長率が大きく上昇した。前年同期比で7月は36.9%、8月は54.8%、9月は21.1%とそれぞれ増加。上期を通しても同39.3%の増加となった。
利益率は8pt減、希望退職など経費嵩み
利益面では、店舗での販売機会を失った春物商品の在庫消化を推し進めたことから、値引き販売の増加を背景として、売上総利益率が前年同期比8.0ポイント減の50.7%と大幅に低下した。構造改革に伴うブランドの終息や統廃合、低収益店の撤退などにより、退店に伴う減損損失、ブランド終息にかかるのれんの減損損失や商品廃棄損、また希望退職者募集の実施による特別加算金などをその他の費用に計上したことで損失を計上した。
また、外出自粛といった顧客行動の変化に合わせて、全社横断のタスクフォースで積極的なオンライン販促に代表される活動を推進した結果、すべてのブランドが一斉にEC売上を増加した。
ブランド事業の売上収益は702億3600万円(前年同期比35.7%減)、コア営業損益が106億5900万円(前年同期比150億7900万円減)と減収減益となった。アパレル業態では、近隣型ショッピングセンターに展開する「シューラルー」に売上回復が見られるものの、百貨店や駅周辺の集客力回復に苦戦。一方で、ウィズ・コロナの生活をサポートする生活雑貨業態は健闘。「ワンズテラス」や「212キッチンストア」が前年同期を上回る売上水準で推移した。
デジタル事業は7.8%増で増収減益
デジタル事業は、売上収益が123億3000万円(前年同期比7.8%増)、コア営業損益が9億8300万円(前年同期比5億92百万円減)と増収減益になった。B2Bソリューションは、EC販路へ多くの商材を振り向けた結果、ECの売上好調によって運営受託収益が増加した。ただ、一時的に増加した春夏在庫の消化促進とEC売上成長のスピードアップのため、販促費用を積極的、先行的に投下したことで経費も増加した。
「ラグタグ」店販やシステム切替で苦戦
一方、B2Cネオエコノミーでは、ユーズドセレクトショップ「ラグタグ」を営む(株)ティンパンアレイで、海外からのインバウンドを含んだ店頭の客数減を受けたほか、EC販路でも基幹システムの切り替えで一時的に売上収益が落ち込んだことも響いた。
プラットフォーム事業の売上収益は424億5000万円(前年同期比21.9%減)、コア営業利益が29億3600万円(同188.8%増)と減収増益になった。生産プラットフォームではコロナ禍でアパレル生産が落ち込む中、医療用ガウンの生産を開始した結果、受注・生産拡大によって収益性が大きく改善した。
販売プラットフォームでは、アウトレット店舗事業や催事での集客の減少や、店舗人員の最適配置による収入は減少したものの、雇用調整助成金収入による人件費負担の軽減などが収益を下支えした。また、ライフスタイルプラットフォーム(空間創造)では、ホテルやアパレル事業などの開業・改装案件の中止や延期が相次いだ影響を受けた。
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