(株)ワコールホールディングスがこのほど発表した2021年3月期第2四半期(20年4~9
月)連結決算は、売上高が前年同期比27.9%の731億5500万円、営業利益が同86.6%減の12億7600万円、純利益は同73.3%減の17億8200万円となった。
売上高は1Qより改善するも苦戦
新型コロナウイルスの感染影響が長期化する中、国内外ともに回復のペースは緩やかなものにとどまった。減収減益で着地したものの、売上高、営業利益、純利益とも赤字予想は回避。ECが好調に推移して高成長をみせたことが、一転して黒字で着地した主要因だ。
四半期売上高は、前年同期比39.7%減となった第1四半期より改善したが、国内外ともに実店舗への来店客数の戻りが鈍く、同17.6%の減少となった。営業利益は減収影響により大幅な減益となったが、グループ各社で経費削減に努めたことなども含め、黒字を確保した。
自社EC44%増で店販の苦戦補完
実店舗販売の苦戦を補完したのがECの好調ぶり。国内は小売で直営店、カタログが減少する中、自社ECが前年同期比44%増と大幅増。卸売でも百貨店をはじめ、量販店、専門店などが軒並み減となった一方、他社ECが同3%増と健闘した。
国内ワコールは9億8500万円の営業損失
ワコール事業(国内)は、売上高が前年同期比29.0%減の410億3100万円、営業利益が同85.4%減の9億1300万円となった。構成比は56.1%。うち、ワコールの売上高は同30.6%減の384億5000万円、営業損失は9億8500万円(前年同期は49億.9000万円の営業利益)となった。
コロナ禍で外出を控える動きが続く中、自社ECについては、睡眠時専用ブラジャー「ナイトアップブラ」など、巣ごもり需要を捉えた商品の販売が好調に推移し、前年同期に比べ65.9%の大幅増となった。
また、直営店を展開する小売事業は、店舗の臨時休業の影響を大きく受けたが、その後は順調に回復し、四半期の売上高は前年同期比4.2%の減少にとどまった。卸売事業の売上高については、移動や人混みを回避する消費者の意識や行動の変化に伴い、百貨店などの都心部店舗への来店客数が減少し、伸び悩んだ。なお、3DボディスキャナーやAI活用の接客システムは、9月末時点で12店舗への導入を完了している。
ワコール事業(海外)の売上高は、前年同期比27.7%減の197億500万円、営業損益は2億8700万円の営業損失(前年同期は30億2300万円の営業利益)となった。減収影響に加え、前期に買収した Intimates Online, Inc.の早期成長に向けて、戦略的なマーケティング投資を継続したことから、営業損失となった。構成比は26.9%だった。
ピーチジョンは売上増、利益も大幅改善
ピーチ・ジョン事業の売上高は、前年同期比6.3%増加の58億1000万円、営業利益は10億4600万円(前年同期は1億円の営業利益)と大幅な増益となった。自社EC事業は新規顧客が増加し、前年同期と比べ50%を超える成長となったほか、営業再開以降の直営店事業も堅調に推移。増収効果に加え、自社EC売上の構成比の高まりによる売上利益率の改善が増益に寄与したほか、店舗の臨時休業に伴う賃借料の減免なども影響した。
通期業績予想を修正、損失幅を縮小予測
上期でECが高い成長を維持できたことなどから、21年3月期通期(20年4月~21年3月)の連結業績予想を修正した。営業損益を50億円から10億円(前期は66億3200万円の営業利益)へ、純損益を37億円から5億円(前期比8.0%減)に、それぞれ上方修正。売上高は1580億円から1560億円(同16.5%減)を見込んだ。
同社は再成長と高収益の経営体質構築に向けた取り組みを推進し、オンラインとオフラインを融合するオムニチャネル戦略や、顧客起点によるバリューチェーン改革の実行などを通して、新たな時代に顧客が求めるサービスや価値を継続的に提供していくとしている。
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