2026.09.04 コラム
キッズもスキンケアの時代 ! 親世代の関心高まり市場が拡大
幼児から小学生向けのスキンケア市場が、ジワジワと広がっている。親世代から関心が高いのが特徴で、敏感肌やニキビ、UV対策など、キッズを対象にさまざまなスキンケア商品の投入やブランドの参入が相次ぐ。肌のカウンセリングや体験型イベントといったリアル機会を通じたアプローチも目立ち、有望市場となりつつある。
ベビーからキッズへと徐々に市場が拡大
これまでの子ども向けスキンケア市場ではベビー向け商品が先行していたが、幼児や学童に特化した商品やブランドはあまり見受けられなかった。子どもたちの関心はスキンケアよりもリップなどのカラーコスメに集まりがちで、スキンケアは独立市場として生まれにくい状況と言えた。
その一方で、子どもの紫外線対策などに対する親からの関心は徐々に高まりを見せている。さらに、花王やファンケルなど大手化粧品メーカーによる学校を通じた“肌トラブル予防”の学習をはじめ、冊子や試供品の配布が潜在需要を掘り起こす形となった。
また、子どもたちの意識も次第に変化し始めており、市場調査会社のミンテルジャパンの2025年調査によれば、小学校高学年女子の8割近くがスキンケアを実施。習慣化する兆しが見え始めているという。
化粧品専門紙の週刊粧業によれば、国内キッズコスメ市場は2023年時点で約100億円から150億円で、2025年には200億円規模へ拡大する見通しとされている。カラーコスメも含む数値と見られスキンケア単独の規模は確認できないものの、注目市場として伸びていくことが予想される。
初のキッズ向けシリーズが大好評のファンケル
こういった市場環境を背景に、自社初のキッズ向けスキンケアシリーズ発売に踏み切ったのがファンケルだ。小学生のためのスキンケア商品として、2024年12月に泡洗顔料とジェルミルクの「クリアアップ」シリーズを新発売した。泡で洗い上げる泡洗顔料と洗顔後に肌を潤し皮脂バランスを整えるジェルミルクで、ニキビや肌荒れを予防する。
企画にあたり、「子どもの頃からスキンケア習慣を持つこと」を重視したプロジェクトをスタート。小学生の肌は外見上きれいに見えても、実は乾燥しやすくトラブルが起きやすいことに着目。皮脂が増える年代からスキンケアすれば肌不調の予防につながるとし、独自の無添加処方により、肌のバリア機能をサポートする成分や肌荒れ・ニキビ予防の成分などを盛り込んだ。
「クリアアップ」シリーズの売り上げは発売2カ月で計画比約250%と、予想を大きく上回った。ジェルミルクの「先着5,000人モニターキャンペーン」も募集後3日間で終了するなど大好評で、改めて需要の高さを示した。小学生特有の肌状態に着目した新しい発想のスキンケアが、保護者のニーズに合致したとみている。
勢い付いた同社は2026年7月、新たなサービスとして「キッズ肌カウンセリング」を全国の直営店で始めた。皮脂量が急に増え始め肌の悩みを自覚しやすくなる10歳以上が主な対象で、肌状態を可視化する機器「スキンチェックスコープ」を使って肌のキメや水分量を測定。カウンセリング結果から、一人ひとりの肌状態に合わせた手入れ方法やスキンケア商品を提案する。
7月には夏休み特別イベントとして、小学4~6年生とその保護者を対象に「キッズスキンケア&紫外線対策講座」を開催。リアル会場とオンラインを合わせ、全国から約600組の親子が参加した。
「キッズ肌カウンセリング」のイメージ画像(出典:ファンケル)
機能アップしたリニューアル商品や自分でデザインするボトルで訴求
早期からキッズ用スキンケア市場に参入しているのが、ベビーや母親を対象とした敏感肌スキンケアメーカーのナチュラルサイエンスだ。2019年からキッズラインを展開していたが、2022年12月に4歳から10歳頃向けの「ママ&キッズ キッズライン」をリニューアル。ローションとクリーム、ボディローション、ヘアシャンプーで、保湿力とバリア機能をよりアップした。
2023年11月には、既存のスキンケア「オリゴライン」を、「敏感肌フェイスケア」とリニューアルし販売を始めた。ベビー肌の研究から積み上げた技術を応用して開発したもので、クレンジングや洗顔料、乳液などを組み合わせ、乾燥敏感肌向け「モイスト」と混合敏感肌向け「バランス」の2タイプで展開する。
さらに、「敏感肌フェイスケア」の「ドリームデザインボトル」を同年12月にリリース。中身はそのままに、3歳頃から思春期前の子どもたちが自らスキンケアをしたくなるような楽しいデザインバージョンを開発した。夢や空想の世界がコンセプトで、商品に付属するマーメイドなどのシールでデコレーションし、世界にひとつだけのボトルが完成するようにした。
さらに26年7月には、「敏感肌フェイスケア」の「ドリームデザイン トライアルセット」を発売。お試し用として使え、旅行時にも便利なコンパクトサイズの4商品セットとなる。
子ども自身がデコレーションするデザインボトル(出典:ナチュラルサイエンス)
廃棄予定ボトルを使ったプロジェクトやキッズラインへの進出も
ベビーから12歳頃まで使えるスキンケア、ボディソープ、UVケアなどのブランド「ママベビー」を展開するpPも、次々に新商品をリリースしている。2026年4月にはUVミルク2種とUVスプレーの全3商品を、スヌーピー柄のデザイン容器で発売。好評を博し、全商品が約3カ月で完売した。
7月には、ボディソープやシャンプー、ミルクローションなどの「アップサイクルキット」を数量限定で発売。わずかな傷や色ムラなどを理由に廃棄される予定だった製品ボトルを活用し、子どもたちが自由にステッカーを貼ってマイボトルを作成するプロジェクトの再販となる。セットには、製品レフィル、空容器、ポンプ、オリジナルステッカーが含まれる。
スヌーピーデザイン容器の全商品は3カ月で完売(出典:pP)
ベビー用スキンケアを手がけてきたブランドが範囲を拡大し、キッズラインに進出する動きもある。オーガニックベビースキンケアブランド「アロベビー」を展開するSOLIAは2024年11月、洗顔料やボディソープなど3品をラインナップしたキッズ用シリーズ「アロベビー フォーキッズ」を発売した。天然由来・国産オーガニック・無添加・弱酸性が特徴で、2歳頃から大人まで使え、ベビー時代より活発になる子どもの汗や皮脂、ニオイなどをケアする。
花王の日焼け止め商品は予想の2倍を売り上げる大ヒット
社会と連携する取り組みの一環として20年以上にわたり全国の小学生に洗顔料とスキンケア冊子を配布してきた花王は、キッズ向けスキンケアの先駆者ともいえよう。その花王が昨今力を入れているのが、子どもへの日焼け止め習慣の提案だ。
子どもは外遊びなどで紫外線を浴びる機会が多い一方で日やけ止めの使用率は低く、からだが地面に近いため照り返しの影響を受けやすい。こうした背景から2025年4月以降、ファミリー層に向けに、紫外線対策習慣を育む体験型リアルイベント「おでかけ太陽の教室」に取り組んでいる。
ファミリーが集う全国の動物園・遊園地・ショッピングモールなどで教室を開催。家族でシェアできる日やけ止めの試用体験や、目に見えないUV塗膜を可視化できる独自のUVカメラを使って塗りムラをチェックする体験などを提供してきた。
このような経緯もあり、2026年3月には子ども向け日やけ止め「ビオレ キッズスタンプUV」を発売した。日やけ止めを塗ることを嫌がりがちな子どもが楽しく使用でき、習慣化できるように開発。スタンプのように腕などに押し当てると、液体が動物の「肉球」の形で出てくるアイデアを取り入れた。子どもが進んで塗る工夫を凝らしたこともあり、発売から約1カ月で21万本、約4カ月で累計30万本と、計画比のおよそ2倍で推移するヒット商品になったという。
肉球スタンプのアイデアが大ヒットにつながった(出典:花王)
まとめ
出生数が減少する一方で、子どもに対する健康志向の高まりや一人あたり支出の増加が目立っている。子どもの敏感肌対策やUVケアがごく当たり前になったことで、キッズスキンケア商材は独立市場として形成されつつある。
また、各社の取り組みは単なる商品販売にとどまらず、企画力やイベント色を打ち出しているケースが目立つ。こういった工夫を重ねていくことにより、さらなる成長分野として期待できるのではないか。
執筆者/渡辺友絵
【記者紹介】
渡辺友絵
長年にわたり、流通系業界紙で記者や編集長として大手企業や官庁・団体などを取材し、 通信販売やECを軸とした記事を手がける。その後フリーとなり、通販・ECをはじめ、物 流・決済・金融・法律など業界周りの記事を紙媒体やWEBメディアに執筆している。現在 、日本ダイレクトマーケティング学会法務研究部会幹事、日本印刷技術協会客員研究員 、ECネットワーク客員研究員。
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