2026.06.23 通販支援
「laugh.」成長の舞台裏…新規とCRMで勝ち続ける理由とは?
コンバージョン1件にかかる費用を示すCPAが10万円超という危機的状態を乗り越え、デリケートゾーンケア業界でNo.1へ躍り出たlaugh.代表の林千尋氏と、立ち上げから伴走してきたダイレクトマーケティングゼロ代表の田村雅樹氏が対談した。どのようにしてCPA基準をクリアし、LTV(顧客生涯価値)を伸ばし続けたのか――。HRCグループ初の定期商材として、大ヒット商品を生み出した施策を公開する。
惨憺たる立ち上げ、10万円超のCPA
田村雅樹氏(以下、田村):デリケートゾーンケアブランド「laugh.」を5年前に立ち上げ、すごい勢いで成長し続けて、販売数が累計350万個を突破しましたが、立ち上げ時は惨憺たるものでしたね(笑)
林千尋氏(以下、林):5年前はデリケートゾーンケアの商品が市場にありませんでした。そうした状況のなかで「laugh.」を立ち上げたのですが、世の中の認識は「デリケートゾーンケアって何?」というものでした。いざ商品を市場に出してみると、商品の魅力を伝える以前にカテゴリの啓蒙から始めなければならず、シナリオ通りに進みませんでした。
田村:ところで、なぜデリケートゾーンケア商品を手がけようと思ったのですか?
林:新規事業の立ち上げを検討した際に、女性の8割がデリケートゾーンについて何らかの悩みを持っているという調査データに着目しました。悩みを持つ女性を救うというHRCグループの理念にも沿っていたので、何かできないかなと考えたわけです。そこで、テストマーケティングを実施したところ、悩みを持つ女性に買っていただけることがわかりました。
田村:当時、LTVは1万円台中盤で、継続率は悪くなかったと思います。しかし、手探りによるマーケティングを強いられた結果、初月の月間コンバージョンはわずか14件、CPAは10万円超に。10万円かけて1万台半ばを獲得するという割が合わない感じでしたね。
林:当初ぜんぜん売れずに、「どうしよう」という感じでした。おっしゃるようにLTVは1万円台中盤で継続率は悪くなかったものの、CPAとのバランスがまったく取れておらず、当時、社内から撤退のプレッシャーを強くかけられるほどの危機的な状況でした。
株式会社laugh. 代表取締役 林千尋 氏
“香り”に関する施策の変更が転機に
田村:そうした状況下で、取り組んだことを振り返っていただけますか?
林::正解がわからない市場であったため、短期間で大量のバナーや記事のテストを実施し、どのような訴求がお客様に刺さるのかを探り続けました。
さらに、チャットボットを導入し、お客様が購入に至るまでの細かな離脱ポイントを徹底的に潰していきました。例えば、郵便番号を入力する際に外部サイトへ飛ばすのではなく、自動入力にする。クーポンの画像を2Dから3Dに変更し、「ちゃんとした箱から出てきた」という保有効果(手放したくない心理)を刺激する。そうした心理的なハードルを下げる工夫を重ねました。
田村:商品づくりで重視した点としては、どのようなことがありましたか?
林:香料を入れたことも売上増のきっかけとなりました。当初は肌への優しさを最優先して、「すべての女性が使えるように」と無香料の製品のみを展開していました。無香料とした理由は、少しの香料であっても、肌が敏感で使用できない方がいらっしゃったからです。
ところが、「香りで気になるニオイを打ち消したい」という要望が多いことに気づき、その後、テスト的に香料入りの製品を追加したところ、これが大ヒットする契機となりました。
田村:訴求方法をテストしていくなかで、気になるニオイをなくすという点に加えて、パートナーとの関係で自信を持てるという訴求もあり、ポジティブになれることもよかったのかと思いますよ。
林:そうですね。この成功を踏まえて、香りを前面に押し出すために、パッケージも刷新しました。初期のパッケージは透明でしたが、医薬部外品のような「悩みがある人が使う薬っぽいもの」というイメージを持たれる懸念がありました。
そこで、香りのバリエーションを視覚的に打ち出しつつ、ハードルを下げて、誰もが使用できる商品であることが伝わるように、かわいいイメージのパッケージへとリニューアルしました。
田村:そうした地道な取り組みが実を結び、その結果としてCPAは10分の1に激減し、新規獲得数も約50倍へと劇的な成長を遂げたわけですね。
株式会社ダイレクトマーケティングゼロ 代表取締役 田村雅樹 氏
画期的な導線設計にチャレンジ
田村:次に、LTVをどうやって伸ばしていったのか。LTVを向上させるためには、継続率を上げるか、クロスセル率を上げるしかないよねということで、両方をテストしました。
「laugh.」が選んだのは、一般的な「まとめ売り」ではなく、「クロスセル(複数商品のセット販売)」という戦略でした。データ分析の結果、ウォッシュ(洗浄料)単体で購入したお客様よりも、ウォッシュとクリームをセットで購入して併用していただいたお客様の方が、効果を実感しやすく、継続率が圧倒的に高いことが判明したからです。
実は、クロスセルを成功させるために、2つの画期的な導線設計を取り入れました。その1つとして、“ボット冒頭クロスセル”を試みました。
通常、チャットボットでは、まず単品を売り切ることに注力しますが、「laugh.」はあえて冒頭の画面から単品とセットの2つの選択肢を並べて提示しました。最初に単品ですか、セットですかと聞くことには勇気が必要ですが、これがはまりましたよね。
林:そうなんです!お客様に最初からセットの存在を認知させて、自然な流れでセットを選んでいただくことで、離脱率の低下に成功しました。セットをより強く押し出して見やすくしたのですが、自然にセットを選んでいただけるようになりました。
田村:もう1つの取り組みとして、冒頭で単品を選んだお客様に対し、購入完了後のサンクス画面で「クリームを追加しませんか」というオファー(ダブルサンクスクロス)を提示しました。ルーレット機能を持たせてゲーム感覚を演出したり、オファーを見送るボタンの文言を「破棄する」という強い表現に変更したりしました。これにより、お客様の「せっかくの権利を逃したくない」という心理に働きかけたわけです。
この結果、初回購入者のうち、セットを購入する割合(F1セット率)が47%という驚異的な数値を記録しました。通常、クロスセル商品は単体よりも高額になるためにハードルが高いのですが、それを乗り越えることができました。LTVは1.4倍に跳ね上がり、1件あたりの粗利が大幅に改善するという大成功を収めました。
「恥ずかしい」という概念を覆すPR活動
田村:「laugh.」の今後については?
林:現在、PRにも力を入れています。どれだけ広告を打っても、その大前提として、お客様に製品の必要性を知っていただくことや、恥ずかしいと感じている状況を覆すところから、取り組まなければならないと考えています。このため、そうしたところを変えるためのPR活動を展開しています。
「デリケートゾーンケアを日本の当たり前の文化にする」というブランド立ち上げ当初からの目標に向けて動いています。獲得型の広告だけでなく、PRやブランディング活動にも投資しています。著名なユーチューバーやインフルエンサーを起用した啓蒙プロジェクトを立ち上げて、オープンに語り合える空気を醸成しようとしています。
田村:今では日本を代表するブランドになり、今後の展開にも期待したいですね。
林:急成長の裏で、パートナーのダイレクトマーケティングゼロさんの存在は不可欠でした。圧倒的な情報量・事例の蓄積があり、他社で上手くいった事例、失敗した事例を基に、次々と新しい一手を提案してもらえた点が大きな助けとなりました。
また、お客様の視点に基づくストレートな意見も貴重でしたね。「リアルな店舗でその接客をされたらお客様はどう思うか」「その広告は女性から見て違和感がある」など、お客様の目線に立った厳しい意見をいただけたことが、ブランドの健全な成長につながったと思います。
田村:それは言い過ぎですよ(笑)本日はありがとうございました!
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