2026.06.08 行政情報
市販薬のオーバードーズ対策、販売規制だけでは限界も
市販薬のオーバードーズを防止するため、厚生労働省は医薬品医療機器等法(薬機法)を改正して5月1日に施行したが、複数店舗での買い回りを防げないという指摘もあり、またオンライン販売ルートの縮小が予想されるなど、その効果が注目されている。
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中学生の55人に1人が濫用を経験
薬機法に「指定濫用防止医薬品」の枠組みを設け、国が指定した成分を配合する市販薬の販売方法を従来よりも厳しくした。市販薬のオーバードーズを防ぐための措置だ。
国立精神・神経医療研究センターの研究によると、過去1年に市販薬の濫用経験がある中学生は55人に1人を数えた。気分を抑制したり、幻覚を求めたりすることが目的とみられる。危険ドラッグの濫用とともに、若者を中心にオーバードーズが流行していることから、行政側も危機感を募らす。
指定濫用防止医薬品として、従来の「濫用等の恐れのある医薬品」に該当するかぜ薬と解熱鎮痛剤の6成分に、せき止めの2成分を加えた8成分の市販薬を位置づけた。これに加えて、販売者に対し、購入者の氏名・年齢、他店舗での購入状況をはじめ、複数個や大容量製品を購入する場合にはその理由を確認するなど、厳格な販売方法を義務づけた。
オーバードーズの根底に“生きづらさ”
今回の改正について、インターネット通販業界は頭を抱えているようだ。業界団体の新経済連盟が昨年10~11月、ECモールの医薬品販売事業者を対象に行った調査では、「ビデオ通話による販売を予定している」と回答した事業者はわずか6.8%で、「システムの導入が困難」「販売フローが複雑」という課題が浮かび上がった。
改正法案を審議した参議院の附帯決議でも、地域・人によって医薬品へのアクセスが容易でないことを踏まえ、濫用防止と利便性のバランスを求めたが、オンライン購入の機会が減少する可能性もある。また、販売時には他店舗での購入状況を確認するものの、専門家の間で、複数の店舗で買い回る行為を防止することは困難という声が聞かれている。
国立精神・神経医療研究センターの研究によると、市販薬の濫用経験がある中学生には、学校や家庭で孤立し、生きづらさを抱えているという傾向が見られた。「生きづらさをかなり感じている」と答えた中学生は、濫用経験があるグループが21.1%、濫用経験がないグループが6.1%と大きな開きがあった。
今回の措置により、オーバードーズ防止へ一定の効果が期待される一方で、抜本的な解決につながらないという見方も根強く、今後は啓発活動の強化や相談窓口の拡充なども求められそうだ。
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