2026.05.11 コラム
いまさら聞けない法制度の基礎~薬機法と健康食品の広告(前)
健康食品を販売する通販会社にとって、特定商取引法や景品表示法と並び、医薬品医療機器等法(薬機法)の順守は極めて重要となる。健康食品の広告で「糖尿病を改善」「がんが治る」などとうたうと、薬機法違反によって行政指導・処分のほか、刑事事件として扱われる恐れもある。薬機法とはどのような法律なのか、通販会社はどのような点に注意すべきかを見ていく。
▽関連記事
医薬品的効能効果うたう食品は“無承認の医薬品”
薬機法は厚生労働省が所管する。「保健衛生の向上を図る」ことを目的に、医薬品・医薬部外品・化粧品などを対象に、品質や安全性の確保と危害の発生・拡大防止に必要な規制を設けている。
薬機法は直接的には医薬品や医薬部外品などを規制しているが、健康食品を扱う事業者も取り締まりの対象となる。その際に用いられる規定は事件の内容によっていくつかあるが、代表的なものに、第68条の「承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止」がある。
第68条では、医薬品などについて「何人も~(略)~認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告をしてはならない」と定めている。
例えば、サプリメントを販売する際に、広告で「高血圧が治る」「がんが改善する」「糖尿病がよくなる」など医薬品的な効能効果をうたった場合、サプリメントは“無承認の医薬品”とみなされる。国の承認を受けていないにもかかわらず、医薬品的な効能効果を広告したとして、薬機法違反に問われることになる。
第12条の「製造販売業の許可」が用いられるケースもある。ここでは、「(略)厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品または化粧品の製造販売をしてはならない」と定めている。
薬機法に基づく健康食品の販売事業者の取り締まりは後を絶たない。厳しく取り締まる背景の1つに、患者の生命を守ることがある。病気の予防・改善効果をうたう健康食品の広告を放置すると、広告を信じた患者が医療機関を受診しなくなったり、服薬を自分の判断で中止したりする懸念がある。その結果、患者は病状を悪化させることになる。
薬機法は「何人も」規制
薬機法の規制対象は、「何人も」とされている。景表法では基本的に販売事業者を規制し、広告代理店やアフィリエイターの処分に至らない。これに対し、薬機法は販売事業者に限らず、広告代理店・メディア・アフィリエイター・インフルエンサー・研究者などにも規制が及ぶ。
健康食品の広告が薬機法に抵触すると判断された場合、行政指導でとどまるケースや刑事事件として扱われるケースが考えられる。これに加えて、2021年8月からは「措置命令」も出せるようになった。措置命令の内容は、違法な広告をやめる、違反した事実を消費者へ周知する、再発防止策を講じる、違反行為を繰り返さない――の4点で構成されている。
このように薬機法は、健康食品の広告で医薬品的な効能効果をうたう行為などを規制しているが、例外規定も設けている。具体的には以下の3点だ。
・野菜、果物、調理品など外観や形状から、明らかに食品と認識される物(明らか食品)
・健康増進法に基づき許可を受けた内容を表示する特別用途食品(トクホ)
・食品表示法の食品表示基準に基づき届け出た内容を表示する機能性表示食品
ただし、トクホは許可内容、機能性表示食品は届出内容を逸脱して、医薬品的な効能効果をうたうと、薬機法による取り締まりの対象となり得る。
(つづく)
※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。
資料DLランキング
-
1
機能性表示食品の基礎と落とし穴
-
2
オリジナル商品 Webデザインシミュレーター 『i-DESIGNER』
-
3
【生成AI×EC】EC運営でのAI活用方法
-
4
【AIタッガー】SEO×GEO AI検索時代の“見つかる力”を最大化
-
5
クロスセルを促進して顧客単価を向上!レコメンドサービス
ニュースランキング
-
1
【5月11日9時更新:物流配送状況】日本郵便/ヤマト運輸/佐川急便/西濃運輸/福山通運
-
2
決済ソリューション「WorldFirst」、海外展開を狙うEC事業者が選ぶ理由とは?
-
3
LINEヤフー3月期、売上収益が過去最高の2兆363億円
-
4
阪急阪神グループ、「S STACIAカード」を新たに発行
-
5
「しばりなし」定期購入の申込でアップセル “ちょっと待った”は違法の恐れ(後編)
