2024.02.09 行政情報
疑義が生じた88商品はどうなる?…機能性表示食品の「届出制」を考察(前)
昨年6月の機能性表示食品をめぐる景品表示法違反事件を機に、疑義が生じた88商品のうち、いまだに30件近くの機能性表示食品が「販売中」となっている。消費者庁はホームページに届出を撤回していない商品の一覧表を掲載し、一般消費者へ情報提供しているが、可能な対策はこれが限界とみられる。この問題は、届出制を採用している機能性表示食品制度の課題を突き付けた。

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疑義が生じても30近くの商品が今も「販売中」
消費者庁は昨年6月30日、機能性表示食品の販売会社に対し、景品表示法違反により措置命令を出した。初めて機能性の科学的根拠にメスを入れ、その根拠とした研究レビューが不適切であると指摘した。
研究レビューとは、国内外の研究成果をデータベース上で収集し、機能性の有無を総合的に判断するという手法。機能性表示食品については、原料メーカーなどが自社原料を対象に研究レビューを実施し、その結果を多数の販売会社(原料メーカーの取引先)が使い回すという状況が続いている。
そうした構造となっていることから、景表法違反事件の余波は、同じ研究レビューを用いて届出を行っていた他社の88商品にも及んだ。消費者庁は88商品について、各販売会社に科学的根拠の再検証を求めた。
この結果、88商品すべてで届出撤回の申し出(意思表明)が行われた。88商品のすべての販売会社が、科学的根拠が不十分であると認めたわけだ。ところが、実際に届出を撤回したのは1月30日時点で54商品にとどまっている。残り34商品のほとんどが、違反事件から7カ月経過した今も「販売中」のままだ。
一般消費者からすると、科学的根拠に問題があるにもかかわらず、なぜ、機能性表示食品として「販売中」なのかと首をかしげてしまうだろう。各販売会社の一般消費者に対する姿勢も問われるが、今回の問題を通じて届出制の運用の難しさが浮かび上がった。
届出制…強制的な排除は困難
届出制は行政手続法で定めている。それによると、「届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が貼付されていること、その他の法令に定められた届出の型式上の要件に適合している場合」は、行政機関に届出が到達した時点で、手続き上の義務が履行されたものとすると規定。つまり、形式上、届出書類に不備がなければ届出は完了するということだ。このため、機能性表示食品についても、いったん届出が行われ、消費者庁のホームページに公表されると、その後に疑義が生じたとしても、消費者庁では撤回を強要することが困難となる。
取材に対し、消費者庁では「届出制なので撤回を強要する権限がない」(食品表示企画課保健表示室)と説明する。
2月1日の定例記者会見で記者の質問に対し、消費者庁の新井ゆたか長官は、届出制の枠組みの中で問題のある届出を排除できる可能性について次のように語った。
「それは制度的にというか、行政法の構造上なかなか難しいと思う。届出というのは届け出るという制度なので、許可でも認可でもない」。
届出制の場合、制度の立て付け上、行政機関が強制的に排除することは困難とみられる。そこで消費者庁は、疑義が生じた88商品の一覧表を作成し、届出撤回の進捗状況をホームページ上で公表している。商品名・企業名・成分名などとともに、連絡先の電話番号も記載している。
これは、一般消費者が販売会社に問い合わせをしやすくするためのものだが、各販売会社に届出撤回を促すという狙いも垣間見える。いわば苦肉の策である。
少しずつだが、撤回していない商品数は少なくなってきている。消費者庁では「(残りが)ゼロになるまで公表を続ける。撤回の意思は受けているので、(一覧表の公表も)いずれ終わる」(同)と話している。
(つづく)
(木村 祐作)
(木村 祐作)
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