2019.11.12 調査・統計
アパレル小売の倒産急増、前年比2.3倍…ECとの競争激化で
アパレル業界で倒産が増加している。(株)東京商工リサーチが11日に発表した2019年(1~10月)のアパレル小売業者の倒産状況によると、3年ぶりの前年越えは確実。実績を持つ中規模以上の企業破綻が増えている点も見逃せないという。
生産コスト増・店舗の固定費・ネット通販との競争などが経営圧迫
世界戦略を進める「ユニクロ」など一部ブランドを除き、商品の低価格化や、生産拠点の中国・アジア諸国の生産コスト上昇など、国内アパレルの収益環境は悪化している。店舗売上の比率が高いブランドは固定費負担も重く、ネット通販が主軸のノーブランド勢との競合も激化している。
こうした中、10月までの倒産は199件。16年同期の211件以来、3期ぶりに増加に転じた。すでに18年の年間倒産(199件)に並び、前年の暖冬などの影響で倒産が増加した16年の245件に迫る勢いをたどっている。
負債額は453億9300万円と、前年同期の2.3倍。400億円台に乗ったのは11年同期(425億8500万円)以来、8年ぶりとなる。負債10億円以上の倒産が8件(前年同期4件)と倍増し、全体を押し上げた。負債額の最大はレディースカジュアル販売の(株)ラストステージの66億9200万円だった。
倒産原因は「販売不振」が最多
199件のうち、原因別の最多は「販売不振」(164件)で全体の82.4%を占めた。次いで、赤字累積の「既往のシワ寄せ」が13件と、業績不振が大半を占めている。このほか、粉飾決算などコンプライアンス違反を含む「放漫経営」が6件だった。
形態別では、破産が172件で、全体の86.4%。先行きの見通しが立たず、事業継続を断念する消滅型が中心。一方、再建型の民事再生も9件と増加した。中堅規模以上の企業を中心に、店舗運営やブランドを継続しながら再生手続に沿ってスポンサー支援などの再建を模索するケースが増えている。
負債額別は、1億円未満が148件で小・零細規模が大半を占めた。ただし、負債1億円以上10億円未満が43件、10億円以上は8件と、前年同期の2倍に達した。負債額が大きいレンジほど増加率が上昇し、負債の大型化が顕著となった。
低価格化とコストアップで利益なき消耗戦に
負債額上位では中価格帯の婦人服ブランド「J.FERRY」(株)リファクトリィ=民事再生=や、子供服専門店「motherways」マザウェイズ・ジャパン(株)=破産=など、全国展開する中堅規模以上の企業が目立った。また「グッチ」「フェラガモ」などヨーロッパのブランドを日本へ紹介し、セレクトショップの先駆けとして知られた「SUN MOTOYAMA」(株)サンモトヤマ=破産=などの行き詰まりにも注目が集まった。
婦人服大手(株)オンワードホールディングスの20年2月期中間決算は、244億円の最終赤字を計上し、今後、数百店舗の閉鎖を進めるとした。また、英ブランド「バーバリー」とのライセンス契約が終了後、業績が低迷する(株)三陽商会は、今期も4期連続の最終赤字を計上する見通し。いずれも有力な販売チャネルである百貨店の不振の煽りを受け、中~高価格帯の「百貨店ブランド」を抱える婦人服大手が苦境に立たされている。
一方、低価格帯でも米国発ファストファッション「フォーエバー21」が、米国連邦破産法11条を申請、これを受け10月末で日本の店舗を閉鎖した。日本市場からの撤退は米本社の方針とはいえ、低価格化の旗手として話題となった日本進出当初の勢いに陰りが見えていた。
市場を牽引したアパレル大手の不振は、業界全体に暗い影を落としている。こうした中、全国的な販売網や長年の実績を持つ中規模以上の企業破綻が増えている点も見逃せない。企業規模に関わらず、アパレル小売業者は低価格化とコストアップに苦心し、利益なき消耗戦にさらされている。今後、アパレル業界の倒産はさらに増える兆しを強めている。
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