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通販通信ECMOニュース・記事コラム炎上回避のための「No.1」表示と最上級表現ルール

2025.10.10 コラム

炎上回避のための「No.1」表示と最上級表現ルール

「No.1」表示、正しく使えていますか?消費者に力強く響く最上級表現ですが、使用には客観的根拠など厳格な条件があります 。本稿では専門家が、景品表示法の基本から違反事例まで、広告で失敗しないためのポイントを解説します 。



最上級表現とは

「世界一、やさしい使い心地です」

「業界最大手の当社だからできる」

「このサービスはNo.1の評価をいただいています」


こういった「最上級表現」とは、広告において商品やサービスの優位性を強調するために用いられる言葉で、例えば「No.1」や「世界初」といった表現がこれに該当します。

消費者に対する影響力が大きい一方で、誤解を招く可能性もあるため、景品表示法では厳しい規制が設けられています。この法律は、事業者による不当な表示を防止し、消費者が商品やサービスを自主的かつ合理的に選択できるようにすることを目的としています。

最上級表現を使用する際には、その主張を裏付ける具体的な根拠が必要です。例えば「No.1」を名乗る場合は、どの期間や地域でのデータを基にしているのか、またはどのような評価基準を用いたのかを明示することが求められます。

誤った表現は信頼性を損なうだけでなく罰則の対象となる可能性もあるため、事業者は慎重に取り扱う必要があります。そのため、最上級表現の適切な使用について理解を深めることが重要です。


最上級表現の種類は3つ

最上級表現には「最大級表現」「比較表現」「絶対的表現」の3種類があります。

(当分類はわかりやすく整理したものであり、景表法上の法的区分ではありません。)

①最大級表現

最大級表現は、広告において商品やサービスの優位性を際立たせるための表現方法で、特にその特性や価値が他と比べて最も優れていることを示します。

例えば、「最高品質」や「最高の顧客満足度」といったフレーズがこれに該当します。このような表現は、消費者に強い印象を与え、購入意欲を高める効果がありますが、同時に慎重に扱う必要があります。

最大級表現を使用する際には、その主張を裏付ける具体的な根拠を提示しなければなりません。例えば、「最高の顧客満足度」と謳う場合、そのデータや調査の詳細を示すことが求められます。根拠が不十分な場合、誤解を招く恐れがあり、企業の信頼性を損なうリスクがあります。


最大級表現の例

最高

最も

最先端

首位


最大級表現の使用例

最高の顧客満足度

最も売れている商品


②比較表現

比較表現は、広告において自社の製品やサービスを他社や他商品と比較することで、優位性を強調する手法です。

具体的には、「国内シェアNo.1」「最安値を提供する」といったフレーズが該当します。この表現は、消費者に選択肢を提供し、購買意欲を刺激する効果があります。

ただし、比較表現を使用する際には、景品表示法に従った正確な根拠を示すことが求められます。たとえば他社との比較においては、使用するデータや調査の出典を明示し、誤解を招かないよう配慮する必要があります。

根拠が不十分であったり、誤った情報を提供した場合、消費者の信頼を損なうだけでなく、法律違反として罰則の対象となることもあります。


比較表現の例

No.1

日本一

世界初

トップクラス


比較表現の使用例

国内シェアNo.1

業界トップクラスの品質


③絶対的表現

絶対的表現は、広告において特定の商品やサービスが他と比較することなく、明確に優れた特性や性能を主張するための表現手法です。

例えば、「万能な製品」や「人気抜群」といったフレーズがこれに該当します。これらの表現は消費者に対して強い印象を与え、購買意欲を喚起する効果があります。

しかし絶対的表現を使用する際には、景品表示法に基づく正確な根拠を示すことが求められます。主張が事実であることを裏付けるデータや証明がなければ、誤解を招く恐れがあり、また法的な問題を引き起こすことも考えられるため注意が必要です。


絶対的表現の例

絶対

必ず

万能

抜群

圧倒的


絶対的表現の使用例

完璧な技術力

唯一無二の品質


このように、最上級表現は、商品の優位性を伝えるためには便利な表現ですが、使用条件は必ず満たすようにしましょう。


最上級表現の使用条件は2つ

最上級表現を広告で使用する際には、2つの重要な条件があります。

①客観的な調査結果がある

最上級表現を広告で使用する際の重要な条件の一つが「客観的な調査結果がある」ということです。

この条件は、消費者に対して誤解を招かず、信頼性の高い情報を提供するために不可欠です。例えば「最先端の技術」や「最も売れている商品」と主張する場合、その裏付けとして、第三者機関が行った調査結果や販売データなど、客観的な証拠が必要です。この条件を満たさない場合、最上級表現が誇大広告と見なされるリスクがあります。そのため最上級表現を使用する際には必ず客観的な調査結果を持ち、それを基にした正確な情報提供を心がけることが大切です。

②調査結果を正確かつ適正な形で引用

最上級表現を広告で使用する際の重要な条件の一つが「調査結果を正確かつ適正な形で引用する」ことです。

この条件は、消費者に対して透明性を保ち、誤解を避けるために不可欠です。例えば、「業界トップクラスの品質」と主張する場合、その根拠として引用する調査データは正確でなければなりません。正確な引用とは、調査の実施方法、対象、期間などの詳細を明示することを指します。また引用するデータが誤解を招かないよう適正な文脈で使用することも重要で、調査の目的や条件が異なる場合は、その結果を単純に比較することは避けるべきです。


最上級表現における違反事例

景表法に基づく広告表現は、消費者を誤解させないために厳格なルールが定められています。しかし、事業者が意図せず違反してしまうことも少なくありません。そこで最上級表現に関連する具体的な違反事例を3つ取り上げ、どのように法令を遵守しながら効果的な広告を行うべきかを考察します。

①実際に使用の有無を確認せずに行った、イメージ調査のNo.1表示

「利用者満足度No.1」「口コミ人気度第1位」などと表示して、自社サービスの満足度や人気が他社に比べて高く、1位であるかのように示していました。しかし実際は利用者を対象としたものではない登録会員全体での調査であり、信頼性を欠いていると措置命令を受けました。

②架空ランキングサイトでのNo.1表示

存在しない調査会社を装い立ち上げたホームページで同業の複数社で比較をして「最大手」「業界No.1」などと表示して、業界において自社が最も優れているかのように印象づけていましたが、要請された合理的根拠資料を提示しませんでした。また、当該役務における年間受注実績が第1位であることについての根拠資料は、表示の裏付けとして認められず措置命令を受けました。

③そもそも事実がないNo.1表示

自社ウェブサイトで、「〇〇リサーチで2冠達成」や「バストアップ第1位  施術満足度」といった表示を行っていた事例です。調査会社のリサーチ結果をもとに施術満足度が第1位であるかのように表示していましたが、調査は実際にサービスを利用した者に対するものではなく、調査結果も施術満足度の順位も第1位ではありませんでした。そのため、事実に反した表示が優良誤認であると措置命令を受けました。


違反時の行政対応と罰則

景品表示法違反が認定された場合の対応は段階的に進みます。2023年改正により、優良誤認・有利誤認表示について行政処分を経なくても刑事罰の対象となる“直罰規定”が導入されました。これにより悪質な違反には、措置命令等を待たず刑事罰を科すことができるようになりました。


-行政指導 

軽微な違反に対する改善指示。報道発表はされないが、従わない場合は措置命令や課徴金納付命令など次段階へ移行します。


-措置命令

違反内容の是正命令。従わない場合、代表者は懲役・罰金、法人は最大3億円の罰金が科されます。


-課徴金納付命令

売上額の3%が課徴金として賦課され、金銭的負担と企業の信用低下に直結します。


最後に

「No.1」などの最上級表現を広告に使用する際は、景表法に基づいて厳格なルールを守る必要があります。具体的には、これらの表現が真実であることを裏づける具体的なデータや第三者の評価を提示することが求められます。また比較対象を明示しないと消費者が誤解する可能性があるため、注意が必要です。

広告表現は消費者の信頼を得るための重要な要素です。正確かつ透明な情報を提供することで、ブランドの信頼性を高めることができます。最上級表現を適切に使うことで、他社との差別化を図りながらも、法令遵守を怠らない姿勢が求められます。

広告戦略の一環として、消費者に誤解を与えない内容を心がけることが持続的なビジネスの成長につながり、最終的には景表法を遵守しながらも効果的な広告を展開することが、事業者にとっての究極の目標であると言えるでしょう。




【筆者プロフィール情報】

薬事法広告研究所 代表 稲留 万希子

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイトの企画運営に従事。ヘルスケア分野でのビジネス展開にあたり薬事法や景表法などの各種法令と、広告について学ぶ。2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画。“ルールを正しく理解し、味方につけることで売上につなげるアドバイス”をモットーに、大型セミナーから企業内の勉強会まで、年間100本を越える講演をこなす。





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