ユーザーと商品の接点を広げることが、リテールメディア参入の原動力に
「広告はユーザー体験を損なうのでは?」──最初に抱えていた懸念
ジーニー:はじめに、「デジマート」について、事業の概要を簡単にご紹介いただけますか?
リットーミュージック:デジマートは、株式会社リットーミュージックが運営する、国内最大級の楽器・音楽機材専門のECモールです。全国の楽器店約550店舗にご出店いただいており、55万点以上の商品を掲載しています。
ジーニー:はじめに、リテールメディアを導入するきっかけについて教えていただけますか?
リットーミュージック:デジマートでは商品掲載数が年々増加しており、ユーザーの選択肢が広がる一方で、ユーザーが本当に求めている商品へスムーズにたどり着けるよう、関心に沿った情報を自然に届ける仕組みが必要だと感じていました。 また出店店舗様にとっても、出品されている魅力的な商品が、より購買意欲の高いユーザーに届く機会を増やしていくことが重要であると考えています。

株式会社リットーミュージック・コミュニティ業部デジマート統括部 部長・余川寛樹氏
ジーニー:リテールメディアに取り組む前は、どのような印象をお持ちでしたか?
リットーミュージック:正直なところ、「リテールメディア=広告枠の販売」という印象が強くありました。
日常的に目にするディスプレイ広告のように、Webサイトやアプリ上に広告枠を設け、その枠を特定の商材に限らず外部企業に販売し、そこにバナー広告やテキスト広告、動画広告を配信する――そういったイメージです。
そのため、当初はリテールメディアも従来のディスプレイ広告と同様に、ユーザーが求めている情報と関係のない広告が配信されてしまい、サイト全体におけるユーザー体験を損なうのではないかという懸念を抱いていました。
デジマートには、魅力的な楽器を探しに何度も訪問してくださるユーザーも多く、単なるクリックを促すような広告は、必ずしもユーザーの関心と一致するとは限りません。そうした広告は、マッチ度の低さゆえに体験の質を損ね、最悪の場合、ユーザーの離脱を招くリスクすらあると考えていました。
なので、「ユーザーにとって価値のある情報」として自然に受け入れられ、かつサイト内の体験にノイズを与えない広告設計をどのように実現できるかは、リテールメディア活用において最も重視したポイントです。
リテールメディアと従来のディスプレイ広告の違い
リテールメディア広告に対しては、当初「一般的なディスプレイ広告と大きな違いはないのでは」といった印象を持たれていたとのことでした。実際、リテールメディアという言葉を目にしたことはあっても、詳しく触れる機会のなかった担当者にとっては、そのような認識を持つのも自然なことだと言えるでしょう。
確かに、Webサイト上に広告枠を設けて広告収益を得るという構造は、一般的なディスプレイ広告と共通しています。しかし、実際には「広告主」と「ユーザーデータの活用方法」という2つの観点において、リテールメディアは大きく異なります。
たとえば、一般的なディスプレイ広告では、広告主は主に掲載メディアと直接の関係がない企業であり、取り扱う商材や業種も多岐にわたります。広告コンテンツが掲載されるサイトとの関連性は必ずしも高いとは限らず、ターゲティングには第三者提供のデータ(例:興味関心やデモグラフィック属性など)が主に用いられます。
一方リテールメディアは、広告主となるのはECサイト内に出店している店舗であり、配信される広告コンテンツはサイト上に掲載されている商品情報となります。さらに、配信に用いられるデータは、小売事業者が自社で保有する一次データ(会員情報や購買履歴、行動履歴など)であり、これに基づいてユーザー行動との親和性が高い商品情報をパーソナライズして表示する点が大きな特徴です。
ユーザー行動に即した情報提供が可能に──リテールメディア活用を決断
ジーニー:リテールメディアに触れる中で徐々に理解が深まったと思いますが、当初感じていた「広告によってユーザー体験が損なわれるのでは」という懸念は、その後どう変化しましたか? 最終的な導入の決め手についても教えてください。
リットーミュージック:最大の決め手は、「ユーザー行動に即した情報提供が可能になる」点でした。
お話にあった通り、リテールメディアでは会員データや購買履歴をもとに広告配信を行うため、ユーザーの検索ワードや閲覧カテゴリに応じた関連性の高い商品情報を、違和感なく自然に提示することができます。
その結果、広告でありながら「ユーザーにとって有益な情報」として機能し、購買体験の質そのものを高めることができるのではないかと考えるようになりました。導入前は、広告がノイズとなってユーザー体験を妨げるのでは、という懸念が強かったのですが、リテールメディアの仕組みであれば、逆に体験価値を高める手段になると感じました。
さらに、出店いただいている楽器店様にとっても、従来の検索ロジックとは異なる広告配信アルゴリズムを通じて、自店の商品を新たな形で訴求できる可能性があります。これまで接点のなかったユーザーとの新たな出会いを創出し、販売機会の拡大にもつながる──そうした期待感が、最終的にリテールメディア参入の後押しとなりました。
ジーニー:ありがとうございます。
リテールメディアの配信ロジックについて
「GENIEE RMP」では、バナー広告、PR広告、検索連動型広告の3つの配信メニューをご用意しており、リットーミュージック様には現在、主に検索連動型広告をご活用いただいております。
検索連動型広告において、店舗様が広告を出稿する際には、ターゲティングしたいキーワードの選定が可能です。出稿する商品を決めた上で、「どのようなキーワードが検索された場合に広告を表示させたいか」「どのようなキーワードでは表示させたくないか」といった形で、キーワードの指定および除外設定を行うことができます。
検索連動型広告の表示ロジックについては、ユーザーの検索ワードとの関連性、入札単価、さらに購買履歴や行動履歴といった一次データをもとに、広告表示を最適化しています。検索ワードとの関連性は、広告設定時に指定したキーワードと、商品ページ内のテキスト情報などとの整合性から判断されます。
従来の検索ロジックでは、たとえユーザーの検索ワードと関連性が高くても検索結果の上位に表示されないことがありましたが、リテールメディアの活用によって、購買意欲の高いユーザーに対して、最適な商品情報を届けることが可能になりました。これにより、ユーザーとの新たなタッチポイントも創出されます。

(検索連動型広告の表示ロジックイメージ)
「GENIEE RMP」の配信基盤で、ユーザー体験と販促を両立
信頼できる運用ノウハウと直感的なUIが導入の決め手に
ジーニー:様々なリテールメディアプラットフォームがある中、「GENIEE RMP」を選ばれた理由を教えていただけますか?
リットーミュージック:これまで、ジーニーのレコメンドエンジンや広告配信サービスを利用させていただいており、その際のご担当者様から「GENIEE RMP」をご紹介いただいたのがきっかけでした。そこで初めて、リテールメディアという選択肢が見えてきました。
そこから他社製品も検討しましたが、「GENIEE RMP」はアドテク(SSP・DSP)事業における独自の技術力を基盤にしており、広告に関する知見やノウハウに対する信頼が厚いこと、そして何より、広告運用の専門知識がなくても直感的に操作できるUIが備わっており、導入の敷居が低かったことから、「GENIEE RMP」を導入させていただくことに決めました。
購買体験を重視した運用設計と機能拡張が導入効果を後押し
ジーニー:実際に導入と運用を進める中で、感じられているメリットがあればお聞かせください。
リットーミュージック:実際に導入を進める中で特に感じたのは、購買体験を損なわない設計がされている点です。柔軟なターゲティング設定や、ユーザー自身が広告表示を制御できるオプトアウト機能が備わっており、ユーザー配慮のある配信が可能だと感じました。
また、検索ロジックの調整や機能追加にも柔軟に対応いただき、ジーニーのご担当者様が課題に非常に親身に寄り添ってくださったことも、大きな安心感につながりました。
さらに、「GENIEE RMP」は広告配信ツールとしての機能面も非常に充実していて、単なる販売促進にとどまらず、ユーザーがどのような商品に関心を持っているかといったニーズの可視化にもつながっています。
たとえば「トレンドワード」機能では、サイト内でユーザーが検索やクリックしたワードをもとに、検索ボリュームやCTR(クリック率)、CPC(クリック単価)など複数の指標でランキング表示することができます。これにより、店舗様は自店の商品と相性の良い検索ワードを効率よく把握でき、より効果的に広告を出稿できるようになりました。非常に実用的な機能として、大きな価値を感じています。

ジーニー・デマンドサイド事業統括本部・デマンド開発部 部長代理 兼 プロダクトマネジメント部 マネージャー・遠藤悠平(右)
ジーニー・デマンドサイド事業統括本部・プロダクトマネジメント部・田中眞乃介(左)
最大ROAS3,000%を達成、リテールメディアがもたらす新たな可能性
すべての商品にタッチポイントを──検索商品も“レジ横”商品も
ジーニー:リテールメディアを活用する中でどのような成果が得られましたか?現時点での実績についてもお聞かせてください。
リットーミュージック:リテールメディアを活用する中で特に成果が得られやすいと感じているのは、「トレンドワード」機能を通じて検索ニーズとの関連性が高い商品です。
広告出稿時には、商品の選定やキーワードターゲティングなどの設定が行われますが、従来はこれらを判断するための定量的なデータが不足していました。「トレンドワード」機能を活用することで、ユーザーの検索ワードやクリック状況をもとに、検索ボリュームやエンゲージメントの高いワードを把握できるようになったため、関連性の高い商品かキーワードを選定し、ユーザーのニーズに即した広告設計が可能になっています。
費用対効果については、出稿する商品の選定によって大きく左右される印象はあるものの、先に述べたように、ランキング内のワードと関連性の高い商品を中心に広告出稿することで、非常に高いROAS(広告費用対効果)を実現できるケースもあります。実際に、ROAS約3,000%という高い成果が出た実績もあり、広告としての費用対効果は非常に高いと感じています。
また、店舗様が注力されているオリジナルブランドの商品が広告経由で売れている実績も出てきており、販売機会の拡大につながっていると改めて実感しています。
ジーニー:リテールメディアに取り組む中で得られた手応えや新たな発見などがあれば教えてください。
リットーミュージック:リテールメディアは、単に「ユーザーの購買行動に基づいて広告を出せる仕組み」というだけでなく、ユーザーの潜在的なニーズや、新たな販路の可能性を見つけるきっかけにもなり得ると感じています。
たとえば楽器の関連グッズを掲載してみたところ、想定以上にCTRが高く、実際に広告経由での購買にもつながった事例がありました。楽器の関連グッズは取引量の多いカテゴリに比べて検索ボリュームは大きくないため、リテールメディアを活用していなければ、こうしたニーズには気づけなかった可能性が高いと感じています。
また、楽器関連のアクセサリーや消耗品といった“レジ横アイテム”は、検索の主目的にはなりづらく、従来の検索ロジックでは上位表示されにくいケースもありましたが、リテールメディア広告によってユーザーの検索ワードと出稿ワードが一定マッチする場合、露出機会が増加し、購入促進にもつながっています。
店舗と共に、顧客とモノとの最高の出会いを生み出す場へ
ジーニー:リテールメディア事業を通じて、今後どのような世界観を実現していきたいとお考えですか?
リットーミュージック:弊社がリテールメディア事業を通じて実現していきたいのは、「ユーザー・出店店舗・プラットフォーム」三者すべてにとって、良い体験が循環する世界です。店舗様とともに、商品の魅力を最大限に伝え、ユーザーの興味関心に沿った優れたコンテンツを提供する販促チャネルを作りたいと考えています。単なる広告枠ではなく、ユーザーにとっては自身の好みや価値観にフィットした商品と自然に出会える体験を提供したいです。
そしてデジマートを、ユーザーと楽器との良い出会いを生み出せる場として、より質の高いマッチングを支えるプラットフォームへと進化していきたいと考えています。
ジーニー:最後に、「三方良し」の世界観の実現に向けて、今後の期待やご一緒に取り組んでいきたいことはありますか?
リットーミュージック:これまでの取り組みを通じて、ジーニーの皆さまの柔軟でスピード感のあるご対応には何度も助けられてきました。サービスの提供者という枠を超えて、導入後も私たちの課題に丁寧に、そして親身に寄り添ってくださっており、心強いパートナーとして大きな信頼を寄せています。
今後もぜひ、ユーザーや店舗様の声を基にした改善や新機能の開発をご一緒できれば嬉しいです。特に、広告体験の質をさらに高めるためのUI改善や、より深いインサイトが得られるデータ分析機能の拡充には大きな期待を寄せています。 リテールメディアを単なる収益手段にとどめず、「ユーザーとの関係をより豊かに育む場」として、今後もともに価値ある取り組みを積み重ねていけたらと願っています。
ジーニー:ありがとうございます! 今後もリットーミュージック様の広告効果最適化に向けて、広告体験の向上と売上の最大化に貢献できるよう尽力してまいります。
データ連携を強化し、よりロジカルかつ効率的に広告設計を進化させることで、「ユーザー・出店店舗・プラットフォーム」三者それぞれの満足度向上を実現していきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!
「GENIEE RMP」で、“売れる”を支援するへ
「GENIEE RMP」は、ECサイト内で商品ページを広告として出稿できるリテールメディアプラットフォームです。顧客情報や行動履歴に基づいた最適な商品情報を広告の形式で提供でき、ECモールやポータルサイトにおける販促手法として活用されています。
「GENIEE RMP」は、株式会社ジーニーのSSP・DSPなどのアドテクノロジー事業で培ったノウハウとデータを活かし、出店店舗様の広告効果と、ECモール・ポータルサイトの売上の最大化を、独自の機械学習アルゴリズムで実現します。
また、システム面や商品設計、ビジネス面においても一気通貫のサポートを提供していますので、リテールメディア導入にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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