2023.11.10 通販会社
「SK-II」の“リテールメディア”活用法とは―楽天との連携で広がる可能性
昨今、急速に市場が拡大し、マスメディアに匹敵するメディアとして注目されている「リテールメディア」。グローバルブランド「SK-Ⅱ」は、楽天との連携によって、これまでにない効果を生み出している。ここでは、その取り組みについて紹介する。
(本稿は2023年10月12日に都内で開催されたEC業界向けイベント「デジタル・コマース2023(主催:株式会社ナノオプト・メディア)」内のセミナー「リテールメディア:メーカー/ブランドの楽天市場の最新の活用方法とは?」の講演レポートとなります。
楽天グループ(株)
マーケットプレイス事業 アカウントイノベーションオフィス ヴァイスジェネラルマネージャー
野口 裕輝 氏
SK-IIジャパン(P&Gプレステージ合同会社)
マーケットストラテジー アンド プランニング ディレクター
兼島 寛 氏
マーケットストラテジー アンド プランニング ディレクター
兼島 寛 氏
そもそも「リテールメディア」とは?
野口裕輝氏(以下、野口):近年は「リテールメディア」という言葉をよく聞くようになりましたが、リテールメディアはアメリカで発展をとげてきた新しいマーケティング手法です。リテール企業が持つ購買データなどの1st Party Dataをもとに、サイネージ広告やオウンドのアプリなどでセグメンテーションし、ユーザーに広告を届けていくという手法です。
もともとはオフラインで使われる言葉でしたが、最近はAmazonやわれわれ楽天のような消費行動分析データを持っているECプラットフォームも含めて、リテールメディアと呼ばれています。
リテールメディアは検索連動広告、ソーシャルメディア広告に次ぐ「デジタル広告の第3の波」と言われており、アメリカのリテールメディア市場は急速に拡大しています。2024年度には7.8兆円規模になると予測されており、実は日本の広告市場全体の規模よりも大きなものになっているんです。
このようなリテールメディアの伸長に対して、SK-IIさんはどのように向き合っていますか?
兼島 寛氏(以下、兼島):スキンケアブランドの「SK-II」は日本発のブランドですが、中国でも人気があります。みなさんもご存じの通り、中国はEC化率がとても高く、中国市場で売上を上げるためには、必然的にECで勝たなければいけません。なのでわれわれは、ある時からマスメディアからリテールメディアへと大きく舵をきっています。
中途半端に変えるのではなく、0-100くらいの勢いで変えました。その成果もあり、この10年間は加速的な成長を遂げています。SK-IIは、早い段階でこのリテールメディアに舵を切ったことで、大きな先駆者利益を得ていますね。
中途半端に変えるのではなく、0-100くらいの勢いで変えました。その成果もあり、この10年間は加速的な成長を遂げています。SK-IIは、早い段階でこのリテールメディアに舵を切ったことで、大きな先駆者利益を得ていますね。
日本のリテールメディア市場について
野口:ありがとうございます。では次に、日本国内でのリテールメディア市場について説明します。インターネット広告費がすでに4マス媒体を超えたというのは有名な話だと思いますが、われわれがリテールメディアと呼んでいる「ECプラットフォーム広告費」の成長率は、実はインターネット広告費の成長率よりも約8ポイント以上高い+21.5%となっています。
あまり知られていませんが、ECプラットフォーム広告のシェアは楽天が約52%を占めていて、われわれもしっかりと取り組んでいかなければならないと考えています。
この成長を裏付けるおもしろい調査データもあります。商品の認知前から購入後のリピートまで、タッチポイントをアンケートで調査したところ、全てのパネルにおいて「ECサイトを参考にした」という結果が出ました。
いまやECサイトは購買チャネルとしてだけではなく、情報収集や情報共有の場としても機能していて、メーカー・ブランド側のECへの捉え方も変わりつつあると感じています。
「楽天×SK-II」の具体的な取り組み
野口:それでは実際に、楽天市場とSK-IIの具体的な取り組みについて紹介します。SK-IIさんには、楽天市場のトップページで大きく新商品やライブショッピングの告知を行っていただいています。もちろんそれまでにも、SK-IIさんには、販促として広告などは出稿いただいていたのですが、ブランド認知などのより上流からマーケティング予算を確保いただいて、このような取り組みに至ったという経緯があります。
この点について、兼島さんにはその背景をお聞きできればと思います。
兼島:はい。まず前提として、SK-IIはカウンセリング・スキンケアブランドなので、百貨店というラグジュアリーな空間でトレーニングされた、われわれの美容部員がお客さまに接客をした上で商品、またそれ以上の価値を提供して買っていただく、というのがビジネスモデルになります。なので、ECは真逆のものであり、本当に伸びているからといって、安直にECに入っていていいのか?という懸念はありました。
その紆余曲折を経て、2016年7月頃にECへ入っていき、結果的にはそこに先行投資してものすごくよかったと感じています。
野口:2016年から7年間という月日を経た今、楽天市場などのメディアに対して、社内での評価やイメージなどは変化しましたか?
兼島:めちゃくちゃ変わりましたね。7年前はeコマースというと、最終的に購入していただくためのメディアという認識で、楽天市場やヤフーショッピングの広告というのは、最終的に購入してもらうための手段として活用していました。しかし今は、楽天さん含めてリテールメディアは、1つの広告媒体として捉えています。
われわれがプランニングするときには、楽天の広告をテレビCM、ソーシャルメディア広告といったものと同列として扱っており、これが7年前と比べても大きな変化かと思います。
業界を変える? オンオフをつなぐ「ID連携」
野口:最後に楽天が考えている今後の展開やSK-IIさんとこれからの取り組みについて紹介します。リテールメディアのポイントは、認知から購買まで一気通貫でできる点です。しかし、そうなると楽天市場全体で「購買されている量」というのが重要になってきます。
楽天の国内EC流通総額(※)は決算で発表している通り、現在5兆円オーバーの流通規模になっており、2030年にはそれを10兆円まで伸ばしていく予定です。百貨店やコンビニといった業態に近い流通規模にしていくことで、ブランド側がより投資をしやすい環境を目指します。
※国内EC流通総額(一部の非課税ビジネスを除き、消費税込み)=市場、トラベル(宿泊流通)、ブックス、ブックスネットワーク、Kobo(国内)、ゴルフ、ファッション、ドリームビジネス、ビューティ、デリバリー、Rakuten24 などの日用品直販、オートビジネス、ラクマ、Rebates、楽天西友ネットスーパー、クロスボーダートレーディング、等の流通額の合計。
また、日本では広告と販促というのが、まだまだ分断されている状況ですので、オンラインとオフラインにおいて広告と販促を同期させ、複数業態を束ねたリテールメディアネットワークを楽天が構築していきます。
さらに、オンラインとオフラインの連携については、SK-IIさんなどのブランドさんと、また一歩踏み込んだ取り組みを行いたいと考えています。
SK-IIさんは「SK-II NOW」という自社IDを保有しているので、これを楽天のIDと連携させることによって、リテールメディアで広告を出したあとに、今まで捕捉できていなかったユーザーの行動も可視化できるようになります。そうなると、広告の効果もより見やすくなるので、このような連携強化を率先して進めています。
兼島さんとしては、このID連携の取り組みについてどうお考えですか?
兼島:個人的に、これは業界を変える取り組みだと思っています。百貨店で買っている人が楽天でも買っているのかまで細かくわかるというのはすごいと思いますし、楽天さんの本気度が伺えますよね。
これを活用しない手はないですし、メーカーとしては当然打てる手が増えます。オンラインとオフライン併用している人が、どのような購買行動していて、どのように使い分けしているのか、どこで広告を打ったらその人たちがまた帰ってきてくれるのかなど、知りたいことやりたいことがたくさんあります。
野口:われわれもそのような情報を可視化しやすいようなダッシュボードをつくり、本取り組みの成果を出していければと思います。本日はありがとうございました。
兼島:ありがとうございました。
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