2020.07.27 行政情報
19年世界のEC市場規模、3兆5300億ドルに…1位中国・2位米国
「8年後は5倍に伸長。年平均成長率は27%」――。成長し続ける世界の「越境EC市場」の予測値だ。世界のBtoC-EC市場規模の拡大を上回る加速ぶりを、経済産業省がこのほど公表した2019年度「電子商取引に関する市場調査」で記している。調査では世界の動向とともに、主に日本と米国、中国間の越境EC市場規模を推計している。
世界のEC市場規模、23年には6兆5400億ドルに拡大へ
19年の世界のBtoC-EC市場規模は3兆5300億ドル、EC化率は14.1%と推計。その後も市場規模の拡大とEC化率の上昇が予想され、23年には6兆5400億ドル、EC化率は22.0%にまで上昇すると予測した。世界規模で小売分野でのEC化が引き続き拡大する見通しで、ECを前提とした商品販売の在り方が一層問われることになる。
19年の国別のBtoC-EC市場規模上位は、中国が1兆9348億ドル、続いて米国の5869 億ドル、英国の1419億ドルだった。中国の市場規模の大きさが際立っており、2位の米国とは3倍以上の開きがある。併せて、同年の世界の越境EC市場規模は9123億ドルと推計。27年には4兆8561億ドルにまで拡大すると予測し、その間の年平均成長率は約27%とした。
大幅拡大の背景は、消費者目線では越境ECの認知度の上昇や自国にはない商品への取得欲求、自国よりも安価に入手できるものがある、商品やメーカーに対する信頼性などが挙げられる。事業者目線では消費者ターゲットを世界に拡大しようとする積極姿勢が挙げられる。同時に、物流レベルの向上も越境ECを促進する要因の1つになっている。
越境ECの利用トップは香港で75%、人気はファンション関連
国(地域)別の利用度をみると、「国内・越境ECの両方」「越境ECのみ」を合算して最も多かったのは香港で75%。メキシコ66%、カナダ64%などと続く。世界最大の BtoC-EC市場規模を誇る中国は42%で、2位の米国も34%止まり。日本は6%だった。
香港は中国本土から、メキシコ、カナダは米国からの購入が多いと想定される。「隣接地」からの購入という点で、消費者は越境ECであることを特段意識せず、購買行動を起こしていると思われる。また、BtoC-EC市場規模が世界上位の国々は、国内ECのみの利用が比較的高く、日本は極めて高い結果となった。これは国内ECで事足りることが多く、あえて越境ECを行う必要性がないと考える消費者が多いことが主な理由と思われる。
購入品目では「衣服、靴、アクセサリー」は地域での偏りがなく世界共通で人気。次いで「家電、PC、スマホなど」「玩具、趣味」「宝飾品、時計」「化粧品、美容関連商品」など。
日本商品の購入は14.8%増、米国からが2863億円
日本・米国・中国3か国間の越境EC市場規模推計は、いずれの国の間でも増加していた。日本の越境BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模は3175億円で、前年比14.8増。うち、米国経由は2863億円、中国経由は312億円だった。
米国の越境 BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模は1兆5570億円で、同11.8%増となった。うち、日本経由は9034億円、中国経由は6535億円だった。中国の越境 BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模は3兆6652億円で、同12.3%増。日本経由は1兆6558億円、米国経由は2兆94億円だった。
世界のEC市場、越境EC市場は今後も拡大が予測されている。特に越境ECの市場規模は毎年27%の成長で拡大し、27年には4兆8561億ドルに達するとの予測データがある。そのような市場拡大が見込まれる中、「ものづくり立国」である日本の多くの製品は機能、デザインが国際的に高く評価されていることから、諸外国向けに商機があると予測できる。
日本から中国消費者向けの越境EC市場は高い成長率を示している。しかし、中国向け越境ECは市場参入企業数も多く、必ずしも多くが売り上げ目標を達成しているわけではない。一方で、今後の個人消費額の上昇が見込まれる東南アジア、市場規模が急拡大するロシア、個人による購買力が高いUAEなど、ポテンシャルが高いと予想される国も多く存在する。
中国や米国だけでなく、ターゲット市場を幅広く見据えたマルチカントリー対応による商機を得る可能性が想定される。ターゲット市場の拡大には相応のコストや労力も必要となるため、例えばワンストップで複数の国の市場に進出できるといったような、越境EC事業に関する支援スキームの確立もまた、これからは重要となるかも知れない。
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