EC・通販、ネットショップを支援するメディア

通販通信ECMOニュース・記事ECモール有店舗アパレル企業の決算、EC事業好調で売上高やシェアが拡大

2026.06.03 ECモール

有店舗アパレル企業の決算、EC事業好調で売上高やシェアが拡大


店舗展開を中心にECも手がけるアパレル各社の2026年2月期・3月期決算が出そろった。EC売上高が増加して二桁増の伸びも目立ち、多くはEC比率も拡大した。店舗とECサイトを連動させるOMO施策や在庫適正化、ECサイト統合による送客強化などが奏功。会員数の伸張にもつながっており、中には中期経営計画の目標値を上方修正する動きも見られた。各社のEC業績にフォーカスし、EC売上高が多い順に紹介する。



「and ST」オープン化がアンドエスティの流通総額を底上げ


アンドエスティホールディングスの2026年2月期連結業績は、ECプラットフォーム「and ST」とリアル店舗が連動したプロモーション施策が奏功。人気キャラクターや人気スタッフとのコラボ商品展開も貢献して好調に推移した。他社ブランドも参画する「and ST」のオープン化により、取り扱いブランド数・流通総額(GMV)も伸びた。


「and ST」のGMVは、前期比14.8%増の462億円と伸張した。自社グループ販売が同6.6%増の417億円と増加し、構成比は全体の90.3%を占めた。グループ外販売は前期に比べて約3倍の45億円と伸び、構成比は同7.0ポイント増の9.7%と拡大した。「and ST」全体のGMVは進行期に500億円、2030年2月期に1,000億円を目指す。


「and ST」ではプラットフォーム化におけるグループ外ブランドの参画が好調で、初年度計画を上回るスタートとなった。前期より26ショップ増の53ショップとなり、今期も引き続き多くのブランドの新規参画を見込む。


ECとリアル店舗共通の会員制度である「and ST」の総会員数は、前期末から200万人増加し2,170万人に達した。アクティブ会員も30万人増え、780万人となった。


アダストリアブランドリテール事業など国内EC全体におけるEC比率は28.8%、自社EC比率は14.6%だった。当期は国内EC全体の売上高を公表していないが、前期の728億円という公表値と当期伸び率から試算すると、同4.8%増の763億円となる。


全体の連結業績は売上高が過去最高となり前期比3.8%増の3,043億5,100万円、営業利益は同6.5%増の165億2,400万円、当期純利益は同1.2%減の94億9,800万円だった。



「and ST」の総会員数は前期末から200万人増の2,170万人に(出典:アンドエスティHD)


オンワードHDはOMO施策の「クリック&トライ」が貢献


オンワードホールディングスの2026年2月期連結決算のEC売上高は戦略強化ブランドの伸びやOMO施策などが奏功し、前期比12.4%増の580億4,600万円と2桁増に達した。オンワード樫山をはじめ、ECを運営する他国内事業会社8社における自社ECおよび他社ECの合計値となる。全体に占めるEC比率は28.3%となり、前期に比べ0.7ポイント縮小した。


販路別では、自社ECが前期比8.2%増の456億500万円、他社ECが同30.7%増の124億4,100万円だった。全体に占める自社EC比率は同1.4ポイント減の22.2%、他社EC比率は同0.7ポイント増の6.1%となった。


当期は実店舗とオンラインを連動するOMO施策に引き続き取り組んだ。オンラインストア「ONWARD CROSSET」の商品を取り寄せて実店舗で試着できる「クリック&トライ」サービスが好調で、導入店舗数や利用者数、売上実績が増加しEC売上高を押し上げた。


店舗や海外事業を含む連結業績は、売上高が前期比13.6%増の2,368億400万円、営業利益が同14.3%増の116億400万円、当期純利益が同18.5%増の100億9,400万円だった。


アプリ機能改善もEC取扱高が微減だったワールド


ワールドの2026年2月期連結決算におけるEC取扱高は、前期比3.0%減の482億5,000万円だった。EC比率は、前期比5.15ポイント減の17.1%と縮小した。

自社サイト運営においては、アプリの機能改善やOMO運営に対する投資を推進。直営店舗とのシームレスなサービス改善を、ブランド事業と一体となって進めた。また、自社ECサイト「ワールド オンラインストア」において、他社ブランドの取り扱い拡大にも注力した。不用となった衣料品を回収しリサイクル・リユースする「ワールド エコロモ キャンペーン」の実施など、顧客接点拡大にも取り組んだ。


店舗などを含む連結業績は、売上高が前期比25.9%増の2,840億1,400万円、営業利益が同4.2%減の160億2,800万円、当期純利益が同8.8%増の120億1,300万円となった。

TSIホールディングスのEC売上高は前期比30%増と大幅拡大


TSIホールディングスの2026年2月期連結決算における国内EC売上高は、前期比30.1%増の438億円と大幅に伸びた。国内の自社EC売上高は同12.3%増の164億円、「ZOZOTOWN」など外部ECモールの3rdEC売上高は同43.7%%増の273億円だった。2025年9月から連結したデイトナ・インターナショナルが自社・3rdとも大きく貢献。総売上高における国内EC比率は31.0%と前期に比べ4.0ポイント拡大した。


EC事業は利益面でも構造改革の進捗が進み、ブランドサイト統合による費用削減効果や、業務オペレーションおよび運用体制整備による業務効率化が奏功。前期に比べ約5億円の削減につながった。


店舗などを含む連結業績は、売上高が前期比6.7%増の1,670億8,500万円、営業利益が同64.4%増の43億2,500万円、当期純利益は米国事業ののれん減損を計上するなどで減少し、同75.1%減の37億9,300万円となった。


在庫配分適正化が貢献したユナイテッドアローズ


ユナイテッドアローズの2026年3月期のEC売上高は、前期比8.7%増の405億6,400万円となった。上期の伸びは弱かったものの、在庫配分の適正化により下期は二桁増を達成した。EC比率は 25.8%で、前期より0.5ポイント縮小した。


当期は2025年4月に導入の商品管理基幹システム「UA3.0」が全ブランドの商品情報を一元管理し、積極的な在庫配分を展開。これにより在庫配分の適正化が進み、自社ECサイト・他社モールとも売り上げが大きく伸張した。


店舗とオンラインストア共通の会員組織「UAクラブ」は、アクティブ会員が164万人に達した。前期末から 13 万人増となっており、会員維持率やF2 以上の会員比率が着実に増加している。


店舗などを含む連結売上高は前期比9.1%増の1,646億300万円、営業利益は同14.3%増の91億2,600万円、当期純利益は同42.7%増の61億1,200万円だった。


「UAクラブ」はF2以上の会員比率が向上(出典:ユナイテッドアローズ)



しまむらは「中期経営計画」のEC売上高目標を上方修正


しまむらの2026年2月期のEC売上高は、前期比51.7%増の196億円と大幅に拡大して業績をけん引し、サイト訪問者数も前期の約3倍となった。「しまむら」や「アベイル」などの各事業でEC活用が広がり全事業で売上高が伸びた。服種別では、子供用品のEC売上構成比が30.9%と婦人アウター衣料の27.1%を上回った。ただ全体のEC比率は2.8%とまだ低く、前期より0.9ポイントのアップとなる。


2025年10月に各事業のオンラインストアを統合し、ECサイト「しまむらパーク」を開設。その後、「しまむらパーク」を入り口に各事業への訪問者数が大幅に増加した。アプリ会員情報やオンラインストアの情報を顧客管理システムに集約し、訪問客におすすめ商品を表示するなど、顧客情報を活用した個別マーケティング強化を図った。インフルエンサーや人気キャラクターとのコラボレーション企画を増やし、SNSを通じたタイムリーな情報発信を強化した。


オンラインストアでは利便性の高い「店舗受取サービス」の利用率が引き続き高水準で推移し、EC利用を後押しした。実店舗への送客による「あわせ買い」の創出など、オンラインと実店舗の相乗効果が一層高まった。


2026年度が最終年度となる「中期経営計画」では2027年2月期数値目標を上方修正し、180億円のEC売上高目標を30億円引き上げて210億円に設定する。


店舗も含む売上高は前期比5.2%増の7,000億3,400万円、営業利益は同3.8%増の614億8,300万円、当期純利益高は同6.1%増の444億6,000万円となり、いずれも過去最高を更新した。



オンラインストア統合で各事業への訪問者数が大幅に増加(出典:しまむら)


プロパー販売やEC専用ブランドに期待を賭ける三陽商会


三陽商会の2026年2月期連結決算におけるEC・通販売上高は、前期比8.4%増の88億9,500万円となった。プロパー販売は不振だったものの、セール販売が伸張した。EC比率も15.2%と、前期より1.6ポイント拡大した。2027年2月期のEC・通販売上高は、同3.3%増の92億円と堅実な積み上げを見込む。


当期が初年度となる3カ年の中期経営計画ではセールから脱却してプロパーサイト化を目指し、実店舗との連動体制によるOMO推進でブランド全体の底上げを狙う。2025年3月に立ち上げた女性向けEC専用ブランド「BIANCA」のテコ入れやEC専用商材の積極導入、プロパー予約販売の強化などで増収につなげる計画だ。


店舗や海外を含む連結業績は、売上高が前期比3.4%減の584億4,800万円、プロパー販売比率が低下し売上総利益が減少したため営業利益は同52.2%減の12億9,800万円、当期純利益は同2.7%増の41億1,300万円だった。


まとめ


各社のEC売上高が伸びている主な要因としては、店舗とECを連動させるOMO展開が挙げられる。ECで予約した商品を店舗で試着したり、店舗で受け取ることで送料無料につなげたりと、顧客満足度を上げる有店舗企業ならではの強みが成長に貢献している。顧客接点を増やすアプリ活用や販売機会損失を補う在庫適正化も、増収に欠かせない要素と言えるだろう。


今回取り上げた7社のEC比率では30%強が最大だったが、OMO効果がさらに強まるようになれば40%台に届く可能性がある。まだ3%に満たないしまむらのように大きな伸びしろが期待できるケースもあり、今後も業界全体のEC比率は拡大していきそうだ。


執筆者/渡辺友絵


【記者紹介】
渡辺友絵
長年にわたり、流通系業界紙で記者や編集長として大手企業や官庁・団体などを取材し、 通信販売やECを軸とした記事を手がける。その後フリーとなり、通販・ECをはじめ、物 流・決済・金融・法律など業界周りの記事を紙媒体やWEBメディアに執筆している。現在 、日本ダイレクトマーケティング学会法務研究部会幹事、日本印刷技術協会客員研究員 、ECネットワーク客員研究員。



※「資料掲載企業アカウント」の会員情報では「通販通信ECMO会員」としてログイン出来ません。

ログイン/会員登録

通販通信ECMO(エクモ)会員
ログイン

パスワードをお忘れの方へ

資料掲載企業ログイン

パスワードをお忘れの方へ

ダウンロードするにはログインが必要です。

旧「通販通信」サイトの会員情報では通販通信ECMO(エクモ)会員としてログインできません

パスワードをお忘れの方へ
会員登録されてない方 通販通信ECMO(エクモ)会員
(無料登録)

「資料掲載企業アカウント」では個別資料のダウンロードはできません
上記(無料登録)をクリックして登録してください。

※旧「ECマッチング」サイトの「ECマッチング会員(ECサイト運営者)の会員情報は、そのまま通販通信ECMO(エクモ)会員としてご利用いただけます。

イベント・セミナー予約するにはログインが必要です。

旧「通販通信」サイトの会員情報では通販通信ECMO(エクモ)会員としてログインできません

パスワードをお忘れの方へ
会員登録されてない方 通販通信ECMO(エクモ)会員
(無料登録)

「資料掲載企業アカウント」ではイベント・セミナー予約はできません。上記(無料登録)をクリックして登録して下さい。
※旧「ECマッチング」サイトの「ECマッチング会員(ECサイト運営者)の会員情報は、そのまま通販通信ECMO(エクモ)会員としてご利用いただけます。

記事の続きを読むにはログインが必要です。

旧「通販通信」サイトの会員情報では通販通信ECMO(エクモ)会員としてログインできません

パスワードをお忘れの方へ
会員登録されてない方 通販通信ECMO(エクモ)会員
(無料登録)

「資料掲載企業アカウント」では記事の全文閲覧はできません。上記(無料登録)をクリックして登録して下さい。
※旧「ECマッチング」サイトの「ECマッチング会員(ECサイト運営者)の会員情報は、そのまま通販通信ECMO(エクモ)会員としてご利用いただけます。