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2018.03.02 ECモール

楽天市場店舗の決済統一、「Oneペイメント」は実現するのか?

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「第4の携帯キャリア」参入の動向が注目を集めている楽天(株)だが、主力事業である「楽天市場」でも、楽天がすべての配送状況を管理する「Oneデリバリー」や、どの店舗でも同じ決済手段が利用できる「Oneペイメント」構想などが、話題を集めている。どちらかというと「Oneデリバリー」の話題が先行しているが、「Oneペイメント」はこれまで店舗ごとに異なっていた決済手段を統一するもので、これまでの楽天の弱点を克服する、楽天市場のなかでも最重要プロジェクトの1つになっている。「Oneペイメント」とはいったいどのようなものなのか、全店舗での決済手段統一は可能なのか、「Oneペイメント」の核心に迫った。

 

 

「Oneペイメント」=「楽天ペイ」?

 同社を取材したところ、「Oneペイメント」とは、すべての店舗で同じ決済手段が使用できることを言い換えた言葉で、サービス名ではないことがわかった。「Oneペイメント」を実現するのは「楽天ペイ(楽天市場決済)」という決済プラットフォームで、同プラットフォームで利用できる決済手段は、クレジットカード決済、コンビニ決済、金融機関利用決済、楽天による後払い決済、電子マネー(楽天Edyなど)、楽天スーパーポイントなど、多岐にわたる。

 

 すでに一部の店舗では、先行して同決済プラットフォームに切替済みで、楽天では年内中に全店舗の切替を目指している。また、3月下旬からは「ApplePay」にも対応し、一部店舗では「ApplePay」の決済も利用できるようになる。わかりにくい部分もあるが、「楽天ペイ(楽天市場決済)」は、他のECサイトで、楽天のIDでログイン・決済ができる「楽天ペイ(オンライン決済)」や、リアル店舗の決済サービス「楽天ペイ(実店舗決済)」などとは別の決済サービスとなる。

 

 楽天市場では、すでに複数の店舗の商品をカートに入れ、1回の決済で購入きるようになっているのだが、それはクレジットカード決済のように各店舗で共通して利用できる決済手段を利用する場合のみ。複数の店舗で購入する際、選択した決済手段に対応していない店舗があれば、1回でまとめて決済できず、店舗に合わせた決済手段で複数回に分けて購入しなければならない。ここが楽天市場の弱みでもあったのだが、「楽天ペイ(楽天市場決済)」を導入すれば、全店舗がすべての決済手段に対応できるようになるため、自動的に複数店舗での購入が1回で決済できるようになる。なので、全店舗が足並みを揃えて「楽天ペイ(楽天市場決済)」に移行しないと、利便性を高める効果は薄くなる。

 

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「楽天ペイ(楽天市場決済)」で店舗の決済業務効率化を実現

 決済手段を全店舗で1つにまとめることは、楽天市場の課題を解決する重要な施策となるが、やはり楽天市場の4万5000店舗がすべて「楽天ペイ」(楽天市場決済)に切り替えるには、手間と時間がかかる。

 

 楽天のECカンパニー事業開発部ジェネラルマネージャーの皆川尚久氏は、「全店舗の決済手段を拡充・統一化することが、Oneペイメントのコンセプトです。楽天にとっても重要なプロジェクトで、なるべく早く『楽天ペイ(楽天市場決済)』の切替を実現したい。ただ、それには店舗のみなさんの協力が不可欠。実は『楽天ペイ(楽天市場決済)』は、単に決済手段をまとめるだけでなく、入金サイクルの統一、短縮や決済代行サービスなどで店舗側の業務負担を軽減するなど、メリットも大きいです。店舗様にはそうした効果を実感してもらいながら、決済サービスを移行してほしい。そうすることが最終的に店舗様の業績拡大にもつながります」と意気込みを語った。

 

 

 Oneペイメントという概念は、店舗の決済手段を1つにまとめることだが、「楽天ペイ(楽天市場決済)」はそれだけでなく、店舗側の決済に関連する業務の負担を軽減するサービスにもなっているという。店舗側のメリットは、決済手段の拡充によるユーザの利便性の向上による売上拡大だけでなく、「決済関連業務代行」「入金サイクルの統一、短縮化」「不正検知機能の強化」「チャージバック補償制度の強化」「契約事業者単位での入金額と請求額の相殺」の5つのサービスが提供されることだ。

 

 「決済関連業務代行」は、楽天が窓口となり、ユーザーへの入金依頼処理や入金確認、返金対応業務などの一連の決済関連業務を「決済代行センター」で代行し、店舗側の業務負担を軽減するサービス。決済代行サービスを提供するEC支援企業のように、楽天が店舗に向けて決済代行サービスを提供する。

 

 「入金サイクルの統一、短縮化」は、これまで決済手段によってバラバラだった入金サイクルを月2回に統一し、クレジットカード決済の入金サイクルを約10日間短縮したもの。売上の入金期間を短縮し、入金サイクルを統一したことで、店舗側のキャッシュフローがより安定したものになる。「不正検知機能」は楽天がこれまで蓄積した注文データを基に、不正を検知する機能で、「チャージバック補償制度の強化」では新たに月額無料で一定額(国内配送は上限10万円、海外配送は上限50万円)のチャージバックを補償。「入金額と請求額の相殺機能」では、楽天市場が決済を代行した代金から、楽天市場からの請求額を差し引いて店舗側に入金するもの。

 

決済を切替済み店舗「決済手段の拡充で売上25%アップ」

 こうした店舗の業務負担を軽減するサービスは、すでに「楽天ペイ(楽天市場決済)」に切替済みの店舗からも評価が高い。店舗側からは「コンビニ払いなどの決済手段の拡充で、導入前より売上が25%アップした」(ファッション関連の店舗)、「入金サイクルが統一され、かつ早くなったことで支払いなどの資金繰りの計画が立てやすくなった」(フードドリンク関連店舗)、「楽天市場の担当者は、1人で毎日30~40件の注文処理をこなし、ユーザーとのやり取りもあったが、楽天ペイ(楽天市場決済)の決済代行で、5~10%程度の工数の削減効果が見込めそうだ」(フードドリンク関連店舗)、「楽天市場に複数店舗出店しているが、店舗毎ではなく、企業単位で相殺してもらえるので経理業務の手間が減った」(ファッション関連店舗ほか複数店舗)などの声が上がっている。

 

 ユーザーだけでなく、店舗にとっていいことずくめのように見える取り組みだが、課題もある。皆川氏は「課題を挙げるとすれば、関連業務のやり方が変わるという点。楽天市場が決済を代行するという新しい仕組みとなるため、これまで慣れ親しんだ業務フローを変更しなければなりません。各拠点でのカンファレンスで、心配する声が店舗から出ていることは把握しています。店舗の意見を踏まえ、機能的な部分やシステムのユーザービリティなどは、優先順位をつけながら改善していきたい」と話した。

 

5月にAPI公開・7月に「楽天ペイ(楽天市場決済)」に移行開始

 今後のスケジュールとして、3月下旬に新たに「ApplePay」を一部店舗に導入し、スマホユーザーに親和性が高い決済サービスを決済手段に加える予定だ。5月には独自の受注管理システムなどを導入している店舗向けに、受注APIを公開。7月からは順次、決済システムの移行を開始。楽天のRMS(店舗運営システム)を、手を加えずに利用している店舗は、そのまま決済手段を「楽天ペイ(楽天市場決済)」に移行できる。また、大手通販会社など一部の店舗では、「既存の受注管理や決済システムとの連携に、時間がかかるかもしれない」(皆川氏)としており、全店舗が「楽天ペイ(楽天市場決済)」に移行する時期は、システム連携の進行状況に左右されそうだ。また、秋には楽天が独自に運営する「後払い決済」が、新たな決済手段に加わる予定。

 

 楽天市場に出店する4万5000店舗すべてが実施する決済代行システムの切替は、かなり大がかりな作業となり、店舗や決済代行を運営する楽天側も一定の負担を強いられるが、こうした負担を承知の上で、今まで手を付けられていなかった全店舗での決済手段の統一に踏み切った。ここを乗り切れば、ユーザーの利便性を高め、店舗側も業務を効率化でき、楽天市場と店舗がECモール・ECショップとしてステップアップできる。巨大なマーケットプレイスである楽天市場は、統一されたページで成り立つECモールに比べ、店舗全体でのシステム変更などに弱い面がある。全店舗での「楽天ペイ(楽天市場決済)」切替は、店舗と楽天市場の今後の成長に向けた試金石となりそうだ。

 

(山本 剛資)

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