2026.01.05 行政情報
取適法が1月1日施行、荷主・運送業者間の取引も規制
立場の強い発注者による受注者への“イジメ”を防止するため、中小受託取引適正化法(取適法)が1月1日施行された。従来の下請法を強化し、発注者による一方的な取引代金の決定を禁止するとともに、荷主・運送業者間取引の規制にも乗り出した。
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下請法では対応できなかった不適切な行為
従来は下請法によって、発注者による受注者への不当な要求を禁止してきたが、近年、同法では対応できない不適切な行為が目立つようになった。
その1つに、物流問題がある。インターネット通販の利用増によって、商品配送が激増。そうした状況下、メーカー・卸などの荷主が、配送を委託した運送業者のドライバーに対し、荷待ちや荷物の積み降ろしを無償で求める行為が問題視されていた。
また、価格据え置きによる取引も深刻な問題に浮上。近年のエネルギーコストや原材料価格の高騰、人件費の上昇によって、多くの商品で値上げが続いている。利益を確保するために値上げが必要なのは製造を受託したメーカーも同様だが、小売が一方的に取引代金を据え置く行為が横行。メーカー側は取引代金の値上げについて交渉したいものの、立場が弱く、言い出せずに泣き寝入りするケースがあった。
一方的に取引代金を決定する行為を禁止
そうした状況に対応するため、公正取引委員会は下請法を改正し、1月1日に取適法を施行した。
法律の用語も変更した。従来の「親事業者」は「委託事業者」に、「下請事業者」は「中小受託事業者」にした。下請という表現そのものが、発注者と受注者が上下関係にあるとイメージさせていたためだ。長年にわたって使われてきた「下請」という言葉を排除する形となった。
取適法は、「協議を適切に行わない代金額の決定の禁止」を盛り込んだ。これは、エネルギーコストや原材料価格が高騰するなか、委託事業者が取引代金の据え置きを一方的に決定する行為を防ぐことが狙い。受託事業者が価格交渉を求めたのにもかかわらず、協議に応じずに一方的に取引代金を決定することを禁止した。
また、物流問題への対応として、規制の対象となる取引に「物品の運送の委託」を追加した。改正前は、「物品の運送の再委託」のみが対象で、商品配送を受託した運送業者による別の運送業者への再委託を念頭に置いたものだった。これに対して取適法は、荷主(メーカーや卸)・運送業者間の取引も規制。荷主がトラックドライバーに対し、無償で荷待ちや荷物の積み降ろしを求める行為を禁止した。
従業員数による区分を導入、脱法行為に対応
取適法への改正により、法の適用基準も見直した。改正前は、取引内容と資本金の区分に基づいて適用基準を定めてきた。具体的には「資本金3億円超を委託事業者/3億円以下を受託事業者」または「資本金1000万円超3億円以下を委託事業者/1000万円以下を受託事業者」としている。
しかし、この基準を逆手に取って、「資本金1000万円以下の受託事業者に増資を求めるという声がある」(企業取引課)など、法の適用を逃れようとする行為も散見される。
そこで取適法は、資本金の区分に加えて、従業員数による区分を導入。従業員数300人超を委託事業者とし、300人以下を受託事業者とした。資本金による区分と従業員数による区分の併用により、脱法行為を防ぐ考えだ。
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