2026.07.01 ECモール
「au PAY マーケット」が打ち出す新戦略、検索型・提案型ハイブリットコマースへ
AI技術の進展を背景に、EC運営のあり方が大きく変わろうとしている。EC事業者にとって、出店先のECモールが打ち出す施策は事業拡大の成否を左右する。そうしたなか、「au PAY マーケット」は従来の検索型コマースから提案型コマースへの転換をはじめ、LTV(顧客生涯価値)拡大へ向けた新たな施策を打ち出した。auコマース&ライフ副社長の八津川博史氏に、2026年度の新戦略を聞いた。
訪問・検索の各シーンで良質な出会い
――昨年度の「au PAY マーケット」の取り組みを振り返ると?
八津川博史氏(以下、八津川):昨年はPonta経済圏との連携が想定どおりに推移し、Pontaパスを経由した「au PAY マーケット」への新規訪問数は前年比で約120%となりました。
特に効果が表れた施策に、3,980円以上の購入で送料無料となる「サンキュー配送」や、「三太郎の日」と「お買い物ラリー」を同時開催へのリニューアルがあります。これに加えて、昨年8月に提供開始した「Pontaパス ポイントUPセレクト」も高評価を得ています。これは、厳選された商品の購入でポイント還元率がアップし、最大50%が還元されるというサービスです。
――AIの活用についてはどうですか?
八津川:EC市場ではAIの活用が進み、ここ数年でお客様と商品の出会い方が変わってきました。これまでは商品が検索されるのを待つのが基本でした。グーグルで検索したり、サイト内で検索したりして、商品を探すという検索型コマースですね。
ところが、AI技術の進化につれて、AIが最適なタイミングで最適な商品を推奨する提案型コマースへ移行しつつあります。
お客様の流入・行動・買い物の仕方が変わってきたことに対応して、「au PAY マーケット」もAIを駆使し、検索型と提案型のハイブリッドに移行する予定です。プラットフォームへの訪問時と商品検索時に、良質な出会いを提供していきます。
auコマース&ライフ副社長 八津川博史氏
「商品棚」「ブランド」「外部サイト」を軸に
――今年度に実施する戦略をお聞かせください。
八津川:新戦略は大きく分けると3点あります。1つ目は商品とお客様のマッチング強化。2つ目はLTVの拡大。3つ目は安心・安全な売り場づくりです。
――そのうち新たなマッチング戦略とは、どのようなものですか?
八津川:基本的には、Ponta経済圏やPontaパスを利用されているお客様を中心に、プラットフォームを介して、AIを活用してマッチングを促していくというものです。具体的には、(1)商品棚の工夫によるマッチング、(2)ブランドを軸としたマッチング、(3)外部サイトでのマッチング――のそれぞれを強化します。
商品棚の見せ方を改善して、お客様の心に響くような提案方法を追求していきます。その一環として、新サービス「Pontaパス ポイントUPセレクト」について、Pontaパスアプリのトップページでも対象商品を更新し、ポイント還元率が高い商品が次々と提案されるようにしました。開始後の動向を見ると、少し前(今年2月)の数字ですが、購入MAU(1カ月間のユーザー数)が137%増、流通額ベースが141%増となりました。
現在は、Pontaパスのアプリだけでなく、au PAYやau Pontaポータルも含めて、鮮度の高い商品やお得な商品を掲載し、お客様の目に触れる機会を増やしています。
さらに、店舗運営を効率化するため、店舗様に向けて、トップページ自動作成機能を提供します。この機能によって、来訪したお客様に対し、店舗様のレコメンドに基づいて自動的に最適な商品が掲載されるようにします。条件設定に基づく閲覧履歴やランキングの自動表示、ページ公開予約機能などを付加します。
広告メニューについては、上期から「プラチナマッチ広告」(クリック課金型広告)の運用を高度化します。下期には、AIによって設定工数を削減した「おまかせ運用」を導入する予定です。
――ブランド軸や外部サイトのマッチング強化についてもお話いただけますか?
八津川:まず、ブランド軸のマッチングですが、こちらも強化していきます。ブランドごとにファンがいて、そうしたファンは複数のサイトを横断しながら、自分に合う商品を探すという動きが見られます。そうした状況を踏まえ、ブランドを軸に商品を探していただける施策を昨年度より開始しました。
これまではカテゴリから商品を探す手法が中心でしたが、ブランドで探すという導線をトップページに配置しました。対象とするブランドも公式のブランド・商品を厳選し、ブランドポータルを回遊していただき、ファンをつくる流れを作っています。
外部サイトでのマッチング強化も進めています。今では1つのサービスだけで買い物をするお客様はほとんどいませんよね。さまざまなサービスを使い分けながら、ポイントや取引条件を考慮して、利用するサービスを決めるといった動きが見られます。今後は特にSNSなども重視していきたいですね。
auコマース&ライフ副社長 八津川博史氏
LTV拡大へロイヤリティプログラムを刷新
――LTVの拡大に向けて、どのような取り組みを予定していますか?
八津川:お客様向け施策と店舗様向け施策の両面を推進していきます。「サンキュー配送プログラム」に参加していただいた店舗様では、流通伸長率が前年比109%となりました。今後は、送料無料に加えて、Pontaパス会員限定の「日曜日+5%還元」の特典をさらに強化する予定です。これにより、日曜日の流通の最大化を目指します。
また、ロイヤリティプログラムの刷新を下期に計画しています。買えば買うほどお得になる仕組みにし、ポイント還元のみでなく、“お得感”を提供していきます。例えば、上位ランクのお客様だけが買える商品とか、見える売り場とか。そうした体験価値も含めた提供方法を検討していきたいですね。
店舗公式LINEの拡大にも取り組みます。LINE開設店舗数は年間178%となり、LINEを経由した流通額は月を追うごとに伸びています。現在、クーポン付与や広告メニューなど、機能の高度化を進めているところです。
また、今年3月から店舗様向け画面で、生成AIが作成した分析レポートとアクション提案機能の提供を開始しました。店舗ごとに蓄積された膨大な販売データに加え、同一カテゴリ内のトレンド比較データを多角的に分析し、抽出された現状の課題に対して「どの商品を、いつ、どのように改善すべきか」という具体的な売上改善アクションをAIが自動で導き出し、提案します。
このほか、安心・安全な売り場づくりでは、3Dセキュアの導入を完了し、今後はAIによる不正の検知などの取り組みを強化します。
―最後に、EC事業者様へメッセージをお願いします。
八津川:Ponta経済圏は、生活者の日常に欠かせない規模へ成長しています。ローソンさんの店頭へ足を運ぶお客様も含めて、その範囲が拡大中です。
販売活動は多面的に展開することで、安定感が増します。Ponta経済圏の活用はトータルで考えた場合、大きなシナジーを発揮する極めて有効な戦略と言えます。当社が新たな価値の創出に挑戦するこの機に、ぜひ未来を共につくるパートナーとして、共創共栄を目指していただければ幸いです。
――ありがとうございました。
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