2024.02.26 行政情報
改正景品表示法のポイントとは?(後)
改正景品表示法は、悪質な表示への抑止力を高めるために「直罰」規定を導入し、罰金刑を科すことができるようにした。一方、表示の迅速な是正を目的に導入する「確約手続き」については、運用を誤ると不当表示の“やり得”につながる懸念もあり、消費者庁には対象とする案件の見極めが問われそうだ。
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意図的な不当表示などに罰金刑も
「直罰」規定は、優良誤認表示と有利誤認表示を対象とする。優良誤認表示とは、合理的な根拠もなく化粧品で「シミが消える」、健康食品で「飲むだけで体重が激減」とうたうなど、品質・規格が著しく優良であると誤認させる表示のこと。有利誤認表示は、価格・取引条件が著しく有利であると誤認させる表示を指す。代表的な事例として、衣類販売などで実績のない通常価格を用いて「今なら通常価格の3割引き」とうたう二重価格表示がある。
改正法では、これらの不当表示に対し、「直罰」を適用できる。事業者には100万円以下の罰金が科される。額については、消費者庁が所管する特定商取引法の「直罰」規定でも100万円以下の罰金としていることから、これを参考にしたとみられる。
罰金の額は100万円にすぎないが、刑事罰であることから、社会に与えるインパクトは行政処分(措置命令・課徴金納付命令)と比べてはるかに大きい。事業者が受けるダメージは計り知れない。
法改正の方向性を議論した消費者庁の検討会では、「直罰」の対象について、表示内容が実際と異なることを知りつつ不当表示を行うといった、意図的な行為をイメージした。
例えば、健康食品を販売する際に「血圧が下がる」「花粉症に効く」と広告していたが、販売会社が表示の根拠を示す資料をまったく保有していなかった場合などが想定される。
「確約手続き」の運用で問われる手腕
従来の景表法による取り締まりでは、故意であっても過失であっても、不当表示と認定されると、措置命令などの行政処分しか選択肢がなかった。前述したように10月1日の施行後には、悪質な行為に対しては刑事罰も可能となる。一方、不当表示に該当するとは知らずに行き過ぎた広告を行った事業者については、「確約手続き」も選択肢となり得る。
「確約手続き」の場合、消費者庁と事業者が合意に至れば、事業者が自ら表示を是正することになり、措置命令や課徴金納付命令の行政処分は出されない。
2月22日の定例記者会見で、消費者庁の新井ゆたか長官は「一番メリットがあるのは消費者だと思っている。不適切な表示がいち早く改善されるので、消費者の利益が保たれる。短時間で処理できるため、多くのリソースをほかの事案に充てることもできる」と導入のメリットを説明した。
「確約手続き」は、過去10年間に繰り返して違反したケースや悪質なケースを対象外とする。しかし、悪質かどうかの境界は不透明だ。また、課徴金納付命令が出されない一方で、返金措置を必須としていない。このため、運用を誤ると、不当表示を行う事業者に有利に働く恐れもある。
新井長官は、悪質かどうかについて「具体的な事例に応じて判断する」とし、「ここ数カ月、景表法で措置する場合に、(改正法の)施行後にどうなるかというイメージをしながら行っている」と慎重に運用する考えを述べた。
悪質な行為をどう見極めるか、購入者への返金を強く促すことができるか――「確約手続き」の運用で消費者庁の手腕が試されそうだ。
(了)
(木村 祐作)
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