2023.02.13 行政情報
中国への化粧品輸出に新規制、厳し過ぎ?で日本メーカーの対応に遅れも
中国政府が打ち出した化粧品の新たな規制をめぐり、日本の化粧品メーカーは対応を急ピッチで進めている。製品に含まれる全成分の詳細データの提出期限は5月1日までで、間に合わない場合は中国へ輸出できなくなる。国や業界団体は中国政府に対し、猶予期限の延長を求めているが、先行きは不透明だ。

全成分の情報を中国政府へ提出
中国政府が導入した化粧品の新たな規制は、2021年1月1日に施行された「化粧品監督管理条例」に基づくもの。化粧品の安全性確保を目的としたものだ。
その後、同条例に関する通知などが相次いで公表されたものの、情報収集に時間がかかり、特に大手メーカーでは製品数が多く、対応が遅れ気味。中国政府が要求する全成分のデータ提出は、既存製品について今年5月1日を期限としている。
新たな規制は、含有量の多い成分から順に、含有量をパーセントで計算して提出することを要求。また、日本では含有率が「1%」以下の成分については順不同で記載するが、その水準を「0.1%」に設定した。処方のノウハウを提出することに近づいた、と言えそうだ。
全国紙の報道では、「体のいい技術移転」という業界関係者の声を紹介している。これに対し、日本化粧品工業連合会(粧工連)は「製品の安全性を確認するためにデータを把握することは不合理ではない」とし、中国政府の方針に一定の理解を示す。
「(技術移転という)懸念は中国政府も理解していて、情報は漏らさないように管理すると言っている。日本の厚生労働省もノウハウを管理することがある」と話している。
メーカー各社は沈黙…提出の遅れは必至?
その一方で、粧工連では国内メーカーが対応するための時間が不足していると訴える。5月1日の期限までに、全成分の情報の提出が完了しない場合、中国への輸出ができなくなる。このため、粧工連では独自のチャネルを通して、猶予期間の延期を中国政府へ申し入れている。日本政府にも協力を依頼したという。
特に、製品数・成分数が多い大手メーカーなどでは、期日までにすべて対応することが困難とみられる。大手各社に取材を申し入れたところ、「法令順守を目指して進めている」という回答のみで、ピリピリした様子がうかがえた。
各社では急ピッチで対応を進めているものの、5月1日以降、一部製品で中国向け輸出を停止せざるを得ない可能性が出てきそうだ。
日本政府、WTOで猶予期間延長など交渉
国内化粧品業界の“悲鳴”を受け止めて、日本政府は日中間の話し合いを持つと同時に、WTO(世界貿易機関)のTBT委員会でも猶予期間の延長などを交渉している。経済産業省によると、「米国・韓国・オーストラリア・EUも(日本と)同じスタンスにある」(生物化学産業課生物多様性・生物兵器対策室)。
同省の担当官は、新たな規制について「理解できる範囲のものは仕方ないが、厳し過ぎる部分は論点となる」と指摘する。
中国の化粧品市場は米国に次ぐ世界第2位で、その差をじわじわと縮めている。スキンケアでは世界最大の市場を抱える。今や国内メーカーにとって、中国はもっとも魅力的な市場の1つであり、交渉の行方に関心が注がれている。
(木村 祐作)
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