2022.07.07 行政情報
オンラインビジネスが急拡大もEC取引の上昇は一巡…22年「通商白書」
経済産業省はこのほど、2022年版『通商白書』をまとめ、公表した。ロシアのウクライナ侵略による世界経済の先行き不透明感を憂慮。また、コロナ禍を経た経済活動に関して、企業は成長の牽引役としてデジタル化を進展させつつも、接触型と非接触型の経済活動をハイブリッド型に展開する対応が重要となるとしている。

2022年版『通商白書』より
2022年版『通商白書』より
ロシアのウクライナ侵略が世界経済成長率を押し下げ
ロシアのウクライナ侵略は、22年の世界経済成長率を押し下げ(4.4%→3.6%)、引き続き、食料・エネルギーなどの供給制約や価格高騰をはじめ、貿易や金融など、世界経済に影響を与えていると指摘。米中の対立やコロナ禍も重なり、世界中でサプライチェーンの途絶リスクなど、「不確実性」が高まっていると強調した。
その上で「デジタル変革」「地政学リスクの増大」「共通価値の重要性の高まり」「政府の産業政策シフト」という4つの潮流への対応の必要性を提示。地政学リスク、共通価値に関してはルールのブロック化が発生しているとし、それを受けた市場のブロック化の進行も確認した。
コロナ禍で社会インフラがオンライン化を加速
コロナ禍で加速したトレンドを踏まえ、従来のコスト削減・低価格製品提供の重視から、差別化・高付加価値化や効率的なオペレーションに取り組むビジネスモデル・産業構造への変革を積極的に促し、企業の稼ぐ力を引き上げることが重要との見解を示している。
コロナ禍からの正常化を見据えた経済の動向について、非接触型で提供する必要性が高まった教育や医療といった社会インフラは、オンライン化の必要性を高めたのは特殊な要因があるが、技術の進歩と人々の需要に合わせた適切な形での提供と、低所得国におけるデジタルアクセスへの困難を緩和するための施策が重要な課題とした。
EC市場が大きい国のEC化率は現在横ばい状態に
ただ、コロナ禍は非接触型の経済活動を一方的に押し進めている訳ではない。EC市場の規模が大きい国で、小売売上に占めるECの割合を見ると、感染が深刻化した20年序盤には急上昇したが、その後は横ばいの動きが共通して見られている。
このことから、小売では消費者が購入するものをある程度は事前に決定しており、オンライン店舗を利用することが合理的でも、実際の店舗での消費体験に対する需要は根強く、オンライン消費と実際の店舗での消費が共存していく可能性が高いことが示唆されているとした。
接触型と非接触型の経済活動をハイブリッド型に展開する対応が重要に
コロナ禍は非接触型の経済活動に対する需要を旺盛にし、それによって生じたデジタル化の流れに迅速に対応できた企業にビジネスチャンスをもたらした。一方で、接触型の経済活動に対する需要も依然として根強く、企業は成長の牽引役としてデジタル化を進展させつつも、接触型と非接触型の経済活動をハイブリッド型に展開する対応が重要になるとした。
また、データを含めたデジタル貿易が拡大し、アジアを中心に越境データフローが急増している現状と課題について、一部の国ではデジタル保護主義の動きが強まっており、個人情報保護などの規制の動向把握が必要になる。ロボットやAIなどの新興技術は、サプライチェーン効率化や新たな価値創出を可能にする一方、複雑化するルール・技術面への対応や労働補完的な活用が課題。時流の変化を見据えた雇用・教育体系の見直しも重要としている。
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