2014.12.10 コラム
売上1000億円を突破、QVCの「マルチプラットフォーム戦略」とは?(2)
新顧客層の開拓が課題
ただ、顧客層である40~60代女性のQVC利用者は約140万人で、総務省の統計によると40~60代女性は約2600万人いるとされ、この数字からするとまだわずか。テレビ通販の魅力やQVCのことを知らない人たちを取り込むことが、課題となっている。その解題解決に向けた最優先事項が「マルチプラットフォーム戦略」の推進だ。 YouTubeでのライブ配信もこの一環。「YouTubeでの配信は、QVCの出張所のような位置づけです。新しい顧客層を『QVC.jp』に呼び込むきっかけにしたい」(デジタルマーケティング担当)と話す。 顧客接点別に見ると、スマートフォンアプリへの対応は早く、2011年にQVCの24時間生中継がモバイル端末でも視聴できようになった。現在、同社への発注経路の70%がテレビ通販からの電話で、30%がEコマース。Eコマースのうち、パソコン経由が15%でモバイル経由が15%と、インターネットからの注文の半分をモバイルが占めている。「テレビを見てからスマホで注文したり、布団に入ってから寝る前にスマホでの番組動画を見て注文する人たちが増えています」(広報担当)と語った。

QVCスクエアは「幕張からの中継」のシンボル
2013年1月にできた新社屋「QVCスクエア」には、番組を収録するスタジオ、カスタマーコンタクトセンター(コールセンター)など、倉庫・商品発送を除くQVCのすべての機能が集約されている。この新社屋はオムニチャネルで言えば、店舗の機能を果たしている。第2スタジオには可動式の観覧席があり、顧客を招いた番組観覧のイベントも開催。また、QVCオリジナルグッズを購入できるギフトショップもある。「通販はバーチャルな世界で、誰がどこでどんな仕事をしているのか見えにくい部分があります。番組中にお天気情報として定点カメラから市内の映像を流すなど、新社屋は『幕張からのテレビ中継』というリアルな存在感を出す役割を果たしています」(広報担当)としている。 新社屋は13年8月に「ニューオフィス推進賞<経済産業大臣賞>」を受賞した。内部はスタジオ、オフィス、コールセンターが吹き抜けになっており、スタッフの姿が見わたせるなど、近未来的なデザインになっている。「QVCは楽しくなるコンテンツを提供しているので、番組を企画・制作する側も楽しまないといい番組ができません。その考えが反映されたオフィスになっています」(広報担当)とした。


そのほか、SNSではツイッターで視聴者からの意見を募集して、人気番組で紹介する試みや、視聴者が番組で紹介された商品で作ったレシピをWEBサイトで公開し、YouTubeやフェイスブックで紹介するなどの仕掛けをしている。 しかし、ネットならではの難しさもある。ネット通販の利用者は、テレビ通販で放送されるようなプレゼンテーションを待てず、価格を重視する傾向がある。ネットやSNSを連携してこの層にどうアプローチするか。同社は積極的に動画を活用していく方針だ。 ネット通販会社も、インフォマーシャルの動画CMやサイトに動画を掲載するなど、動画による訴求を重視している。QVCのマルチプラットフォーム戦略の今後に、注目が集まる。
了
(文:山本 剛資)
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