2026.05.20 ピックアップ
「ブランド資産」の構築・活用がEC市場で生き残る“パスポート”
現在のEC市場はさまざまな変化が顕在化し、メーカーやブランド各社の売上は従来のような大きな伸びが期待しにくい状況にある。優位性を保つためには、これまでのECモールを中心とした成長戦略から、公式オンラインショップを軸とした取り組みへの転換が求められる。ECを中心にしたブランディングとファンづくりに向けて、いかに効率的・効果的に「ブランド資産」を構築・活用するかが問われ始めている。各社が抱える課題と解決方法について、久のブランドEC成長支援室 室長・立川哲夫氏に聞いた。
旧態依然としたEC運営は限界に
――EC市場を取り巻く環境をどのように見ていますか?
立川哲夫氏(以下、立川):国内EC市場は拡大を続け、今後も伸びていくと予想されています。しかし、個々の動きを見ると、すでにEC年間売上高が大きい企業の売上が1.5倍になるなど急成長している企業はほとんどない状況です。
EC市場は高成長期から転換期を迎えています。社会インフラとしての存在感を示すようになり、かつての「あれば便利」から、「ないと不便」へと変わってきました。近隣のスーパーマーケットやコンビニと同じような感覚ですね。市場規模も似通っています。
ECは私たちの日常生活に不可欠なものとなりましたが、ECモール中心の各社ショップの売上拡大が限界に近づきつつあり、差別化の余地も少なくなり、成長戦略の再定義が必要なタイミングになっているのではないでしょうか。
――差別化が難しくなるなか、各社のEC運営はどこへ向かうとお考えですか?
立川:メーカーやブランド各社は、かなり悩んでいると思います。今後、中長期視点で業績を伸ばすためには、複数のECモールやSNS経由で接点は維持しつつ、実店舗などのリアル接点とも連動させた公式オンラインショップ(自社の公式EC)を中心に置くことが必要となるでしょう。売上拡大だけでなく、公式オンラインショップを最も重要な顧客接点・自社独自のデータ取得の場として捉え、会社全体でブランドをどう育てるのかという視点へシフトできるかが鍵です。
すでに、公式オンラインショップを中心に置いた先行的な取り組みを進めている企業も見られます。一方、多くの企業では「そうは言っても、どうやって売上と利益を出せばいいの?」と現状の運営に悩みながら、動けずにいるようですね。ECを持つ企業は、ECモールを優先しながら、公式オンラインショップ・SNSなどを並行して活用するという、従来の手法を変えられずにいると思います。
しかし、EC市場を取り巻く環境が大きく変わろうとしているなか、数年後を見据えて公式オンラインショップを軸とした事業への再定義が必要なタイミングと言えます。
36の評価項目でブランド価値を“見える化”
久 ブランドEC成長支援室 室長 立川 哲夫 氏
――そうした状況で、貴社はどのようなサポートが可能ですか?
立川:現在、当社では大きく分けると2つのサービスによって、公式オンラインショップを中心としたEC運営をサポートしています。その1つがEC総合支援です。これによって、売上や利益を伸ばすためのデータ分析に基づいた戦略立案から、企業内の運営リソース不足をカバーする伴走まで支援しています。
もう1つは、ECに特化したデータ連携と分析基盤であるECデータマネジメントクラウド「ECコネクター」の提供です。EC運営で必要となるデータに関する悩みを解決するため、すべてのデータをマネジメントできるサービスです。
現状を見ると、ECを運営する各社はECカートシステムをはじめ、業務運営ツールや検索ツール、会計ソフトといった多種類のツール・ソフトを使用し、API連携などによってつなげています。ところが、どうしても1つや2つ、自動で連結することが困難なデータが出てきます。そうした部分を「ECコネクター」でつなげることで、劇的に業務効率が改善し、分析データもダッシュボード画面で一括管理もできるようになります。しかも、低コストで、既存システムのリプレイスなどのリスクを伴わずに実現できる点が特長です。
社内にあるすべてのデータを連携しなければ、今後のEC成長に必要なブランド育成の課題を把握したり、具体的な施策を打ち出したりすることが困難となります。このため、データ連携と分析基盤の提供は両輪と位置づけています。
――データの連携後、どのような形でブランドを育成していくのですか?
立川:当社は、企業内のリソース不足により、EC運営のプロに任せたいというニーズに対応したECサイト制作運用実行支援サービス「ミギカタアガリ」を展開しています。そのなかに、公式オンラインショップの現状を正確に評価できる独自開発のEC評価指標「ブランドスコア」を組み込みました。この「ブランドスコア」に基づいて、ブランドの価値を“見える化”します。
「ブランドスコア」は、ブランド価値向上に必要な各種資産を増やし続けるための基準として、現時点で36項目を設定しています。それぞれの項目を評価した結果は、ダッシュボード画面にてひと目でわかるように表示されます。そして、評価結果に基づいて、EC成長させるための具体的な施策を提案します。
各企業では提案された内容を実践することになりますが、もし社内にリソースがない場合は、バナー作成・サイト更新・キャンペーンページの運用や受注処理・顧客対応・出荷対応などの業務まで、「ミギカタアガリ」で支援することが可能です。
もう1つの軸となるのが、ECデータ基盤の提供です。ECデータ基盤には、前述した「ECコネクター」が組み込まれる形となります。これによって、ECカートや各種システムとのデータ連携、データの可視化などを実現します。
ケラー教授の提唱を踏まえた仕組み
――今後は自社の公式ECを起点にしたブランド育成が最も重要になるわけですね?
立川:そうですね。従来は、複数のECモールに出店し、SNSも活用して、その上で「自社の公式ECも持っていますよ」という展開が主流でした。EC多店舗展開によって業績を伸ばすという発想ですね。
これに対し、一部のメーカーやブランド企業では、公式ホームページという概念がなく、公式オンラインショップが消費者との最初の接点と捉えています。顧客接点の中心は公式オンラインショップと位置づけ、実店舗などのリアル接点との連携、ECモールへも出店し、SNSなどの接点も活用するという考え方です。
今のところ、「ブランド育成が大切ですよ」「ファンをつくることが必要ですよ」と提案しても、「それはそうだけど…」で終わってしまう企業が多いですね。しかし、フワッとした話で片付けるのではなく、ブランド育成・ファン育成のために何が不足しているのか、何に注力すべきかを可視化する必要があります。それを実現するのがECに特化した「ブランドスコア」です。
そして、「ブランドスコア」によって明確になった課題に対し、具体的な施策を実行するのが「ミギカタアガリ」となります。
当社はブランド資産の構築を提案していますが、そのベースとなるのが、米国のケビン・レーン・ケラー教授が提唱した「CBBEモデル」(Customer-Based Brand Equity=顧客ベースのブランド・エクイティ)です。ケラー教授は、ブランドピラミッドという概念を発信しています。これは、ブランド構築のステップとブランディング活動を体系化したものです。
「ブランドスコア」はケラー教授の提唱を踏まえつつ、当社の長年の公式オンラインショップを中心にしたEC総合支援で蓄積したノウハウと実績をベースに、ブランド価値向上とEC成長に適した評価項目を設定しています。
独自開発のEC評価指標「ブランドスコア」を本格稼働
久 ブランドEC成長支援室 室長 立川 哲夫 氏
――今後の予定をお聞かせください。
立川:ECを起点に成長を続けるメーカーやブランド企業では、ECは「単なる売上を作る場」ではなく、「ブランディングやファンづくりの場」と捉え始めています。WEB広告への投資による新規獲得にも限界がありますので、ブランドを中心に置いて、顧客接点を増やしながらファンをつくっていく方向にあります。
その際に、課題や必要な取り組みを“見える化”し、適切な手法によってブランドのファンを増やしながら売上を増やすことが重要となります。
そうしたニーズに応えようと、当社は5月中旬から独自開発のEC評価指標「ブランドスコア」の本格稼働をスタートさせました。EC特化型データ連携・分析基盤のECデータマネジメントクラウド「ECコネクター」と組み合わせることで、ブランド資産の可視化、施策の実行まで一貫してサポートし、ECビジネスにおけるブランド価値向上に寄与するサービスの提供に注力してまいります。
――ありがとうございました。
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