2019.7.11

株主=優良顧客…ファンケルの「開かれた株主総会」とは?

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「開かれた株主総会」を掲げ、株主総会を株主との親睦を深める機会と位置づける(株)ファンケルの第39期定時株主総会が、6月22日に横浜アリーナで開催された。株主総会には5495人の株主が参加。取締役選任の決議や事業報告、質疑応答のほか、株式総会として珍しい株主との懇親会が行われた。

 

株主からの記念撮影に気さくに応じる島田和幸社長

 

ファンケル株主総会は社員総出の一大イベント

 ファンケルでは、同社は「株主=優良顧客」と位置づけ、1999年12月に東証一部上場を果たして以降、多くの株主が参加しやすい土・日に開催している。

 

 土日開催のほかにも、ベビーカー預かり所、キッズスペース、授乳室などを設け、総会の事業報告では同時手話通訳もつけるなど、多くの株主が参加しやすい環境を整えている。

 

 (株)東洋経済新報社の調査によると、2018年は上場企業が開催した株主総会の平均出席者数は216人だった。ファンケルの株主総会は、平均の参加人数を大きく上回る。株主総会の参加人数は上場企業のなかでも上位に入り、通販業界ではトップとなる。

 

特別割引販売の様子。開始早々に売り切れの商品が出始めた。

 

特別割引販売コーナーでは売り切れも続出

 株主総会には社員が総出で参加し、株主総会後に懇親会を実施。事業ごとのブースを設営し、商品や研究技術を社員が株主に説明するなど、企業理解を深めてもらう工夫をしている。特別割引販売も人気で、売り切れが出る商品もあった。

 

 懇親会では、ファンケル社員が株主に商品の説明をするなど、各ブースで株主との活発な交流が見られた。また、同社の池森賢二会長や、島田和幸社長は、株主から記念撮影を求められ、気さくに応じていた。株主は子連れの参加者も多く、アットホームな雰囲気の懇親会だった。

 

研究成果を発表するセミナー会場

 

100億円を資金調達、製造工場・物流センター新設へ

 株主総会では、次期に向けた事業戦略も報告された。通販事業は、自社通販と外部通販の棲み分けにより、売上、利益の最大化を図る。自社通販では、ファンケルのコアチャネルとして、ブランディングとパーソナルな提案を実施し、外部通販では「Amazon」「Yahoo!ショッピング」「楽天市場」「LOHACO」に出店し、自社通販で接点がない顧客層の新規獲得を目指す。今年は4月から新メンバーズサービス開始したほか、ポイントサービスを進化。今後は定期購入サービスを化粧品への一部導入することも検討する。

 

 健康食品事業では、機能性表示食品の5製品「健康数値サポートシリーズ」を展開しているが、『内脂サポート』『尿酸サポート』を次期スター製品として育成・強化する。また、19年秋には、問診で顧客に必要な栄養素を確認してから、最適なサプリメントの組み合わせを調合し、1回分ずつ個包装にて提供する「パーソナルサプリメント」を発売する予定。

 

健康食品事業ブースでの展示商品

 

 BtoBビジネスでは、ダイドードリンコと共同開発した『大人のカロリミット』茶シリーズが好調。ダイドードリンコのなかでもヒット商品になっているという。同社はBtoBを第4のチャネルに確立させることを目指す。

 

 また、投資戦略として、新たな成長投資のために100億円の資金を調達したことを報告。調達資金はサプリメント工場の新設(約40億円)、関西物流センターの新設(40億円)、「マルチクレンジング オイル」専用工場の新設(20億円)に充てられる。

 

 店舗を持たない通販会社は、ネット上のコミュニケーションがメインであることから、社員の顔が見えにくい。同社では、自社店舗によるコミュニケーションに加え、株主総会で優良顧客でもある株主に感謝する場を設け、顧客接点を深める取り組みを約20年以上実施してきた。同社の好調な業績は、「開かれた株主総会」のような顧客接点を高める取り組みを継続して実施してきたことが大きいだろう。

(山本剛資)

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