2018.04.18 行政情報
二重価格表示の監視強化、違反表示が減らず牽制球か
行政による景品表示法の取り締まりがあわただしくなっている。消費者庁案件だけでも3月には5件の措置命令がなされた。さらに3月26日には東京都による初の措置命令が出なされるなど、都道府県による景表法運用も新たな動きを見せている。一連の行政の動向を景表法に詳しい弁護士からの取材などをもとに分析し、通販会社は今、どんな対策が必要かを探る。
「将来価格」「打ち消し表示」にも厳しい監視の目
措置命令の内容をみると「二重価格表示」への監視が強くなっている。17年12月にはアマゾンジャパン合同会社が、今年3月にはジュピターショップチャンネル、マカフィーといったネームバリューのある企業が「二重価格表示」で措置命令を受けている。3月に措置命令が出された5件のうち、3件は二重価格について指摘を受けている。さらに、3月に都が出した措置命令についても「二重価格」について指摘している。
消費者庁が3月に出した措置命令の内容を見ると「将来価格」や「通常価格の打ち消し表示」などにも言及している。行政の目はこれまで幾度となく問題とされてきた「過去に販売実績のない価格の表示」だけにとどまっていないことがわかる。
二重価格への規制は「過去に販売実績ない価格」だけでなく
ジュピターショップチャンネルのケースでは、テレビやカニについて「期間限定価格」などとして高い割引率の販売価格を表示していた。ただ、「明日以降」「期間終了後」などとして表示した通常販売価格(将来価格)が3日間程度の販売実績しかなく、十分な根拠を持つ実態のある価格とは認められなかった。将来価格とは、「過去に販売実績のある販売価格ではないが、将来的に販売実績ができる見込みの価格のこと」(消費者庁・表示対策課の笠原慎吾上席景品・表示調査官)としている。
通販法務に強みを持つ丸の内ソレイユ法律事務所で、景表法に詳しい成眞海弁護士は「消費者庁はかなりバリエーションを持たせて執行している印象がある」と指摘する。「そもそも二重価格表示とは、過去に販売実績がない価格を表示することだけをさしているわけではなく、『販売価格』として、根拠に乏しい価格の表示全般が当てはまりうるということを改めて明確にした」(成弁護士)と見ている。
「先行販売限定とするような割引表示にも注意を」
二重価格について監視の目を厳しくしている背景については「数年前に大手ECモールで二重価格問題が世間的にも注目された。ただ、依然として二重価格表示は減っていないと思う。こうした事態に対して消費者庁は、牽制球を放ったということではないか」(成弁護士)と分析する。「ネームバリューのある企業に措置命令を行うなど、インパクトの大きい措置の仕方をしている。かつ、『将来価格』といったこれまでにはなかった部分についても踏み込んでいる。内容にバリエーションを持たせ、二重価格表示における『過去の販売実績』以外の抜け穴も野放しにせず、先回りしているようにも思える」と言う。
今後注意すべき「二重価格表示」のパターンもありそうだ。成弁護士によると「新商品を販売する際などに、『先行販売限定価格』などとして定価より安く見せる手法もある。ただ、こうした表示についても割引前とされる定価についても、販売実績があるなど実態がないと景表法の措置命令リスクが高くなってしまうのではないか」と見ている。
近時の行政動向を鑑み、通販事業者は価格表示についてこれまで以上にシビアに考える必要がありそうだ。成弁護士も「当たり前のことではあるが、根拠を持った実態のある販売価格を表示することが何よりも重要。少なくとも、定価・割引価格などと分けて表示する際は、根拠のある価格であるかどうかの再確認を社内でする必要があるだろう」と話す。
(古川寛之)
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