新手の悪質商法に対応するため、消費者が売買契約などを取り消せる権利を拡大した改正消費者契約法が6月1日、施行する。

消費者庁のHPより抜粋
ツアーと称して誘い出し、離島で化粧品やサプリを勧誘
同法は、消費者と事業者が保有する情報量や交渉力に格差があることを踏まえ、不当勧誘による契約の取消権を消費者に付与している。これまでにも、困惑型の悪質行為として、「不退去」「退去妨害」「不安をあおる告知」「デート商法」などの8類型を設けてきた。
近年、新たな手口による被害が報告されていることを受けて、法改正によって困惑型に、(1)勧誘することを告げずに、退去が困難な場所へ同行し勧誘する行為、(2)威迫する言動を交えて、相談の連絡を妨害する行為、(3)契約前に商品の現状を変更し、原状回復を著しく困難にする行為――の3類型を追加した。
「勧誘することを告げずに、退去が困難な場所へ同行し勧誘する行為」とは、本当の目的を明らかにせずに、1人で帰ることができないような場所へ連れて行って契約させること。
例えば、化粧品やサプリメントの販売が本当の目的であるにもかかわらず、それを隠して“離島ツアー”と銘打って、離島まで連れて行った後に、化粧品やサプリメントの売買契約を勧誘するケースなどが該当する。
「威迫する言動を交えて、相談の連絡を妨害する行為」とは、商品・サービスの契約を勧誘され、自分だけでは判断できないため、親や知人に相談しようとしたが、事業者が高圧的な言動によってそれを妨害すること。
例えば、美容医療やエステサービスの利用を勧誘された若い女性が、「自分では決められないから親に相談します」と話しているのに、“脅迫”ではないものの、「みんな自分で決めているよ」「自分で判断できるだろう」などと迫って、相談させないように仕向けるケースが該当する。
「契約前に商品の現状を変更し、原状回復を著しく困難にする行為」とは、消費者が購入するかどうか決めていないにもかかわらず、事業者が商品を元に戻せないように変更して、消費者に買わざるを得ないと思わせる状況を作り出すこと。
例えば、食品の容器包装を破って中身を見せて、「このとおり、本物の〇〇を使用していますので安心してください」と説明し、強引に購入させるケースなどが該当する。
6月1日以降、これらの行為によって契約させられた消費者は、同法に基づいて契約の取り消しが可能となる。
解約料の説明の努力義務を盛り込む
このほか、改正によって、「解約料の説明の努力義務」「免責の範囲が不明確な条項の無効」なども盛り込んだ。
同法には解約料の説明に関する規定がなかったが、改正により、消費者の求めに応じて解約料の算定根拠を説明することを事業者の努力義務として定めた。消費者から「解約料が高すぎると思うけど、その理由は?」と聞かれた場合、事業者には設定根拠を説明する努力が求められる。
免責の範囲については、「法令に違反しない限り、1万円を上限として賠償します」という規約を設けている事業者もあるが、事業者の責任の範囲が曖昧になると問題視されていた。このため、改正によって、不明確な「一部免責条項」は無効と定めた。
(木村 祐作)
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