楽天グループ(株)の三木谷浩史会長兼社長は26日、都内で開催された「楽天新春カンファレンス2023」で、「楽天市場」の売上規模を10兆円にする目標に向けて、「楽天モバイル」事業を強化する方針を明らかにした。その一環として、30日から法人向けサービスを本格化させる。
楽天モバイルが楽天経済圏拡大のカギ握る
会場となった都内ホテルには、約1500人に上る楽天市場のショップ関係者が参加。別会場で1000人、オンラインで約3万人が視聴した。新春カンファレンスの三木谷氏の講演は、楽天グループ全体の新たな取り組みが公表されてきたが、今回は楽天モバイルに特化した内容で、全体を通じて楽天モバイルがグループにとっていかに重要かを強調する内容となった。
三木谷氏は、楽天グループの経済圏であるエコシステムについて、中心となるのが楽天市場で、それを囲い込む“城壁”として、楽天トラベルや銀行などがあると説明。「そのうち、最強のものが楽天モバイルとなる」と述べ、楽天モバイル事業の強化が経済圏拡大のカギを握ると強調した。
楽天モバイルの強みに、仮想化・自動化・オープン化を挙げた。これにより大幅なコストダウンを図り、月額2980円を実現。4人家族の場合、他社と比べて年間で約20万円を節約でき、浮いた予算を楽天市場などで消費してもらえるというメリットを挙げた。
楽天モバイルで1人あたりの年間流通総額が49%増に
楽天モバイル契約後の利用データ量は、昨年12月時点で18.4GBに上り、携帯各社の約2倍。2022年には楽天モバイルによって、1人あたりの年間流通総額が49%増加し、クロスユースサービス数も平均2.58に増加した。また、今年1月1日、楽天市場でモバイル末端を経由した購買は全体の89.3%を占めたという。
昨年の楽天国内EC流通総額5.6兆円を10兆円に拡大させる場合、そのうちの2兆円強が楽天モバイルによる貢献という試算を示した。
また、国内地域のカバー率は、2024年末から2025年にかけて、100%達成を実現すると自信をのぞかせた。
技術面については、クラウド上の運用でコストダウンなどを実現。仮想化・自動化・オープンランによって、設備投資費が40%削減、運用費が30%削減できると説明。「料金プランについては、多くのブランドは大容量になると飛躍的に高くなる。しかし、当社はワンプライスで提供する」(三木谷氏)とライバル他社との違いを指摘した。
法人契約は3種類の料金プランを設定
楽天モバイルをビジネスでも利用してもうため、法人契約の拡大を本格化させる方針を明らかにした。今月30日からスタートする。
料金は月額1980円(通話+データ3GB)、2380円(同5GB)、2780円(同30GB)の3種類を設定する。先行してスタートしたトライアルでは、現在400社超の法人に提供済み。
三木谷氏は「楽天モバイルが既存3社をしのぐ携帯電話会社になり、楽天市場の出店者の売上増につなげていく。楽天市場で買い物をしたポイントで、携帯料金を支払うような体験をしてもらいたい」と今後の目標を語った。
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