通販・EC業界では、自ら商品の説明などのサイトコンテンツを書いている方も多いと思います。
その時あなたは、いったい何を考えながら文章を考えていますか？

「商品をたくさん売りたい・・・」

「どんなことを書いたらいいのかわからない・・・」

「どんな順番で紹介したら読みやすいだろう・・・」

そんな悩みを解決してくれる本がこの「Webライティング実践講座 ニュースリリースから商品説明まで」です。

大きく分けて３章立てになっており、練習問題を交えながらわかりやすく説明しています。

第一章・基本編ではライティングとWebライティングと銘打ってこれまでの文筆家などによるライティングとは違うWebライティングの特徴をわかりやすく記しています。

第二章・実践編で、プレスリリース、商品紹介、レスポンス広告など具体的な場面を想定したWebライティングの文章の型を紹介しています。

第三章・応用編では、Excel、Googleのサービス、WikipediaなどWeb上のツールを使って効果的な文章を書く方法を提案しています。

その中でも今回は、通販・EC業界と直結する「2.3:買いたい気持ちが高まる商品説明」について紹介します。

まず、Webライティングでの目的は「機会があったら買ってみたい」と思わせることです。
そのためには、押し売りや商品がどんなにいい機能を持っているかを説明するだけではだめで、具体的には

１．課題設定
２．課題の解決策
３．買わない理由の否定
４．購入後のメリット

の四つの要素を集めて効果的に文章の中で組み立てていかなければなりません。
本文中の例題の中では、ある実際の冷却グッズについて

１．課題設定
　高温多湿の日本の夏を快適に過ごすにはエアコンが必要なのだが、そのエアコンはピーク時には家庭での消費電力の５０パーセントを占めており、「エコで快適な節電対策」が求められている。

２．課題の解決策
　「（商品名）」は、窓から降り注ぐ日差しを６０パーセント以上カットして室内温度の上昇を防ぎ、エアコンなどによる消費電力の低減に効果を発揮する。

３．買わない理由の否定
　粘着テープで張り付けられる工事不要の（商品名）は、壁などに穴をあけず誰でも工事なしで取り付けられ、賃貸マンションやバルコニーにも手軽に設置できる。取り外しも簡単で、使用しないシーズンや強風時はコンパクトに収納できる優れもの。

４．購入後のメリット
　どんな住宅にもなじむグレイ生地を採用。室内からの透視性はよく開放感にあふれている。日中、外からの視線を程よくカットし、プライバシーを確保。まさに流行のDIY感覚も愉しめる一味違うエコ節電なのだ！

のように、本を読んでいるだけの私が思わず商品名を検索してしまったほど魅力的な文章が完成しました。

その他にも、『文章の骨格は起承転結の「転」から考えること』、「カメラと同様にズームイン/アウトの手法が有効であること」、『「あれ」「これ」「そして」などの言葉は多くの場合不要』など、目からウロコの金言が飛び出します。

日常的にウェブ上で文章を書かなければならないあなた、必見です。

【著者プロフィール】――――――――――――――――――――――――――――――――――
林 千晶(はやし ちあき)
1971年生まれ、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒業。花王マーケティング部門に勤務後、米国留学。
2000年に帰国、諏訪(共同代表)とともにロフトワークを起業。新規事業やWebサービス開発、コンテンツ企画制作の他、学びのコミュニティ「OpenCU」、
デジタルものづくりカフェ「FabCafe」など、さまざまなクリエイティブサービスを提供している。2012年よりMITメディアラボ所長補佐に就任。

中野克平(なかの かっぺい)
1970年神奈川県生まれ。立教大学法学部卒業。朝日新聞社を経てアスキーに入社し、「月刊NETWORK MAGAZINE」を編集。
アスキー・メディアワークスの情報サイト「ASCII.jp」のリニューアルを主導し、現在は「Web Professional」編集長を兼務するほか、同社技術部でクラウド事業の推進にも関わる。