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2015.01.16 コラム

「オムニチャネル戦略」が席巻…通販業界14年総括(3)

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 2014年の通販業界では、新たに「オムニチャネル」という言葉がさまざまな場面で話題となった。オムニチャネルとは、実店舗・ネットショップ・スマホなど複数のチャネルで消費者と接点を持ちながら、会員IDなどで情報が統合されていること。各種セミナーでは関連の講演が多数行われ、通販通信でも関連の記事が多かった。

通販専門企業にはハードルが高い戦略?

通販業界で注目される「オムニチャネル」だが、この戦略で成功している企業や積極に取り組む企業は、セブン-イレブン・ジャパンや東急ハンズなど、店舗を持つ小売業に多く、通販の専門企業にとってはハードルが高い戦略となっている。

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 それはなぜか。通信販売の前提は「店舗がない」からだ。通販は店舗を出す経費を必要とせず、不必要な経費をそぎ落としたビジネスモデルだ。店舗で販売される商品の販売価格は、卸売価格から流通業者や代理店・販売店など料金が加算されている。通販はこうした流通過程を省き、メーカーが直接販売することで優れた商品を低価格で提供できる。店舗まで商品を買いに行く必要もなく、商品は自宅に届けられる。店舗の出店は、店舗の賃貸料・ディスプレイなどの装飾・人件費などさまざまな経費がかかるうえ、新たなノウハウが必要となり、通販企業による出店が成功するハードルは高い。

 

 一方、集客力があるデパートや百貨店、そこに出店しているメーカー、全国各地に店舗を持つコンビニなどは、すでに多数の顧客接点の窓口を持っており、オムチャネル戦略の導入はスムーズとなる。このため、オムニチャネル戦略は通販専門の企業には、あまりそぐはない戦略となっている。

通販企業に成功事例も

 百貨店などに出店しているある通販化粧品メーカーは、店舗販売で苦戦を強いられている。大手化粧品会社は、ブランドイメージが確立されており、百貨店やデパートでは高価格帯の商品でも売れている。しかし、同じような商品でも通販の商品は値段が安く、大手企業と同じように店舗販売しても大手にはかなわず、店舗での売上が増えたとしても、大手とは差がつく一方。今後の出店を取りやめることも検討しているという。

 

 通販通信でも通販会社が出店する話題を取り上げたが、期間限定の店舗や商品を展示するだけの店舗などが多かった。通販企業が出店するケースは、店舗販売で売り上げを上げるというより、商品を実際に見てもらうことや、通販のマーケティングでは獲得できない新たな顧客層の開拓を目的とした、簡易的な出店が多いようだ。

 

 また、ネット上での多チャンネル化もオムニチャネル戦略とすれば、2014年はネットショップの他店舗展開が活性化した。Amazonに「花王ストア」ができるなど、大手メーカーや小売業が各種ECモールに出店した。また顧客接点を増やすといえば、Amazonがヤマト運輸営業所での商品受け取りを開始したほか、楽天は宅配ロッカー「楽天BOX」を開始するなど、商品の受け取り場所を拡大している。

 

 ネット通販会社のオムニチャネル戦略はハードルが高いが、成功事例もある。有機野菜食品などの宅配を専門とするオイシックスだ。同社はクイーンズ伊勢丹や東急ストアなど、スーパーマーケット12店に出店している。昨年11月にも「クイーンズ伊勢丹 目白店」に、Oisix専用コーナーを開設した。Oisix専用コーナーは、野菜の魅力を直感的に伝えるため、産地とのつながりを感じられるようにオリジナルの什器を使用。「ピーチかぶ」や「生キャラメルいも」など、ネットで人気の青果や加工品などを販売し、売れ行きも好調だ。付加価値がある商品を提供していることが、店舗販売での成功に結びついている。

ニッセンの動向が今後を占う?

 また、通販企業によるオムニチャネル戦略では、今後を占うモデルケースがある。セブン-イレブン・ジャパンの傘下に入り、グループのシナジー効果による収益構造の改善を目指すニッセンホールディングスだ。ニッセンHDの2014年12月期決算は、86億円の赤字決算となり、現在では収益改善に至っていない。セブン-イレブン・ジャパンはグループを挙げてオムニチャネル戦略を推進し、グループ各社の店頭でニッセンカタログを配布したり、イトーヨーカドー店内にインテリアのショールームを展開するなど、ニッセンをバックアップしている。

 

 オムニチャンネル戦略の先端を走る小売のトップ企業による支援で、ニッセンの収益が改善しないようであれば、通販企業のオムニチャネル戦略は先細りするだろう。2015年もオムニチャネル戦略を推進する傾向が続くと思われるが、ニッセンをはじめとする通販企業の取り組みに注目していきたい。 続く

(文・山本剛資)

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