2026.08.28 通販支援
「カゴ落ち」のブラックボックスを“見える化” 売上最大化を実現
ECサイトでクレジットカード決済による購入手続きを進めたものの、何らかの理由で離脱してしまう「カゴ落ち」。どう対応すればよいかわからないという悩みを抱えるEC事業者に向けて、GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は今年7月下旬、オンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」から新サービス「承認率可視化オプション」をリリースした。「カゴ落ち」のうち、決済失敗・離脱におけるブラックボックスを“見える化”し、売上を最大化するという。クレジットカード決済をめぐる課題について、同社のインダストリーソリューション本部第1営業統括部ビジネス企画部部長の財津拓郎氏に話を聞いた。
3Dセキュアの必須化で「承認率」に関心高まる
――EC業界ではクレジットカード決済をめぐり、どのような問題に直面しているのですか?
財津拓郎氏(以下、財津):当社は、連結で年間69.5億件のオンライン決済を処理しており、「PGマルチペイメントサービス」は30以上の決済手段に対応しているのですが、加盟店様が用いる決済手段として圧倒的に多いのがクレジットカード決済です。
ここ最近、加盟店様から、取引がカード会社に承認される割合である「オーソリ承認率」について聞かれる機会が増えました。特に3Dセキュアが原則必須化されて以降、その傾向が顕著となっています。
GMOペイメントゲートウェイ インダストリーソリューション本部第1営業統括部ビジネス企画部部長 財津 拓郎 氏
この背景には、決済が完了するまでにさまざまな離脱ポイントが存在するものの、決済失敗・離脱における“カゴ落ち”の実態がブラックボックス化していることがあります。
――EC事業者などの加盟店様からは、具体的にどのような声が届いているのですか?
財津:これまでに寄せられた相談は、主に4つに分類できます。
まず、承認NGの原因が見えないという悩みがあります。エラーや承認NGが増えている気がしても、どのカード会社、時間帯、金額帯で発生しているのかを特定できず、具体的な対策を打てない状況にあります。
2つ目は、3Dセキュアの実態がわからないこと。3Dセキュアの認証画面に抵抗感があるために離脱したのか、カード会社で認証されなかったのか、といった実態が見えないという悩みがあります。
これまでに、特にこの2つの問題で困っているというお声をたくさんいただいています。
また、3つ目の課題に、不正検知ツールなどの効果を評価できないことがあります。セキュリティ対策として不正検知ツールを導入したものの、どの程度不正を防ぎ、どれくらい承認率の向上に寄与したのかについて、検証が困難という声が聞かれます。
4つ目の課題として、カード会社別の傾向がつかめないことが挙げられます。実は、クレジットカードの発行会社(イシュア)ごとに、承認の傾向に違いがあります。例えば、過去に不正利用が発生した加盟店については、カード会社によっては決済承認の判断がより慎重になる傾向にありますが、そうしたカード会社別の特徴を把握できないという課題も見られます。
「無料版」で気づき、「有料版」で改善策
――今回リリースした「承認率可視化オプション」について教えてください。
財津:「承認率可視化オプション」は、加盟店側で新たな開発を行うことなくご利用いただけます。無料版は「PGマルチペイメントサービス」の管理画面からすぐにお申し込みいただけるため、手軽にご利用を開始いただけます。
このオプションは、ブラックボックス化されている決済失敗・離脱における“カゴ落ち”の原因を加盟店様が把握・分析し、改善することで、売上拡大につなげることを目的に開発しました。ひと言でいうと、クレジットカード決済の承認率と3Dセキュア認証・離脱状況を確認できるサービスです。
オーソリ承認率ダッシュボード
※画面はイメージであり、「承認率可視化オプション」の一部を抜粋して掲載しています。表示されている数値・データはすべてサンプルです。
画像提供:GMOペイメントゲートウェイ株式会社
リリースするに当たり、「無料版(体験版)」と「有料版」の2種類を用意しました。
無料版の利用により、基本的な指標をもとに、自社ECサイトが抱えている決済の課題に気づくことができます。具体的には、当月の承認率と、3Dセキュアの認証適用率・チャレンジ認証発生率・離脱率を確認できます。
有料版は、無料版で得た“気づき”をさまざまな切り口から掘り下げて、改善するための具体策を打ち出すツールとなります。
有料版では、承認率について日次・月次、時間帯・金額帯、カード発行会社別、エラーコード別といった細かな切り口による集計と分析が可能です。3Dセキュアについては、利用状況や認証結果、離脱状況などを把握できます。
3Dセキュア認証ダッシュボード
※画面はイメージであり、「承認率可視化オプション」の一部を抜粋して掲載しています。表示されている数値・データはすべてサンプルです。
画像提供:GMOペイメントゲートウェイ株式会社
例えば、「ある時期から承認率が低下しているが、何が起こっているのだろうか?どう対応すればよいのか?」といったケースに活用いただけます。
――改善ポイントが特定された場合、その後の動きはどうなりますか?
財津:単に今回のオプションを加盟店様に提供して、「あとはご自由にどうぞ」ということではありません。当社には200人以上の営業担当者が在籍しています。それぞれの加盟店様を担当する営業担当者が、管理画面のデータを一緒に確認しながら、売上向上に向けた課題や改善策をともに考え、必要に応じて具体的な施策をご提案します。
例えば、「承認率可視化オプション」の分析結果に基づき、ほかのカード会社や業界業種ごとの平均値と比べ、特定のカード会社の決済エラー率が高いなどがあれば、カード会社への相談を持ち掛けるなどです。契約形態にもよりますが、このケースでは当社が間に入り、カード会社へ相談することもございます。
――「有料版」の料金体系をお聞きできますか?
財津:仕組みの維持には相応のコストが発生することから、それをカバーするために月額1万円の利用料金を設定しています。
しかし、「承認率可視化オプション」をリリースした狙いは、加盟店様のGMV(流通取引総額)の最大化です。加盟店様が自社サイトの決済失敗・離脱における離脱ポイントを把握し、対策を打つことができれば、承認率が向上してGMVが拡大します。それに伴って、決済代行プラットフォームを提供している当社の利益も伸びます。
まずは無料版で多くの加盟店様に“気づき”を得る機会を提供し、「もっと掘り下げて改善したい」「交渉の材料となる詳細データがほしい」と希望する加盟店様には有料版をお申し込みいただければと考えています。
GMOペイメントゲートウェイ インダストリーソリューション本部第1営業統括部ビジネス企画部部長 財津 拓郎 氏
離脱率が10%→2%に低減した事例も
――「承認率可視化オプション」の活用により、承認率をどのくらい改善できると想定していますか?
財津:リリースしてまだ日が浅いために明確なことは言えませんが、加盟店様へのリリース前より社内では承認率を確認できる状況にありました。その際の分析・提案によって、すでに複数の改善事例が報告されています。
ある加盟店様では、特定の決済エラーが発生している箇所を突き止めて、不正検知サービス「Forter(フォーター)」を導入した結果、極端に下がっていた決済承認率を40ポイントほど向上できました。
別の加盟店様では、すべての取引で一律に3Dセキュアを適用していたことから、約10%の「カゴ落ち」が生じていました。過剰なブロックが見られたため、3Dセキュアの運用を適正化したところ、安全性を保った状態で離脱率を10%から2%程度へ低減させることに成功しました。
これらは特に顕著な事例になりますが、「承認率可視化オプション」によってクレジットカード決済の課題を特定し、不正防止サービスなどのソリューションを組み合わせることで、売上拡大につなげることが可能になります。
――今後の展望をお聞かせください。
財津:現在、無料版は約230の加盟店様にご利用いただいています。まずは承認率の改善効果を実感いただきやすい加盟店様を中心に有料版をご提案し、利用を広げていきたいですね。
GMOペイメントゲートウェイ インダストリーソリューション本部第1営業統括部ビジネス企画部部長 財津 拓郎 氏
今後は、ご利用いただく加盟店様のお声を集めて、ダッシュボードのビジュアル改善や機能拡張などを進めていく予定です。
「カゴ落ち」の原因を可視化して改善につなげる今回のオプションは、当社と加盟店様が単なる取引関係を超えて、売上最大化を目指すパートナーシップを築くことに寄与すると確信しています。
――ありがとうございました。
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