2026.08.10 行政情報
化粧品広告の“落とし穴”とは?…体験談にも細心の注意
6月の通販通信ECMO主催セミナーで、「化粧品広告の基礎」をテーマに、化粧品・薬用化粧品(化粧品等)の効能効果に関する表現の留意点を紹介した。7月28日に開催したセミナーでは、引き続き、薬事法広告研究所の稲留万希子代表を招き、化粧品広告で通販事業者が見逃しがちな“落とし穴”について解説してもらった。
特定成分を強調する場合の留意点
成分・原材料について、虚偽または不正確な表現による効能効果や安全性を誤認させる恐れのある広告は禁止されている。
化粧品で特定の成分を表示すると、その成分が有効成分であると誤認させるため、原則NGとなる。ただし、配合目的を併記した場合は可能とされている。
稲留氏は、「特定成分を強調して表示する場合は、単に成分名を出すのではなく、その成分の配合目的を併記し、その表現が化粧品で認められた効能効果の範囲内で、事実に反しないことが前提になります」と述べた。
例えば、「うるおい成分のセラミド配合」の表現は可能という。「肌にうるおいを与え、乾燥を防ぐ(コラーゲン配合)」の表示も、コラーゲンの配合目的が、化粧品で認められた効能効果の「肌にうるおいを与える」「乾燥を防ぐ」の範囲内に留まっているため、可能と説明した。
一方、「ホホバ油配合のクリームです」は、成分名だけを切り出して訴求しており、配合目的が示されていないことから、NGと指摘した。
「各種の…」「数種の…」はOK
化粧品の広告で、「各種のビタミンを配合したクリームです」「数種のアミノ酸を配合した美容液です」といった表示は使用できない。
稲留氏によると、ガイドラインでは「各種」「数種」の表現は不正確で、誤認させやすいため、使用しないこととされている。「何が入っているのかを明示せずに“いろいろ入っている”という印象だけを与える表現は、成分の内容や価値を実際以上に広く見せる恐れがあるためです」と解説した。
特定の成分を含まない表現についても注意しなければならない。例えば、「肌トラブルの原因になりがちな香料を含有していません」「100%ピュア」の表現はNG。稲留氏は「自社の無添加性を示すだけでなく、香料入り製品一般を問題視する比較・貶め表現になりやすい点が問題です。従って、未含有を伝える場合でも、『無香料・無着色』などの中立的な事実表示に留めるべきです」とアドバイスした。
「〇〇専用」「〇〇用」の留意点
用法用量の表示は、原則として、(1)医薬部外品は承認された範囲を超える表現、(2)化粧品は認められている範囲を超える表現、(3)不正確な表現――を用いて、効能効果や安全性について誤認を与える恐れのある広告をしてはならない。
稲留氏は、「肌に適量(2~3押し程度)を使用してください」「洗顔後に使用してください」といった表現は使用できると話した。一方、「美容液と混ぜて使用します」の表現は、原則用いることが不可と指摘した。厚生労働省の解説で「併用に関する表現は認められない」と明記され、例外は、承認等により併用が認められているものや、一定のQ&Aで定める範囲に限られるという。
また、化粧品の広告では、「敏感肌専用」「ニキビ専用」「乾燥肌用」「子ども用」「女性向け」など、「〇〇専用」「〇〇用」という表現も散見される。
このうち、「敏感肌専用」「ニキビ専用」は不可となる。「敏感肌専用」といった表現は、特定の肌向けであることを強調することにより、効能効果や安全性について事実に反する認識を与える恐れがあるため、原則として使用できない。
一方、「乾燥肌用」「子ども用」「女性向け」についてはガイドラインで、使用感や使用方法などから判断して特定の年齢層・性別等が対象である「〇〇用」「〇〇向け」の表現は差し支えないとされている。
失敗しがちな「保証する表現」
保証する表現は、特に注意が必要となる。効能効果や安全性が確実であると保証するような表現はNGとなる。ネット広告では、「これさえあれば安心!」「安全性は確認済みです」「赤ちゃんにも安心です」といった表示が散見されるが、これらはすべてNG表現に当たる。
体験談の使用もミスを犯しやすい。例えば、「一度使用したら、もう手放せません!」「保湿効果に満足しています」という体験談を用いることはできない。
稲留氏は「一度使用したら、もう手放せません!」の表示について、「一見すると感想表現に見えても、実際には著しい満足度や継続不可避性を通じ、製品の効果を強く印象づける表現です」と述べた。ユーザーの熱量を利用して、効果の確実性や優秀性を印象づける体験談は不可と判断するのが妥当としている。
これに対し、体験談で「使用方法が簡単!」「使いやすく、忙しい私にピッタリ」「しっとりとした使い心地が私の好みに合っています」といった表現は可能となる。稲留氏は、「これらは効能効果そのものを述べるものではなく、使用方法の簡便さ、使い勝手、感触といった使用感に関する感想です」と指摘。「“効いた”“改善した”に踏み込まず、“使いやすい”“しっとり感じる”など『使用感』に留めることが重要です」と注意を呼びかけた。
図・写真を用いて、効能効果や安全性を保証するような手法も問題となる。例えば、ヘアカラーの広告で使用前後の写真を用いて色を対比したり、シャンプーの広告でフケがある頭皮写真と使用後の写真を使用したりすることは可能だ。しかし、「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ」とうたえる薬用化粧品の広告で、使用前後の写真を用いることはできない。
このほか、最大級の表現にも注意が必要となる。原則として、化粧品等の効能効果や安全性について、最大級の表現は用いないこととされている。「最高の効果」「無類の効果」「効き目No.1」「安全性No.1」といった表現は、すべてNGとなる。
医師や美容師の推薦はNG
他社製品を誹謗するような表現も行ってはならない。問題となるケースとして、他社製品の品質などについて実際よりも悪く表現すること、製品内容について事実を表現することがある。
例えば、「他社の口紅は、流行遅れのものばかりですね」「他社の製品では、いまだに〇〇を配合しています」といった表示はNGとなる。稲留氏は「事実か否かを問わず、競合を低く見せることで、自社製品を相対的に良く見せる表現は不適切です」と話した。
広告に専門家の推薦を用いる手法も禁止されている。医薬関係者、理容師、美容師、病院、薬局などが公認・推薦する広告が該当する。推薦広告は消費者への影響が大きいことから、たとえ事実であったとしても不適切となる。
このため、「皮膚科専門医も勧める美容液」「皮膚科の権威、〇〇大学■■教授の処方を生かしたクリーム」「〇〇国立美容研究所が推薦!」といった表示は、すべてNGとなる。
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