2026.07.06 マーケティング
ECでミドルエイジ女性向け機能性ウェアが好調、顧客ニーズ取集し改良も
ミドルエイジ以上の女性に向けた機能性をうたうウェアが、好調な動きを見せている。キーワードは「快適」で、汗を吸収したり、動きやすく姿勢を整えたりする素材や機能で訴求。アンケートや体験イベントを通じて顧客の声を吸い上げ、ロングセラーシリーズに成長している。さらに改良を施した新商品を投入するなど、猛暑シーズンを前に商品力強化に余念がない。
汗対策インナーシリーズが985万枚に達した千趣会
30代半ばから50代がボリュームゾーンで「ベルメゾン」ブランドを手がける千趣会は、2011年から汗対策インナーブランド「サラリスト」を展開する。汗ジミを防ぎながら汗のベタつきやニオイ、暑さなどさまざまな汗の悩みをケアし、夏を快適に過ごせるよう開発したオリジナルの汗対策インナーブランドだ。タンクトップや袖付きインナー、Tシャツ、ブラトップ、ショーツ、レギンスなどを扱い、販売数は2025年12月末時点で累計985万枚に達した。
「サラリスト」のラインナップは汗の多さによって名称が異なり、汗をたくさんかく人向けの「大汗さん」や、さらにガード力を高めた「超大汗さん」、もっとも強力な「超最強大汗さん」に分類される。「大汗さん」は通常より大きい防水布入りの三層汗取りパッドを脇に配置し、「超大汗さん」は脇の下の特大パッドや背中二重仕様などで洋服に染み出しにくいように設計され、「超最強大汗さん」は、脇、胸元、背中上部の3カ所を防水布入りパッドで守る。
各ラインの商品は年々改良を重ね、パワーアップして発売されてきた。2026年3月に実施した「汗に関する意識調査」では、汗に悩む人の約半数が汗ジミの目立つ色を敬遠し、約3割が月に約5時間を汗ジミケアに費やしていることがわかった。これまでもこういった調査をもとに、新商品開発を進めてきた経緯がある。
2026年2月以降も新商品を次々投入しており、全商品を「綿混」素材に統一。猛暑対応の「大汗さん」シリーズを拡充し、ブラトップやタンクトップなど15商品を投入した。3月には「サラリスト」の新シリーズとして、独自の新素材を使った汗ジミ軽減服「汗シミーヌ」でTシャツなど8アイテムを発売。「吸水速乾」と「汗ジミ防止加工」機能を1枚の生地で両立させたため、肌着を着用する必要がないという。5月には、シリーズ初となる着物の汗ジミを防ぐ和装用インナーも発売した。
猛暑対応の「超最強大汗さん」シリーズを拡充(出典:千趣会)
同社の機能性をうたう他のロングセラー商品としては、2017年の発売以来改良を重ね、2026年2月末で56.5万枚を突破した「座パンツ」シリーズがある。伸縮性に優れたストレッチ素材で、座る・しゃがむ・またがるといった動作時に発生する窮屈なパツパツ感を解消。伸びた後にしっかり戻る「キックバック性」も備え、フォーマル感があるシルエットのためオフィスワークにも向く。
3月には都内で「座パンツ体験イベント」を開催し、試着した人に座パンツを進呈。着用して自転車を漕いでもらい、太もも部分の張り詰め感が解消されるかなどを試した。5月には従来のレディースに加え、夏用のリネン混紡素材を使ったメンズ・キッズ向けを発売。幅広い層向けのシリーズへと進化させる。
ドゥクラッセは夏向けの高機能素材で幅広いラインナップ
40代以上の女性に向けてD2Cブランド「ドゥクラッセ」を展開するドゥクラッセは、猛暑に対応する7つの高機能を備えた夏の新素材「SARARI Air(さらり エアー)」を開発。ワンピースやブラウス、ジャケット、パンツなど約20種類の幅広いランナップで6月から販売を開始した。
快適に夏を過ごすために、「UVカット」「通気性」「吸湿速乾」「接触冷感」「防シワ」「イージーケア」「マシンウォッシャブル」の7機能を搭載する。高い通気性と遮熱、速乾性で夏の高温多湿に対応し、接触冷感感が汗ばみを防ぐ。外出時には気になる紫外線をカットし、自宅で洗濯後に乾かせば済む。
販促施策として、6月から全国の自社店舗で「SARARI Air」を含むサマー商品を販売する「DOCLASSE SUMMER LOUNGE」をスタート。著名モデルをゲストに迎えたインスタライブを開催しておすすめの着こなしを紹介し、facebookの特設LPでも動画の公開を始めている。
7つの高機能素材を使い20種類の服をラインナップ(出典:ドゥクラッセ)
同社の機能性ウェアとしてこれまで大ヒットしているのが、秋冬アイテムの「マジカルサーモコート」だ。ライトコートの薄さとダウン並みの暖かさを備えたコートで、2017年の発売から5年後の22年時点で65万枚を記録し、現在も売れ続けるロングセラーとなっている。
冷たい空気を遮断する特殊な高密度生地を採用し、暖まった空気をキープする「バイウォーム」という極細繊維の機能中綿を挟んだ構造。機能性と、ダウンらしくないスリムなシルエットを兼ね備えたことで人気となった。リバーシブル仕様や取り外せるボアフード付きタイプなど着回し力でも優れ、形違いを追加しながら展開している。
骨盤筋肉や体幹のサポート下着で訴求するハルメク
50~80代という幅広いシニア女性に強く支持され、販売部数45.9万部を誇る直販誌「ハルメク」を発行するハルメク。2016年に発売した「骨盤底筋ショーツ」は、26年1月時点でシリーズ累計104万枚を売り上げている。
子宮など骨盤内のさまざまな臓器を支えている女性の骨盤筋肉は50代以降に衰えることが多く、からだに不調が起きやすくなる。女性泌尿器科医と共に開発した「骨盤底筋ショーツ」は骨盤まわりを引き締めサポートする仕様で、骨盤底筋全体を鍛えやすくするという。
2026年5月には機能をより進化させ、股部分に二重に付いた生地を前方に長くすることで、骨盤底筋全体をまんべんなく引き締めやすい仕様にバージョンアップ。素材も夏向けにより細い糸を使った綿メッシュ仕立てで通気性をアップし、従来品より柔らかく軽く涼しくなるように改良した。
股部分の二重生地を前方に長くしてバージョンアップ(出典:ハルメク)
2019年発売の機能性インナー「健康サポート・体幹&姿勢シェイパー」も、2025年11月時点でシリーズ累計20万枚に達したヒット商品だ。着用しているだけで、体幹を支える力がアップし姿勢が整う機能性を持つという。
2025年5月には、体幹が整い筋肉の可動域も広がるように、クロスのバックベルトを脇から背中に流れるような螺旋(らせん)を描く仕様に改良。肩甲骨と肋骨のサポートを一体化したことで、体幹の引き上げにつなげるようにした。夏に向けて薄手のメッシュ生地を使い、より風が通りやすくムレにくく仕上げた。
同社は商品開発に「読者参加型」のプロセスを取り入れている。代表的なのは20年間続く「ハルメクおせち」で、購入者アンケートを通して改善点を抽出し、まずは編集部がおせち職人とともに試作品を開発。社長も交えた社内試食を経たうえで、東京・大阪で読者を招いた試食会を開き意見を吸い上げる。参加者には1品ずつ味覚評価を行ってもらい、さらなる改良につなげている。
グループのシンクタンク「ハルメク 生きかた上手研究所」では、6,000人以上の読者モニターが属する「ハルトモ」が座談会や試着、商品テストを通じて顧客目線によるオリジナル商品を開発。シニアマーケティング組織として活用し、商品力アップつなげている。
2026年2月には、これらモニターが実際に商品を試したうえで評価を行い、一定の基準を満たした商品にのみ付与する「ハルメクモニター認証マーク」制度を開始した。「ハルトモ」から選抜した100人以上がホームユーステスト形式で商品を試し、使用後の評価で満足度と推奨意向が80%以上の場合のみ認定。メーカーなどを対象としたBtoBサービスとして展開している。
まとめ
50歳以上が総人口の半数を超え、団塊世代が後期高齢者に、団塊ジュニアがプレシニア化する日本において、多くの金融資産を有し潜在的購買力を持つ50~70代は消費の有望層といえる。中でもこの層の女性はアクティブで消費のカギを握るとされ、価格よりも商品力を重視する傾向が強い。
納得感が得られれば優良なリピーターとなる可能性はとても高いが、消費者として確かな目も備えている。それだけに、特に機能性で訴求する商品の場合は、品質への信頼性が何よりも重要になるだろう。
執筆者/渡辺友絵
【記者紹介】
渡辺友絵
長年にわたり、流通系業界紙で記者や編集長として大手企業や官庁・団体などを取材し、 通信販売やECを軸とした記事を手がける。その後フリーとなり、通販・ECをはじめ、物 流・決済・金融・法律など業界周りの記事を紙媒体やWEBメディアに執筆している。現在 、日本ダイレクトマーケティング学会法務研究部会幹事、日本印刷技術協会客員研究員 、ECネットワーク客員研究員。
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