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2026.05.15 コラム

増収増益のZOZOが中計も発表、AI活用などで成長加速目指す

「ZOZOTOWN」を運営するZOZOの2026年3月期連結決算は、商品取扱高、営業利益、純利益のすべてが過去最高となった。積極的な広告展開が奏功し、新規客獲得や休眠客掘り起こしが進んで売り上げが拡大。物流作業や配送効率の見直し・改善が利益率アップにつながった。4カ年の中期経営計画も開示し、AI活用や新物流拠点の本格稼働、ファッション周辺領域や海外への進出、サブスクリプション導入などにより、さらなる成長加速を目指す。記事では決算概要を振り返りながら、直近の取り組みや中期経営計画について紹介する。


26年3月期は増収増益で年間購入者数も大幅に拡大

4月発表の通期連結決算では、商品取扱高(GMY)が前期比8.4%増の 6,660億3,500万円、営業利益が同7.1%増の693億6,600万円、経常利益が同6.7%増の692億6,100万円、純利益が同5.7%増の479億2,6 00万円となった。ZOZOTOWN事業の商品取扱高は同5.0%増の5,166億1,300万円、LINEヤフーコマース商品取扱高は同13.4%増の789億2,600万円だった。

広告費は第3四半期までに未消化だった分に加えて追加費用を投入し、WEB広告や友達紹介キャンペーンなどを展開。その結果、新規客の開拓や休眠客の掘り起こし、加えて顧客アクティブ化につながった。年間購入者数が大幅に増加し、ZOZOTOWN事業におけるゲスト購入者を含む年間購入者数は1,317万人となった。

アクティブ会員1人あたりの年間購入金額は4万1,323円、年間購入点数は10.6点でほぼ横ばい状態。セール販売比率の増加などにより、平均出荷単価は8,864円と前期に比べて1.3%減少した。同時点でのZOZOTOWN出店ショップ数は1,710店舗、ブランド数は1万1,247ブランドとなっている。

2027年3月期については、商品取扱高が前期比2.0%増の 6,796億円、営業利益が同7.3%増の744億円、経常利益が同7.4%増の744億円を見込む。


商品取扱高(GMY)は前期比8.4%増と成長(出典:ZOZO)


コスメ分野に注力しリアルな顧客接点構築も強化

当期はTVCM及びWEB広告の積極的投下をはじめ、シーズンごとのセール開催などを通じてZOZOTOWNでの集客強化や販売力の最大化に取り組んだ。幅広いジャンルの新規ブランドの出店も進めたほか、コスメカテゴリーの「ZOZOCOSME」に注力した。

期間限定のポップアップストアを開設したり、人気アーティストのイベントを開催したりするなど、新規ユーザー獲得を目指しリアルな顧客接点構築も積極的に進めた。さらにグローバル展開として2025年4月には、ファッションECプラットフォーム「Lyst」を運営するLYST の全株式を取得して完全子会社化。同社は同年5月から連結対象となった。


コーディネート提案にAIを積極活用

かねてからAI活用に積極的なZOZOは昨今、「似合う」を軸とした独自開発のアルゴリズムと生成AIを組み合わせた新規サービスに取り組んでいる。ファッション分野でのAI導入を推進しており、26年3月には「ChatGPT」の新機能「Apps in ChatGPT」とのアプリ連携を開始した。これにより、1,400万件以上の投稿データを持つ自社ファッションコーディネートアプリ「WEAR 」のコーディネート提案などを、ChatGPT上での会話を通じてユーザーにシームレスに提供できるようになった。

新年度早々の2026年4月には、AIを活用したコーディネート提案を通じてユーザーの服選びをサポートするLINE公式アカウント「ZOZOの似合うコーデAI ラボくん」を開設した。ユーザーの言語化しにくいファッションの好みやニーズを「ラボくん」との会話によって引き出し、要望を具体化。ユーザーごとに嗜好や利用シーンに応じたコーディネートを提案する。LINEという日常的な接点をチャネルとすることで、これまで開拓しきれなかった新規層の取り込みが期待できる。


LINEの対話で日常の服選びをアシストする(出典:ZOZO)


新物流拠点を自動化し大幅な省力化を達成

当期決算での増益に関しては、倉庫内の物流作業や配送効率改善の取り組みも功を奏した。配送委託先と連携し、物流拠点に置いたマテハン機器の活用や輸送ルートの見直し、積載効率の改善などを進めることで、物流・配送コストの削減につなげた。

物流拠点の自動化による省人化にも注力しており、2023年11月には同社内最大規模の新物流拠点「ZOZOBASEつくば3」の本格稼働を開始した。今後の商品取扱高拡大を見据えて開設した5つ目の物流拠点であり、最大で1時間あたり1万件の出荷能力を見込む。

同社の商品はそれぞれ形状が異なり小ロット・多品種という特徴のため物流拠点の自動化は難しいとされていたが、既存拠点の約4倍の設備投資を行って自動化を推進。国内初導入の自動仕分け機器などを用いたオペレーションにより、既存拠点と比べて約30%の省人化に成功した。

「ZOZOBASEつくば3」に続き、2026年4月には約50%の省人化を目指す新物流拠点「ZOZOBASE習志野3」を開設。さらなる効率化を図り、物流オペレーションの高度化を推進する。2027年8月から一部機能の稼働を開始し、2028年10月の本格稼働を予定している。さらに2025年度からは全拠点において消費電力の100%実質再生可能エネルギーを導入しており、年間で約1万3,576トンの CO₂排出量削減につなげる。


新物流拠点では約50%の省人化を目指す(出典:ZOZO)


ファッション周辺分野や海外に進出しサブスクサービスも導入

2030年3月期までの中期経営計画では、4年後に調整後EBITA(利息・税金・買収などによる無形資産の償却前利益)を2026年3月期比23.8%増の900億円まで拡大させる。中心となる「ZOZOTOWN」や「LINE ヤフーコマース」などの「MORE FASHION領域」で800億円、新規事業の「NEAR FASHION領域」と「GLOBAL領域」でそれぞれ50億円を見込む。商品取扱高や営業利益などの目標については公表していない。4年間の中期経営計画だが、前期からこの計画に沿って進めてきた取り組みもあるため、実質的には5年間での計画達成を見込んでいる。


中期経営計画では3つの領域で成長につなげる(出典:ZOZO)


「MORE FASHION領域」では「WEAR」や「ZOZOの似合うコーデAI ラボくん」といったAIの活用を軸に、顧客開拓や顧客活性化を推進。ブランド数の拡大をはじめ、ポップアップストア開設など実店舗派へのリーチ強化にも注力する。ミニマム水準でも、商品取扱高を安定的に毎年200億円超積み上げていく考えだ。

「NEAR FASHION領域」の位置づけでは、香水やエステ、ネイルやヘアサロン、フィットネス、メンズエステなどZOZOTOWNユーザーと親和性が高そうな分野を想定する。1,300万人の既存ユーザーの送客を見込むため、ZOZOTOWNとのカニバリゼーションを避ける観点から、これまで取り扱っていない商材やサービスを導入していく方針という。

直近の2026年4月には、小分けした香水のサブスクリプションサービス「カラリア」を手がけるHigh Link(ハイリンク)を完全子会社化した。2027年3月期は同社の売上高を20~30億円程度、営業利益を 1 桁億円前半程度見込む。ZOZOTOWNユーザーを「カラリア」に送客し、好みの香りを見つけたらフルボトルをZOZOTOWNで購入してもらうようなモデルを想定。「NEAR FASHION領域」ではM&Aを積極化し、サブスクリプションをはじめとする販売手法を取り入れてファッション周辺分野の事業展開を加速させる。

「GLOBAL 領域」については、Techを軸に北米・欧州市場で中期的にじっくり取り組む。中でも「LYST」を重視して投資を行い、ビジネス構造転換も鑑みながら着実に成長させていく考え。米国などでも展開し100万ダウンロードを突破した3Dボディースキャンサービス「ZOZOFIT 」も、有望コンテンツとして捉えている。月額課金により体型計測や追加サービスを提供するサブスクリプションだが、「ZOZOFIT」を介して周辺サービスに送客することで収益を得るアフィリエイトサービスも想定している。

「NEAR FASHION領域」と 「GLOBAL 領域」は現時点では黒字化しておらず、今後数年かけて利益を積み上げていくという。


まとめ

ZOZOはかねてより日本国内で商品取扱高8,000億円、年間購入者数1,500万人の中期ビジョンを掲げている。商品取扱高も年間購入者数も年々着実に積み上がっており、中期経営計画最終年度には達成できる可能性が高い。

物価高騰が続き苦戦している同業者も多い中、同社の成長の秘訣とはいったい何か。テクノロジーを駆使して業界の先端を行き、国内トップレベルの物流インフラを誇るEC企業という特性とは別に、同社ならではの強みがあるような気がする。ファッション好きな人が集まり、同じようにファッション好きな人に服を提案するという空気感やワクワク感が、成長への原動力となっているのかもしれない。


執筆者/渡辺友絵


【記者紹介】
渡辺友絵
長年にわたり、流通系業界紙で記者や編集長として大手企業や官庁・団体などを取材し、 通信販売やECを軸とした記事を手がける。その後フリーとなり、通販・ECをはじめ、物 流・決済・金融・法律など業界周りの記事を紙媒体やWEBメディアに執筆している。現在 、日本ダイレクトマーケティング学会法務研究部会幹事、日本印刷技術協会客員研究員 、ECネットワーク客員研究員。



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