2024.02.29 行政情報
トクホ審査機能の消費者庁への移管、業界への影響は?
4月1日に特定保健用食品(トクホ)の審査機能を消費者委員会から消費者庁へ移管することで、トクホ業界にどのような影響が生じるのだろうか?
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審査期間の短縮化の可能性も
これまでトクホの審査は、消費者委員会の新開発食品調査部会(以下、部会)と、その下部組織の新開発食品評価第一調査会(以下、調査会)が行ってきた。かつては第二調査会も設けていたが、業界のトクホ離れが進み、第一調査会のみとなっている。消費者庁が消費者委員会へ諮問→部会・調査会で審議→消費者委員から消費者庁へ答申――という流れで許可してきた。
4月1日に審査機能が消費者庁へ移管されると、消費者庁内に設置済みの「特別用途食品の許可等に関する委員会」で審議する。消費者庁としては、外部組織との手続きが不要となる(新規成分の安全性評価、表示内容の確認などを除く)。
その結果、「会合の日程調整も消費者庁が行うことになるため、申請数が多い時期には多数開催することも可能となる。これにより、審査期間の短縮につながるという期待もある」(消費者庁食品表示企画課保健表示室)。
消費者委員会では、部会と調査会を原則3カ月に1度のペースで開催してきたが、移管に伴って、消費者庁では開催ペースをコントロールできるようになる。
一方、申請企業が行う手続きについては、現行と変わらない。
求められる過去の反省に立った制度運営
消費者委員会の一部委員から、「トクホの審査基準や許容される表示の範囲も引き継いでほしい」という声が聞かれるが、当面はそうした懸念は不要とみられる。というのも、消費者委員会の調査会委員(9人)がそのまま移行するため、審査のレベル感が変わると考えにくいからだ。
ただし、移管に伴って変わる部分も出てきそうだ。消費者委員会では学術的な審査を調査会で行い、これに加えて、その上部組織である部会で幅広い観点から審議してきた。これに対し、4月以降、消費者庁では「科学的根拠に絞って審議」(同)する方針を固めている。
トクホ業界で語り草となっているのが、ノンアルコール飲料のトクホをめぐる審議。当時、消費者委員会では、未成年者がアルコールに興味を持つ入り口になる恐れがあるとして、トクホとして適さないという答申を出した。これに対して消費者庁は、理由になっていないとし、答申を拒否する形で許可すると決定。トクホ史上、前代未聞の動きとなり、両者はもめたが、販売方法に制約を設けることで合意に至った。
このほか、減塩醤油のトクホをめぐっても、消費者委員会の一部委員が科学的でない理由で反対に回った経緯がある。最終的に許可されたものの、その後、申請企業は積極的な販売を行わなかった。現在、厚生労働省が国民の減塩対策を重視し、企業による減塩商品の開発を後押ししている状況を見ると、健康・栄養政策の面でも痛手になったと言えそうだ。
トクホ業界にとっては、科学的な視点以外で“イチャモン”をつけられた形となった。近年、業界がトクホから離れた最大の要因は機能性表示食品の台頭だが、こうした過去の審議内容もトクホの衰退を招いた遠因になったとみられる。
移管後の審査体制を見る限り、消費者委員会の部会に該当する組織は予定されていない。このため、基本的に科学的な視点以外の検討が入り込む余地はないと考えられる。
消費者庁ではトクホ制度の活性化に注力する方針だが、その際には、過去の“失策”を繰り返さないような制度運用が求められそうだ。
(木村 祐作)
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