2021.08.30 調査・統計
宿泊業の不振が取引企業に悪影響、食材納入企業の8割が売上減に
コロナ禍で利用者減に直面しているホテル・旅館業界の苦境が、周辺産業にも影響を及ぼしている。(株)帝国データバンクが調査した、宿泊業向けに食材やサービスを納入する企業の2020年度業績は、前年度比で減収となった企業が8割に迫るほか、売上高の落ち込み幅は同じく平均2割の減少、半数超の企業が売上20%以上減となっていた。

宿泊客の戻りがにびく、長期間の需要減で納入企業の体力が限界に
収まらないコロナ禍の影響で、21年度も引き続き宿泊客の戻りが鈍い中、長期間の需要減にさらされ続けてきた納入企業の中には経営体力が尽きるケースも増え始めており、年末にかけて影響がさらに拡大する恐れがある。
同社は取引企業1000社超を調査した。食材など食料品を中心に納入する企業をはじめ、酒類やアメニティなど雑貨類の卸売業者や小売業者、食品加工会社、産地直送で納入する生産者なども多く含まれている。その中で、最も減収幅が大きかったのは「酒類卸」で、約460社のほとんどが減収となり、減収率の平均は23%。「酒小売」も9割近くが減収となった。
続いたのは、重油やガス供給を行う「燃料卸」で、業種全体の約9割が減収。浴場施設のボイラー向け重油や調理用ガスの供給が落ち込んだ。同じく9割減となった「パン・菓子類卸」も、朝食用のパンや土産用菓子の供給量が減少した。「生鮮魚介類卸」(87.0%)や「食肉卸」(84.9%)などの食品関係、シーツや浴衣などを回収・洗濯するクリーニング業(83.2%)なども減収の割合が大きかった。
宿泊業は地元調達率が高く、地域経済や産業に大きな打撃
宿泊業の地元調達率は全産業の平均に比べても高いことから、地域経済や産業にとっても影響は大きい。現状では、各社とも受注量が大幅に落ち込み、需要が縮小している。一方で、これまで取引を行ってきたホテル・旅館との信頼関係を背景に、同業他社との過度な価格競争や受注の奪い合いといった動きは見当たらない。納入企業でも現状をボトムに今後は取引量の回復が見込まれるなど、先行きには期待も持たれる。
ただ、緊急事態宣言の対象地域拡大や期間の延長により、宿泊需要の回復には相当の期間が必要となる。こうした中、ホテル・旅館の廃業は21年1~6月で前年同期より37件多い104件が発生。食料品や物品、サービスを供給する納入企業など、周辺産業も宿泊業の不振に引きずられる形で、受注の大幅減といった影響が今後も続くと見られる。
そのため、現在は事業を継続する中小の納入企業などが、長期の売り上げ減に耐えきれずに経営体力の限界に達する「息切れ型倒産」や、需要回復を前に先行きを悲観して自ら事業をたたむ「あきらめ廃業」の選択に向かう可能性は残っており、国や自治体による支援が引き続き欠かせない状況となっている。
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