2022.05.26 行政情報
公取委、物流コスト上昇転嫁拒否の疑いで荷主19人を立入調査
公正取引委員会は25日、荷主による物流事業者への優越的地位の濫用について、2021年10月に開始した調査結果をまとめ、発表した。労務費や原材料費などの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案について、荷主19人への立ち入り調査を実施したほか、独占禁止法上の問題につながるおそれがあった荷主641人に、懸念事項を示した文書を送付したという。

意喚起文書を送付した業種は製造業が43%、卸売業・小売業が34%に
独禁法に基づき、公取委は「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、その遵守状況とともに、荷主と物流事業者との取引状況を把握するため、取引の公正化に向けた調査を継続的に行っている。
今回は、3万人の荷主を対象に21年10月に、物流事業者4万人には22年1月に、それぞれ調査票を送って直近1年間の状況を聴取した。荷主1万1438人(回答率38.1%)、物流事業者1万8658人(同46.7%)から回答を得た。
それによると、注意喚起文書を送付した業種は、製造業が280人(43.7%)、卸売業、小売業が220人(34.3%)、その他が14人(22.0%)となっていた。「不当な給付内容の変更及びやり直し」が351件(47.6%)だったほか、「代金の支払い遅延」が161件(21.8%)、「代金の減額」が92件(12.5%)など。「買いたたき」も26件(3.5%)あった。
待機料金の未払い・住所不備による再配達分の未払いなども
一番多かった「不当な給付内容の変更及びやり直し」は、荷主が物流事業者に対し、10時間以上の待機をさせたが、待機料金を支払わなかった(食料品製造業)。荷主は物流事業者に対し、指定した配送先に誤りがあったことを理由に、別の配送先に配送をさせたが、追加費用を支払わなかった(道路貨物運送業)などの事例があった。
「代金の支払遅延」では、事務処理の遅れが原因で、物流事業者への支払が本来の支払月より1か月遅れた(家具・装備品製造業)。取引先から代金を収受するのが遅れたことを理由に、物流事業者への支払を遅らせた(総合工事業)。
物流事業者からの運賃引上げに応じない会社も、違反行為は公取委が厳正に処置
「代金の減額」では、物流事業者に対し、毎月の支払額から一律5%減じた金額を支払っていた(非鉄金属製造業)。物流事業者に対し、毎月の支払代金に1000円単位の端数があった場合、端数を切り捨てて支払っていた。(総合工事業)。
また「買いたたき」では、物流事業者から運賃の引上げを求められたが、ほかにも低価格で運送を行う物流事業者が存在するとして取引先変更の可能性と通告し、引上げに応じなかった(窯業・土石製品製造業)。物流事業者からの契約金額の交渉の要望を門前払いし、最初(40~50年前)に契約した金額を継続して据え置いている(設備工事業)。
公取委は、こうした荷主の「問題につながるおそれのある事例」を挙げ、今後の対応として、荷主・物流事業者への講習のほか、関係省庁・団体を通じて周知徹底を図り、違反行為の未然防止に向けた取組とともに、違反行為に対しては厳正に対処していく姿勢を示している。
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